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ジュリエットの物語、いち
パン屋の朝は早い。
落ちて来る瞼を擦りながらベッドから出る。
「おはよう」
もう既に朝食を済ませているパパとママに言う。
「ほら、ジュリも早くたべちゃいなさい」
「うん、そうする」
「パパとママはもう店に行くからな」
朝5時。
パンを焼くために、早く厨房に出るパパとママ。
生まれてから18年間こんな生活だ。
「うん、早く食べてお店行くね」
ひとりで、なにも味のしないパパが作ったパンを食べながら、今日の事を考える。
パンを焼いている間にお店の掃除をして、看板出して、そして……
ロミオにパンを届けに行くんだ。
それが私の楽しみなのだ。
ロミオは、私の幼馴染とかいう奴で、そして……
…好きな人、でもある。
「 ふふ、早く会いたいなあ 」
なーんて、考えてたって
あいつにとっての私はただの幼馴染。
いつか、ロミオの隣を彼女として歩いてみたいなあ…なんて、…
「あほみたい」
そう呟いて、家を後にした。




