01話 魔樹転生
気がつくと雲1つない青空が見えた。
いや、見えたというのには語弊かあった。
今の俺には芽はあるけど目はないのだから。
なんというか見るというより、感じるのだ。
まあそこは『魔樹』になったからと納得しておこう。
俺の今の姿は、緑色で直径3mm程の茎に、小さな子葉が2つという状態だ。
続いて周りをみてみよう。
俺から5㎞程離れた位置に湖があり、それ以外はなにもなく全方位水平線が見える。
そう、全方位が見えるのだ。
大きな障害物がなにもなく、草木1本も生えていない。
まあ、俺がいるから魔樹が1本生えているんだが。
地面は焼け焦げ、所々に動物の骨らしきものが落ちている。
先程の湖は濁り、魚の死体が浮かんでいる。
つまり、俺は焼け野原にたたずむ1輪の花。キリ!
・・・じゃかった、1本の魔樹(芽)だった。
そんな一人話をしていると、
≪焼け野原と言う所も、焼け落ちた『メソナン森林』と訂正した方がいいです。≫
と直接頭の中に声が聞こえた。
俺はびくびくしながら、周りを確認し今のは何だたのだろうと思っていると、
≪私は貴方のスキルの『補助人格』です。スキルなので実体はなく、貴方の中に存在しているので周りを確認しても意味はありません。≫
と言われたので頭の中でいろいろ質問してみた。
なんで俺は『魔樹』になったんだ?
≪貴方の願いは『働かなくてもよくなりたい』でしたので、動物は働かないと生きていけないので動物ではなくなりました。
次に鉱物は長い年月と、大量の魔力により、魂を宿すのですが、今回はよい転生先が無かったので鉱物ではなくなりました。
そして、残った植物に貴方の転生が決まり、スキルに耐えれるように『魔樹』への転生になりました。≫
そうか、願いが間違ってたのか、これは俺のミスだな。うん、仕方ない。
じゃあ次はどうしてここ転生したの、思いっきり場違いな気がするんだけど。
≪ここは元々『メソナン森林』で数年前に魔族と、人族の戦いで焼け落ちた森です。なので多くの魔法が飛びかったり、多くの魂を持つ生物が死んでしまったりした結果、ここにはほとんどの生物が生きていけない程の魔力だまりが発生してしまいました。魔樹はその性質上、魔力と日光、又は水と日光さえあれば生きていけるので、この場所に転生となりました。あと、この世界の管理者がこの魔力だまりを、消してしまいたかったのも1つの理由でしょう。≫
ここはどうならなかったかなー
せめてもっと平和ところでのんびりしたかった。
最後にスキルってなに、俺がいた世界にはなかったんだけど。
≪スキルとはこの世界で強き思念や感情、努力や進化により獲得でるもので、スキルはこの世界の事象に干渉し、望む事象を引き起こすことができます。自身のスキルは『ステータス』から確認することができます。なお、貴方のいた世界には魔力が薄かったため『ステータス』が開けませんでした。≫
それじゃあもとの世界でも確認出来なかっただけで、スキルを使うことができたのか?
≪はい、使用することは可能でした。≫
じゃあこの世界の管理者に貰ったスキル以外にも俺にスキルはあるのか?
≪はい、あります。『ステータス』は頭の中でステータスととなえると使用できます。≫
そうか、俺にも元からスキルがあるのか、よし一度確認してみよう。
(ステータス表示)
ステータス
名前 :(未設定)
種族 :魔樹
状態 :芽
称号 :異世界からの転生者
スキル:
通常物理理解
高度算術
疲労無効
意思疎通
領域支配
補助人格
種子作成
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