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樹木転生生活  作者: シキシ
転生
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04話 初めての仲間

(痛っ!)


成長させていた根っこの先に何かが噛みついてきた。

とりあえず、噛みつかれた根っこに意識を向けてみる。

意識を向けた先は空洞になっており、暗くてよく見えなかった。


≪魔力を流し込むことで、『領域支配』で空洞内を探知することが可能です。≫


よし、じゃあ『魔力貯蔵』から魔力を出してみよう。

魔力を出してみると空洞の形がよく分かった。

車が通れそうな位の横穴がありかなり奥まで続いていた。

でも、根っこに噛みついてきた生物が見当たらない。

気のせい…ではないよな。根っこに噛みつかれた痕があるし。

気を取り直して空洞の奥に意識を向けてみると、たくさんの足音が聞こえてきた。

しばらくすると、全長3mくらいの白い毛玉に、鋭い爪の生えた短い手足があり、頭には自身の種族を表すだろうウサ耳が生えたウサギ?ぽいのが、4即歩行で数羽歩いてきた。

俺(根っこ)に近づいてきて、ウサギ?同士で相談を始めたので『意思疎通』で話を聞いてみた。


『な、食料あったろ。』

『ああ、これだけ栄養がある食料があればまだ、数日は生き残れるな。』

『よし、じゃあ掘れるとこまで掘って全部持ち帰ろう。』

『腹減った。腹減った。』


…ヤバい。このままだと俺、喰われる。

根っこを噛まれただけでも痛かったのに、これからずっとそれが続くなんていやだ。

何とかしてここを切り抜けないと。

対策を練っているとウサギ?達が近づいてきたので、思わず『意思疎通』で話しかけた。


『おい、お前らこっちに来るな。お、俺には毒があるんだぞ。だからこっちに来るな。』


ウサギ?達は一瞬驚いたが、すぐに俺に話しかけてきた。


『話す植物は珍しいが、お前に毒がないのは知ってるんだよ。』

『本来は誉めるところではないんだが、こいつが勝手に食べたからな。』

『お前には、悪いが俺達にも事情があるからな、別に恨んでくれても構わない。』

『腹減った。腹減った。』


くっ、ダメか。そういえば噛まれたからここに来たんだし、毒がないのはバレてるか。

どうかしないと、どうかしないと。


≪今、空洞に出ている根っこの周りを、『種子作成』で毒のある種で覆いますか?≫


おおー、根っこでも種が作れるのか。

確かに、ニンジンとか、株とか、芋とかって土のなかで育つもんな。

うーん。いいこと思いついた!

種だけど、食べたらすぐ苦しくなって、1日後くらいたったらに死ぬ毒がある種と、その毒を中和できる種と、ニンジンって作れる?


≪確認中…。確認が完了しました。種は二種類とも作成可能です。ニンジンも、果実の部分を魔力で作ることで作成可能です。≫


じゃあ、空洞に出ている根っこの周りを毒のある種で覆って、今すぐ。


≪分かりました。作成を行います。

…完了しました。≫


空洞に出ている根っこが、毒のある種(極小)で一瞬にして覆われた。

ウサギ?達は、それに気づかず根っこの周りを掘り、根っこを爪で切り取ろうとしていた。

切り取られる痛みに耐えながら、ウサギ?達の様子を見ていると、ウサギ?達が話しかけてきた。


『最初に噛んだときから思っていたが、お前に攻撃手段はないんだろう。』

『お前は偉そうに言うな!相手にもし攻撃手段があったら、お前だけの問題じゃないんだぞ、頼むからもっと慎重になってくれ。』

『まあ、まあ。今回はこいつのお陰で食べ物が手はいったんだ。今度から、気をつけるってことでいいじゃないか。』

『もぐもぐ、もぐもぐ。…うっ、ぐ、ぐるじい。』


最初は、楽しげに話していたウサギ?達だったが、つまみ食いをしていた1羽が苦しそうに倒れたら、他のウサギ?達が慌て出した。

なので毒を中和する種を『補助人格』に作成させながら、話しかけた。


『おい、お前ら。その苦しんでるヤツが食べた根っこには、食べたら1日ぐらいで死ぬ毒がある。毒があるから食うなといったのに、それを否定して食ったお前らが本当は悪いが、そのまま死なれるとこっちの目覚めが悪い。

今、根っこの先に毒を中和する種を作ったからそれを食べさせてやれ。』


ウサギ?達は話の内容や、根っこの先にできた種(大)に最初は驚いていたが、苦しんでる仲間の状況を思い出して、根っこから種を取り急いで食わせた。

すると苦しんでいたウサギ?は、急に飛び上がりペッペッと口に残っていた種を吐き出した。

どうやら、凄く苦かったようだ。


≪今後、薬として使える種があるからと言って、毒があっても気にせず食べられたら困るので、種を凄く苦くなるよう作成しました。≫


ありがとう、いい薬です。

じゃなくて、そういうことは相談してからして欲しかった。


≪特に指示がなく、ウサギ?達との協力関係のことを考えると、最初に躾をしておいた方がいいと思い実行しました。≫


あれ、そのこともう話したっけ?


≪いいえ。ですが、私に「飴と鞭」を用意させたことから簡単に推察できました。≫


そうか~。じゃあ、ニンジン製作してもらっていい?


≪分かりました。作成を行います。

…完了しました。≫


会話を終えると同時に、根っこの先にニンジンができた。

ちなみに、根っこから生えてるので葉っぱはない。

よし、ウサギ?達はどうなっているかなー、確認してみると、なんか集まってうさうさと話し合っていた。


『ホントだって。俺が食ったときはどうもなかったんだって。』

『このまま持ち帰ってたら村が壊滅するところだったんだぞ。』

『でもどうする?このままだと村の食料が持たないぞ、一様毒を中和できる種があるみたいだし、それを出してもらえれば食えるみたいだけど。』

『苦い、苦いー、ペッペッ。うぅー。』

『いっ、一様俺もこの種食べとこうかなー。うっわ、にッがー、ペッペッ。』

『…お前はあれをみても食いたいと思うのか』

『すまない。それに相手が種をくれるかも分からないしな。』

『くんくん、なんか美味しそうな匂いがする。』


あ、ウサギ?達がこっち向いた。

視線がニンジンに釘付けになつてる。…話を切り出すか。


『お前らがもし、俺の仲間になってくれて、俺のお願いを聞いてくれるなら、このニンジンを毎日お前らにくれてやろう。さあ、どうする。』


ウサギ?達がまた話し合って、そのうちの1羽が前にでてきて話し出した。


『そのニンジンというのは、毒があったり、苦かったりしませんか?』


『勿論だ。むしろ甘くてお前らも気に入ると思うぞ。』


『それはいくつも準備をできますか?』


どうなんだ、『補助人格』?


≪1時間で400本は可能です。≫


すごっ、まあそれだけあれば足りるだろう。


『お前らがどれだけ食べるか分からないが、可能だと思うぞ。』


『あ、ここにいる俺達だけじゃなく、村のみんなの分もほしいんですが、えーと、1日1350本ほどほしいのですが。』


1時間で400本だから、…大体3時間半くらいか。

こいつらが寝ている間に作ればいいか、俺眠らないし。


『大丈夫だ。準備できそうだ。その代わり、村の者にも俺のお願いを聞いてもらうがいいか。』


おおー、とウサギ?達から声が上がった。

中には涙を流しているものもいる。


『村の者は俺、いや私が責任をもって説得いたします。なのであなた様の、仲間、…下僕にしていただけないでしょうか。』


そういい前のウサギ?が膝まづくと、それにならい後ろのウサギ?達も膝まづいた。

あっあれー。おかしいな。ここまでするつもりはなかったのに、予想以上に「飴と鞭」が効きすぎた。

まっいっか、別に仲間でも、下僕でもこっちからの接し方は変わらないし。


『分かった。これからお前らは、俺の下僕だ!よろしくたのむぞ。』


『こちらこそよろしくお願いします。』


『『『『『よろしくお願いします。』』』』』


こうして、俺は窮地を脱することができ、俺に初めての仲間(下僕)もできた。

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