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プロローグ
魔法……
それは、自分の体内に血液のように流れる魔力を体外に噴出し、具現化すること、もしくはその方法である。
そして、魔法を使える人間のことを、魔法使いと呼ぶ。
退魔……
それは、魔界からこの世界に入って来た魔物や魔族を退けることである
そして、退魔をする人間のことを、退魔士と呼ぶ。
魔法使いと退魔士は、とても数が少ない…1つの国に、それぞれ1人ずついれば恵まれている。
数は少ないが、魔法使いも退魔士も、この世界では誰もがその存在を知っている。常識だ。
そして、魔法使いと退魔士が犬猿の仲であることもまた、常識だ。
魔を使う者と
魔を退く者……
それらは決して交わらない……平行な直線のような物だ。
だが、1人の魔法使いの青年の存在が、その常識を覆すことになるとは……
彼が生まれた時は誰も……いや、彼が生まれてから16年近くたった今でさえ、誰も思っていないのだ。
生まれた時からわかっている人間など、誰もいない……はずだ。
彼が常識を覆すのは、まだ少し……先の話である。