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魔法使いの苦悩  作者: 黒緋クロア
第七章 魔族襲来 後編
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プロローグ


…夢を、見ていました。


その男の子は、私の幼なじみで…クラスメートで…大切な人でした。


優しくて…かっこよくて…私は、彼が大好きでした。


でも…彼は、苦しんでいました。


彼は、魔法使いです。何でも出来る、凄い魔法使い…


でも…魔法を使うと、凄く疲れるらしいのです。それでも、彼は嫌な顔一つせず、クラスの皆の頼みを聞いて、魔法を使っていました。


その時の私には…彼の苦しみに、気付くことが出来ませんでした。


だからこそ…あの事件は、起きてしまったのです。


今思えば…その日は朝から、彼の様子がおかしかったような気がします。


その日の彼は、いつものように微笑んではくれませんでした。


私が話しかけても、空返事ばかり…


それは、学校に着いてからも変わりませんでした。


でも…他の皆は、彼がいつもと違うことに気付きませんでした。


いつものように、彼に魔法を使ってもらおうと…いえ、"使わせようと"します。


「…嫌だ」


彼の初めての拒絶…皆の顔から、笑顔が消えました。


そして、戸惑いの表情に変わり…それは、怒りに変わります。


皆が彼に浴びせた罵声の数々は…彼の心の、暗い部分に響き渡ります。


(…糞野郎共…)


「え…」


私の心に響いた彼の心の声は、恐ろしい程に低く…怒りに満ちていました。


「…"サイレント"」


彼の使った魔法により、辺りは完全な静寂に包まれます。そして…


「…"○○○○…"」


彼の詠唱は…聞こえませんでした。







目を覚ますと、私は廊下にいました。


辺りには、泣き叫ぶクラスメート達…


その中に、彼は居ませんでした。


彼は、教室の中に居ました。金色の炎が燃え盛る、教室の中に…


しかし…最初は、彼かどうかがわかりませんでした。


服装で、何とか彼だとわかりました。しかし…彼の髪は、足下まで伸びた、緋色の長髪でした。


私は、教室の入り口から彼の名前を呼びます。


「カズ君…」


私の声が聞こえたのか…彼は、私に視線を向けます。


その時の私は、どんな表情だったのでしょう…


私の顔を見た彼は、悲しそうな顔をして…泣いていました。



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