07話 森林の生き残りの村
弾丸白兎達が泣き終わり、ニンジンを持って村に帰る準備を始めた。話の最中もニンジンを作成していたため、200本のニンジンができていた。体が小さくなったから、数回に分けて運ぶのだろうかと思っていると。
突然、目の前にあったニンジンの山が少しずつ消えていった。
俺が混乱していると、
『脅かせてしまいすみません。これは、私共のスキルの『資材運搬』です。こうやって、荷物を異空間に入れて運ぶスキルなんです。穴を掘って土を他の場所に運んでを、繰り返してるうちに覚えたスキルなんです。もし、あなた様が何かを運ぶことがありましたら、私共にお申し付けください。何でも丁寧に素早く運んで見せますので。』
と言い、最後のニンジンを『資材運搬』でしまいながら、弾丸白兎が説明してくれた。
弾丸白兎達が、村に行く準備が出来たようなので、後のニンジン作成を『補助人格』に任せて、弾丸白兎達の後ろをついていく。
弾丸白兎達の移動速度は、最初は体の調子を確かめるよう、時速80km位で走っていたが、途中から競いだして一番早いときの速度が、時速300km位にまで達していた。
俺も、その速度で走っていたかって?
…はは、無理に決まってるじゃん。
俺は、『領域支配』の効果で弾丸白兎達から1km以上離れられないので、一番後ろの弾丸白兎の500m位後ろで浮いていた。
体が魔魂なので、弾丸白兎達の土煙を浴びてもすり抜けることができたので不便ではなかった。ただ、移動中は暇だったので『高度算術』を使い、弾丸白兎達のだいたいの速度を測っていた。
そんなことをしながら2時間ほど経つと、弾丸白兎達が速度を急激に落とし始めた。
先程競っていたときに、先頭を走っていた弾丸白兎が頭を下げ、俺に話しかけてきた。
『先程のレースを勝った私が、あなた様が村に滞在する間、身の回りのお世話をすることになりました。ふつつかものですがよろしくお願いします。』
…さっきのレースはそういうことだったのか。
あ、他の弾丸白兎が後ろで悔しがってる…。
なるべく、悔しがってる弾丸白兎達を見ないようにしながら、
話しかけてきた弾丸白兎に答えた。
『分かった。ここからはお前についていけば良いんだな。こちらこそよろしく頼むよ。あと、村はまだみたいだけどどうしたんだ?』
俺はそう言つつ『領域支配』の設定を目の前の弾丸白兎に切り替えた。
『ここからは、私以外の弾丸白兎に先に村へ行って貰い、村の皆に事情を説明して貰います。私達の姿が変わっていますので、村の皆も一目見ただけでは私達だと分からないでしょうし、分かったとしても、その後質問攻めにあいます。そんな中、あなた様まで来られたとあっては、事態の収拾がつかなくなるでしょう。なので、私があなた様とここから歩いて村へ向かい、その間に他の者が事情の説明に戻ることになりました。』
『そうだったのか。だったら、一気にその場にいた全員と『魂の絆』結ばずに、一部の者とだけ『魂の絆』を結び、村についてから他の全員と『魂の絆』を結んで実演すればよかったな。
ごめん、気がきかなくて。』
『と、とんでもございません。あなた様が謝られることはなにもございません。あなた様の正体に気付けなかった私共が悪いのです。それに、私共と同種の者が村にいますので、その者達で実演を行えば問題ありません。』
す、少し謝罪しただけなのに、謝罪の必要がないと強く言われた。
それにしても俺の正体が分かってるって、どうして俺が魔樹だと分かったのかなあ。まあ、ばれたとしても困ることはないからいいか。
その後、先に行く弾丸白兎達を見送り、歩き始めて1時間ほど経った頃、洞窟の先が明るくなってきた。
辺りをよく見てみると、ふわふわしたものが壁のあちこちで光っていた。俺がそれを見ていると、一緒にいる弾丸白兎が説明してくれた。
『それは、光苔と言います。詳しいことは分かりませんが、空気中の悪いものを食べて光っているらしいです。村には光がないと周りが見えないものが、多くいますので村の周りで育てているのですよ。まあ、何かを食べさせたりしているわけではないんですけどね。』
『そうなんだ、じゃあ村ももう近いの?』
『そうです。あそこの角を曲がると村につきます。』
そう言われ俺は目の前の角に視線を向けた。
そして俺達はその角を曲がり広い空間に出た。
俺は、あまりの村のすごさに驚いた。村の家はこの洞窟と同じ土でできていたが、その壁や扉、窓には元の世界のギリシャ神殿の様な模様が彫られており、動物の手で作った様には見えなかった。そんな家が、数件バラバラのサイズで作られており、道の両サイドに並んでいた。
その道の先の広場らしき所では動物のような者達が集まって話し合っていた。そこには、弾丸白兎達もいた。
そこに近づくにつれ少し話が聞こえてきた。
『ーーーが帰ってこられたんだ。』
『そんなことあるわけないだろ。ーー様はあのときーーーに包まれてーーたんだ。』
『わしらはあのときたしかにーーーがーーーーーしてーーー。』
『でも現実におられるのだ。その証拠にーーーーーーー。』
『でも、しかし。』
『おじさん達かっこいい!!』
『お姉さんもかわいくなってる!!』
『こら、子供達はーーーーしてなさい。』
子供達の声?は高い音だったのでここまで聞こえたが、他の声は遠くてよく聞こえなかった。
もうすぐ広場に着くというところで、広場にいた動物達が少しずつこちらに気づき、ぎょっとしたように見て静かに膝まづきだした。その中には涙を流したり、謝罪を口にしている者もいた。
え、なにその反応。お、俺ってそんなに怖い?でも、そのわりには子供?みたいなのには手を振られてるし、どうなってるんだ?
とか思いながら、子供?に手を振り返しながら、広場の中心へ向かった。
広場の中心では、猿、熊、虎、牛が1匹ずつと、弾丸白兎達と話し合っていた。
外見は、猿は、長く生きているようで、体の全身の毛が白色く髭が長かった。熊は毛の色は銀色で輝いて見えるが、体の至るところの毛が剥げていて、頭のてっぺんもハゲておりオッサンみたいでだった。
虎は普通の虎のような姿だったが、若者のリーダーみたいなカリスマのような者を感じた。最後の牛だが、茶色で角が長くかっこいい見た目だが、リーダーの虎に追従している子分に見えた。
俺に気づくと弾丸白兎達は膝まづき、猿、熊、虎、牛達は、茫然としていた。
俺と交渉?をしていた弾丸白兎が、猿達に
『おい、早くお前らも膝まづかんか。』
と言うと、猿と熊が
『おお、本当に、本当に生きておられたのか。』
『よ、よくあの中をご無事で。』
と言い泣きながら膝まづきだし、虎と牛が
『い、生きていたなら今までなにを…。あなたがいなかったせいでどれだけの者が犠牲に…。』
『今さら出て来て何様のつもりだ。』
と言い俺に怒り出した。
……俺、君達と初対面だよね?生きてたって何?
『えっと、誰かと間違えてない?俺は産まれて2ヶ月位なんだけど。』
と言うと、周りから声が聞こえた、
『え、違うの?』
『ばか、そんなはずないだろあの姿見ろよ、前に見たときと全く変わらないじゃないか。』
『でも、本人がああおっしゃってるし、話し方が少し違うし。』
『そ、そう言われるとそうだが』
『それに、産まれてから2ヶ月位とおっしゃってるじゃない。』
『うーん。……そうだあの方、きっと『守り神』様の子孫なんだ。それだったら姿が同じなのも納得がいく。』
『そうね、そう、きっとそうよ。『守り神』様の子孫に違いないわ。』
など、いろいろ言ってるけど、俺はその『守り神』の子孫じゃないと思うなあ。転生者だし、『魔樹』だし。
勘違いは正しておこうと話し掛けようとすると、虎と牛が俺の前まできて文句をいってきた。
『『守り神』様ならいざ知らず、その子孫荷まで頭を下げる気はない。』
『そうだ、産まれて2ヶ月のやつなんかに従ってたまるか。』
いや、俺は別に『守り神』様の子孫でもないし、君達を従えようとも……。あっ、『魂の絆』のことか!別に『同胞』で良いんだけど。その事を話そうとすると、今度は猿が話始めた。
『そんなに、この方に従うのが嫌なら力で相手を従えるのはどうじゃろう。元々我ら動物の世界は弱肉強食。強きものが上に立つのが自然じゃろう。わしと土熊が見ているから、存分に戦うといい。』
そう言うと猿と熊が、広場に集まっていた動物達を中心から遠ざけた。虎と牛はやる気満々にこちらを見ている。
…俺、戦うとか言ってないんだけど。それ以前に、魔魂だから、物理攻撃は効かないし、俺も攻撃手段がないから終わりのない泥仕合になる気がする。こうなったら、棄権して虎と牛以外と『魂の絆』を結んで帰ろうかなあ。うん、そうしよう。
棄権しようと手を挙げて話そうとすると、仲間のはずの弾丸白兎達にを遮られた。
『お前らの行動は目に余る。ここは俺らが相手をしてやる。おい、やるぞ来い。』
と言い俺の世話をする予定の弾丸白兎を呼び寄せた。
その弾丸白兎はしぶしぶという雰囲気をだしていたが、なぜか口許が笑っていた気がした。
向こうもあっさりとそれを認め、4匹で戦うことになった。
どう見ても、小動物をイジメようとしている大型獣に見えた。
『用意、……はじめ!』
猿の言葉を合図に試合が始まった。
そして、誰にも話を聞いて貰えなかった俺は、おとなしく体育座りをしていじけた。