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樹木転生生活  作者: シキシ
転生
9/30

08話 戦いと忠誠

戦いは一方的に兎達が虎と牛をボコって終わりました。

え、なに。俺が無視されて、勝手に始まった戦いの内容が知りたいの?別に良いじゃん勝ったんだからそれで。説明しないとだめ?…はあー。じゃあ見たままを話すよ。


最初に動いたのは牛だった。俺と一緒にいた弾丸白兎に向けて突進していった。弾丸白兎は持ち前の速さでそれをかわし、助走をつけて牛の横っ腹に突っ込んだ。突っ込まれた牛は、自分に何が起きたのか分からないままぶっ飛んだ。牛が壁にぶつかりヨロヨロとしていると、弾丸白兎がドロップキックを顔面に食らわせ、牛の頭が壁にめり込んだ。足がぴくぴくと痙攣しているので死んではいないと思う。ただ頭が壁にめり込んだ際、かっこよかった角が折れてしまっているので、精神的には死んでしまったかもしれない。

虎の方はその様子をぽかんと間抜けな顔で見ていた。牛の折れた角が地面に落ちると、はっ、と虎が戦いの途中だったのを思い出したかの様に構え出した。目の前の弾丸白兎はなにをするでもなく、虎が動くのを待っているようだった。虎は牛を倒した弾丸白兎も警戒しようとしたが、その弾丸白兎を見つけた瞬間激怒した。

何故なら、その弾丸白兎は俺の隣で撫でられていたからだ。実はこの弾丸白兎は牛を瞬殺したあと、すぐに俺のそばまできて、『あなた様を侮辱するものを叩きのめしてきました。』と言い俺に頭を差し出して来たので、頭を撫でてあげたのである。虎の激怒は俺も悪いけど、ふかふかしてる頭を付きだされて、誉めて、誉めてという目線で見られたら、頭を撫でるしかなかった。だが、虎にとっては侮辱された風にしか見えなかった。激怒した虎はさっき、牛がどうやって殺られたかを忘れ、自分の近くの弾丸白兎に前足を振り上げ襲いかかった。それを弾丸白兎は、紙一重でかわしつつ、虎の髭を抜いた。虎は激怒しているため、その痛みを感じず、前足での猛攻を繰り返した。弾丸白兎はそれを全て紙一重でかわし、髭をむしった。髭がなくなると、今度は頭の毛を1本1本抜き出した。毛が抜かれたところが、なにかの模様に見えてきたところで虎が、一旦距離をとり猛攻が終わった。虎は既に涙目になっており肩で息をしていた。対する弾丸白兎は、まだまだ元気そうで、虎の髭と毛の舞い落ちた地面で虎をじっと見ている。虎が怯えて1歩下がると、すると弾丸白兎が1歩踏み出した。虎が恐怖に駆られ、逃げ出そうとした。だがそれより早く弾丸白兎が虎の正面に回り込み、アッパーカットを虎の顎に打ち込んだ。虎は意識を刈り取られ、綺麗な放物線を描きながら地面へと叩きつけられた。


こうして弾丸白兎達が圧勝しました。戦いの説明は、これでよかった?…で、今はなにしてるかって、今は崇めたてられてるんだよ。本当にどうしてこんなことになったんだ。そんなことを思い、戦いのあとを思い返してみる。


リーダーの一人っぽい白猿は戦いの結果に驚きながらも、弾丸白兎達を見ながら叫んだ。


『勝者、弾丸白兎達!!』

『『『『おおぉーー!!』』』』


広場にいた動物達が、歓声をあげたり、虎や牛の看病をしたりしだした。

不思議なことに、弾丸白兎達を怖がったり、批難したりするような声はなかった。むしろ、よくやった!とか、清々したよ!とかそう言う声が聞こえた。

しばらくして、虎や牛が意識を取り戻し、動物達が静かになると。虎を倒した弾丸白兎が話し出した。


『これで納得したな。今度、あの方を侮辱するようなことをしたら、家族だから殺しはしないが、家族だからこそ問答無用で、ボコボコにするからな。』


その言葉を聞き、虎と牛は1度顔を見合せてお互いの悲惨な顔を見てから、うんと頷いた。


『わ、分かったよ。俺らも少し冷静じゃなかった。言い訳にしかならないが、もう食べ物があまりなくて、イライラしてたんだよ。』

『うん。腹が減って誰かに八つ当たりしたかったんだよ。』


そう言い虎と牛はお腹の虫を鳴らした。

あれ?食べ物はニンジンを弾丸白兎達が村に持ってきたはず…。そう思い虎を倒した弾丸白兎を見てみる。弾丸白兎はまずい、という表情になりながら、冷や汗を流しながら俺から視線を外した。

…おい、まさかその話をまだしてなかったのか?普通、食料不足に陥ってるのなら、俺をどうするかより先に、食料を皆に渡さないか?

そういう視線を、虎を倒した弾丸白兎に向けていると、弾丸白兎はそれに気づかない振りをして話し出した。


『ああー。その、なんだ。その食料不足の件なんだが、あの方よりニンジンという食べ物を1日に1350本貰うことになってる。その上、ここにいる皆と『魂の絆』を結んで貰えるそうだ。俺等を見て分かるように、あの方と『魂の絆』を結べば進化することも確実だろう。見返りは地下で植物を育てる場所を、掘って欲しいとのことだった。だが、それだけでは受けた恩に全然つりあわないと俺は思う。だから、その植物の管理の手伝いまで俺達は引き受けようと思うが、反対意見があるものは言ってくれ、皆の意見が聞きたい。』


そう言うと他の弾丸白兎達が広場の真ん中に行き、ニンジンをせっせと『資材運搬』で異次元から取り出した。

あれ?俺のだした条件てこんなだったけ。この条件だと、「手伝わないと食べ物あげないよ」って言ってることになると思うんだけど、大丈夫なのこれ。

しかし、村人達の反応は俺の予想とは全く違った。


『あの食べ物は、『守り神』様の子孫様…新しい『守り神』様が用意してくださったの。だったら、私は喜んでお手伝いするわ。』

『そうだ。そのうえ、『魂の絆』まで結んでいただけるとか、反対する理由がないよ。』

『そうね、だとしたら、むしろ恩返しがたりないと思う。』

『僕達もいろいろ恩返ししたい。『施しの聖女』さんも恩返しは大切だっていってたもん。』

『そうね、恩返しは大事だねー。』

『死に瀕していた俺達を、救っていただいたうえに、力までいただいたお礼かあー。うーん。』

『この食べ物がなかったら、私達は死んでいたのだから…、そうだわ忠誠を誓って、新しい『守り神』のもとで命尽きるまで、恩を返していきましょう。』

『名案だな。それでも恩を返せるとは思わないが、それが俺らにできる精一杯の恩返しだな。』


いや、ちょっと待って。俺は皆と家族になりたいんだけど。そんな、食べ物で命を買ったみたいなことしたくないんだけど。それにこれからの人生?とじゃ全然つりあってないから、誰か気づいて。

その思いが通じたのか猿達が村の皆を静めた。

たが、それは続く言葉で裏切られた。


『静まれ、静まるのじゃ。お主達が言っていることは分かるし、その気持ちも分かる。じゃが、それは新しい『守り神』様が我らの忠誠を受け取っていただけた場合じゃ。

今から皆で一緒に忠誠を捧げるつもりじゃが、もしそれが受け取って貰えなかった時、わしらは恩返しができなくなる。だが、それではいかんのじゃ。その時はどうするか、しかとそれぞれでかんがえるのじゃ。』


…恩返しが難しなら無理してする必要ないと思う。

それに忠誠が断られたら諦めようよ。

俺の気を知らない動物達が、再度話し合いを始めた。


『おい、もし忠誠を受け取って貰えなかったら、お前はどうする?』

『俺は、……そうだ!勝手に忠誠を誓って、新しい『守り神』様の役に立つことを勝手にする。これなら、全部俺が勝手にしたことだから、新しい『守り神』様には責任とかは押し付けることにはならないからな。』

『それ良い考えだな。新しい『守り神』様に都合が悪いことを、なにも伝えずに俺達で解決して、新しい『守り神』様が煩わしくないようにするんだな。』

『そうそう、仮に俺達が失敗しても、本当に新しい『守り神』様は何も知らないから、不利にることもないし。』

『んーー。こっそり恩返しすれば良いんだね。分かった!僕達も頑張る!』


そん感じて動物達の話がまとまりだした。

…俺はそんなこと求めてないし、俺は動けないから、情報はできるだけ欲しいんだけど。それに、そんなことされたら余計に村の皆との、距離が開いてしまう。これだったら忠誠を誓われた方がまだましだ。

そう忠誠を受けることを決意すると、白猿がこっちを見て、にやっと口許を緩めた気がした。その白猿が動物達に向けて話し始めた。


『結論が出たみたいじゃな。わしらの忠誠が断られ立場合、わしらは新しい『守り神』様に勝手に忠誠を誓い、勝手に崇めることで新しい『守り神』様を手助けし、食料は仕方ないがそれ以外で、新しい『守り神』様の手を煩わせないようにようではないか。』

『ああ、俺もそれが言いと思う。お前らもそれでいいか?』

『『『『おおぉーー!!』』』』


俺が動物達の熱気に当てられて、1歩下がるとその気配に気づいた弾丸白兎達を含む全ての動物達が、こちらを向いて宣誓を始めた。


『我々はいかなるときもあなた様からの恩をを忘れず、』


と、牛が言い。


『あなた様をいかなる驚異からも守り、』


と、熊が続き。


『あなた様のどんな命令にも従うことをここに誓います。』


と、虎が誓い。


『我々の忠誠をあなた様に。』

『『『『忠誠をあなた様に!!』』』』


と、白猿と他の動物達が忠誠を口に出し膝まづいた。

全ての動物達の視線が俺をとらえている。

この状況を見て、忠誠を受け取る決意が揺らいだが、受け取らない方が、あとあとめんどくさいので、俺は忠誠を受けとることにした。


『分かった。お前らの忠誠は俺が受け取った。これからよろしく頼む。』


『『『『『ははー。』』』』』


こうして俺は、メソナン森林の生き残りの動物達の主になり、崇められるような存在になった。

次回は、ほとんど進化した動物達のステータスになります。もしかすると、先の展開で変更点が出るかもしれませんがご了承ください

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