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魔法使いの苦悩  作者: 黒緋クロア
第七章 魔族襲来 後編
66/66

エピローグ 1つの未来の終わりの形。


語り終えた暖の胸ぐらを掴み、一真が暖を持ち上げていた。


「つまり…てめぇは最初から意識があったってことでよろしいか?」


口元をひきつらせ、額にうっすら青筋を浮かべながら、一真は低い声で言った。


「違うから!オレは、『不安にさせたよな』からしか…」


「随分と早い段階で目覚めたもんだなぁ、おい」


暖の弁解に、一真はしぶしぶ暖を床に下ろし…


「…"エアロ"」


「あだっ!」


暖の後頭部に空気の弾をぶつけ、一真は皆に向き直る。


「それから、地上に戻って正義たちと合流…ラバラドルが居なかったけど、リエルが魔界に連れて帰ったと予想して、スルーした」


「…えぇ、私が連れて帰ったわ。あの拘束魔法、解くの大変だったんだからね」


腕組みをしながら、リエルは目を細め、一真を睨む。


「んなこと言ったって、手を抜く理由が無いだろ?あの時は完全に敵だったんだ」


「…まぁね」


ため息混じりに納得し、リエルは室内に視線を向ける。


「あの頃は…こんな事になるなんて思っても見なかったわ」


リエルの言葉に、全員が頷く。


「世界を舞台に頑張りすぎじゃないか?オレたち」


「まぁ、何人かはそうだな」


正義に答え、一真は机に腰掛ける。


「改めて言うぞ?ヴェルミンティア、アルケファイラ、ラ・フィリノーラに行って、それぞれの世界で退魔を行い、そして退魔の術を伝える…それが今回の任務だ」


『了解!』


全員が一真に敬礼する。背筋を伸ばし、真面目な顔で一真を見つめるメンバーは、高校時代のほんわかした雰囲気は微塵も無く…10年の月日を切実に感じさせる物だった。


「…頼むぞ、皆…」


一真の瞳も、真眼無しにも、先を見据える物に変化していた。


26歳という若さ…


全てを見据える瞳を持って、10年…世界を見て来た彼は…26にして、年齢不相応な知識量…経験量を持っていた。


だからこそ、彼は知っていた。


これから起こる事件を…


だからこそ手を打つことが出来た…


表向きは、MBSFとしての異動…


そしてそれは、カモフラージュに他ならない。


一真は知っていた。


いや…気付いた。


全ての事件の黒幕が誰か…その目的は何か…


そして、これから何をするか…


「…では、本日は解散。明後日、文書にて通達する」


『了解!』


「…じゃ、またな」


シリアスな雰囲気を崩し、一真は仲間たちに微笑んだ。















「…一真、どうしたの?」


2人きりになった元帥の間で、梨紅が言った。


「…何が?」


「急に皆の顔が見たくなったとか?」


「まさか…」


「じゃあ、これから先、何かあるんだ」


ここ最近の梨紅の察しの良さに、一真はため息を吐きたくなる。


「また1人で抱え込む…なんで?いい加減、怒るよ?」


「…近々、皆がバラバラになる」


唐突に、一真が言った。


「お前、"魔女狩り"って知ってるか?」


「え…うん、言葉だけは」


「あれが始まると思え…それ以外は言いたくない」


言い終わると同時に、一真は梨紅を抱き締める。


「…お前はオレが"取り戻す"」


「え…」


一真の言葉を、梨紅は理解出来なかった。


だけどきっと、心の底では理解したのだろう…


「…あの時からずっと、私は一真を信じてるよ」


あの時、一真は宇宙で誓った…必ず戻る…その誓いは10年、破られていない。


「…不安もあるよ?言ってくれないから…けど、信じる…」


「…やっぱ、強いよ…梨紅は」


一真は強く、梨紅を抱き締める。離したくない…しかし、離れることになる大切な者を。















10年の月日が人を変える。


変わらない物もある。


変えたい物…


変えたく無かった物…


それに関わらず、時を刻むごとに、全ては変わって行く…


運命すら打ち壊す力を持つ2人…


その先に見るものは、幸か、不幸か…




そして、始まる…
















天地創造計画-アマテラス-が…



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