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黒龍の娘  作者: レクフル


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デート?


 休みの日になった。


 朝はエリアスと過ごした。

 部屋の浄化をして、畑で採れたベリイチゴでジャムを作った。ベリイチゴの効果は凄くって、これを食べると鑑定ができるようになる。けど、私もエリアスも、元よりこの能力は持ち合わせていたから、特に何かが変わるという事もない。

 とは言え、前よりはその能力が上がっているようには感じるけれど。


 それから二人で料理をしてお昼にする。


 昼食を摂っている時に、エリアスが今日の事を注意してきた。



「細い路地には入るんじゃねぇぞ?」


「うん」


「優しそうな人が本当に優しいとは限らねぇからな?」


「うん」


「俺の知り合いだっつっても、知らない人にはついて行くなよ?」


「うん」


「前みたいに可笑しいって思うことがあったら、すぐに俺に連絡しろな?」


「うん」


「言ってた場所以外に行く場合も、俺に連絡しろな?」


「うん……え?」


「リオと必要以上に近寄るのもダメだぞ?」


「ん?」


「あんまり可愛い格好で行くんじゃねぇぞ?」


「え、なんで……」


「あんまり可愛い顔して歩くんじゃねぇぞ!?」


「えっと、さっきからされている注意の意味がよく分かんないんだけど……」


「とにかく!色々気をつけろって事なんだ!分かったな?!分かってくれよな!」


「あ、うん……分かった……」



 ヤバい……エリアスの心配がピークに達している……!とにかく落ち着かす為に、理不尽な要求にも笑顔で答えておくことにする。


 服を着替えて帝都に行こうとする時も、

「スカートは短くないか?」

って、膝下のスカートにも文句を言ってくるし、髪を上半分纏めたら、

「なんで髪型をそんなふうに可愛くすんだよ?!」

とか言ってくる。なんだろう?心配の仕方がいつもより変だ。


 なんとか(なだ)めてリオの部屋まで行く。当然だと言わんばかりにエリアスもついてきた。今日はお仕事はお休みって言ってたから、帝城に来る必要は無かったと思うんだけどな。


 部屋にはゾランもミーシャもいて、リオの弟のテオデュロス、みんなテオって呼んでるけどテオもいて、テオはリオのに足に抱きつくようにくっついていた。

 帝城から帝都まではそんなに遠くないんだけど、今日は馬車で行くことになっていて、そこまで見送りに皆が来てくれた。


 テオがなかなかリオから離れなくて、ミーシャに抱き上げられると、リオを求めるようにしてすっごい泣いた。

 それを見たエリアスは、

「分かるぞ、テオ!分かる!」

ってテオの頭をワシャワシャしながら同意していた。

 一体テオの何が分かるんだか……


 馬車に乗り込む時も、ずっと訳の分からない注意をエリアスに言われて、今生の別れかと思うくらいに抱きしめられた。

 ゾランが引き剥がすようにして私からエリアスを離して、やっとの事で馬車に乗り込めたくらいだった。先が思いやられる……


 馬車の中では、行く場所の確認をする。まず帝都の中心辺りにある武器屋に行く。それから雑貨屋に行って、今流行ってるスイーツのお店と観劇も観に行く事にした。

 エリアスに行く場所を言うと、

「これって……まんまデートじゃねぇか……」

って言うから

「デートってなに?」

って聞いたら、

「何でもねぇ!やっぱそんなんじゃねぇ!」

って言い出して、結局それが何なのか教えて貰えなかった。

 

 帝都に着いて馬車を降りて二人で歩く。何度も帝都に来てるけど、リオと二人って事が新鮮で、なんかワクワクする!

 はぐれるといけないからって言って、リオと手を繋ぐ事にした。


 まずは予定通り武器屋へ行く。

 

 リオは誕生日の時に、エリアスから短剣をプレゼントされていた。

「もう十歳になったんだから、男なら武器の一つでも扱えるようになんねぇとな!」

って言われて、それにリオはスッゴく喜んで、

「男として成長しなければ!」

って思ったみたい。

 

 私がプレゼントしたのは、庭にあった小石だ。つるんとしていて色は白に青色の模様がマーブル状に入っていて、磨くとピカピカ輝いて、凄く綺麗な小石を渡した。

 もちろん、ただの石じゃない。魔素の多いあの場所にある石がただの石である筈がなくて、それを持っているだけでも魔力が大幅に上がるのだ。

 

 で、今回リオが武器屋に来たのは、エリアスからプレゼントされた短剣に、私がプレゼントした石を嵌め込んで貰う為なんだって。

 そうすることによって、この短剣は魔力を帯びた剣になって、剣に魔法を簡単に付与させる事が出来るようになる。凄く良いプレゼントだ!って、リオは嬉しそうに受け取ってくれたんだ。

 あと、剣を腰に着けるベルトも購入したいって言って、どんなのが良いか一緒に選んで欲しかったんだって。


 短剣は、ゾラン似のグレーの髪色と青の瞳のリオに良く合う銀色で、色々見て黒のベルトが似合う!って事で、二人で一緒に選んで購入した。

 石を嵌めるのはすぐに出来て、購入したベルトをリオは早速腰に着け、石を嵌めた短剣を装着した。

「凄く似合う、格好いい!」

って言うと、リオは照れたように、そして嬉しそうに

「ありがとう」

って笑った。


 その後、雑貨屋に行く。

 

 色々と見ていく。ここは御守りとかも売ってるし、魔道具も売ってる。可愛いアクセサリーもいっぱいあって、見てるだけでも楽しめる。



「あ、これエリアスにあげたピアスに似てる!」


「本当だ。黒い石がついてて、エリアスさんのより丸い感じで可愛いね。」


「うん!可愛い!」


「でもリュカは耳に穴は開けてないよね?」


「え?あ、うん……」


「ここで開けられますよ?」


「え?」



 気づくと女性の店員さんが私たちの側にいて、今のやり取りを聞いていたみたい。

 店員さんは私たちを見て、ニコニコしている。思考を読むと、

「可愛らしいカップルね!」

って思ってるみたい。カップルってなんだろう……?



「耳にピアスをつけるのは、昔から魔よけや邪悪なモノを寄せ付けないって言われているんですよ。そのピアスについている石はオニキスって言って、それも邪気を払うって言われています。」


「そうなんだ……」


「リュカ、開けたいの?」


「えっと……うん……このピアス、エリアスとお揃いみたいで良いなぁって思って……でも開けちゃって良いのかな?」


「どうする?エリアスさんは大丈夫かな?」


「んー……うん、いい!開ける!」


「え?!良いの?!」


「だってお揃いの、つけたいんだもん!」


「痛いけど、大丈夫かしら?」


「うん……!大丈夫!」



 私が決心すると店員さんは微笑んで、私の耳を消毒してから針で穴を開けてくれた。痛かったけど声も出さなかったし、泣かなかったもん!ちょっと涙ぐんじゃったけど……

 でも、エリアスとお揃いなのが嬉しい。まだ耳がジンジンするけれど、ちょっと大人になれた感じがして、背筋がシャンとなる。



「リュカ!凄く似合ってるよ!可愛い!」


「本当に?やった!」



 嬉しくてずっとニコニコしちゃう。あ、お金払わないと……って思ってたら、

「もうお代は頂いてます」

って言われた。なんで?って思っていると、リオが支払いを済ませていたみたい。



「リオ!なんで?私お金持ってるよ!」


「うん。でも、それを僕からの誕生日プレゼントにさせて欲しいんだ。」


「え?でも、だって……この前お花貰ったよ?」


「うん、そうなんだけど、実は他にも渡したかったんだ。でも何が良いか分からなくって、ひとまず花を渡したんだ。今日一緒に来たかったのは、リュカの欲しい物を買う為だったんだ。」


「そうなんだ……でも……本当にいいの?」


「うん。受け取って貰えると嬉しい。」


「じゃあ貰うね!ありがとう!すっごく嬉しい!」


 

 そうか、そうだったんだ。なんか、くすぐったい感じがするな。

 嬉しくて、でもなんか恥ずかしくて、そんな感じで笑うと、リオも同じような感じで笑ってた。そんな私たちを見て、店員さんも何故か凄く嬉しそうに笑っていた。


 雑貨屋を出てから、次はスイーツを食べに行く。人気店だから凄い行列が出来ていたけれどゾランが予約をしてくれていたみたいで、私たちは待たずに入る事ができた。


 ここのホットパンケーキが美味しいらしくて、早速頼んでみる。

 フワフワのケーキのスポンジみたいなのがあって、そこに白いクリームとベリイチゴも添えてあって、チョコもかかってあった。

 すごい!こんなに盛りだくさん!


 口にいれると温かくて、それがクリームやベリイチゴと合わさって甘酸っぱくて美味しくて、チョコもポイントになっていて、本当に美味しかった!

 夢中で食べていると、リオが笑って私を見てる。私も笑って、「美味しいね!」って言い合った。


 ホットパンケーキに大満足で店を出て、手を繋いで歩いていく。

 ちょうど観劇を観る時間だったので、そのままリオと向かう。

 観劇を観るのは初めてで、初めて絵本を読んで貰った時のような感覚になって、私は凄くのめり込んでしまった。

 

 終わっても暫くは動けずにいて、その余韻にひたり続けていたのを、リオは何も言わずに付き合ってくれた。


 やっぱりリオは優しい。


 一緒にいると楽しいし安心する。


 いつまでもこうやって、リオとずっと友達でいたいな。





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