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いつか夢はかないますか?  作者: 武上渓
8/13

ー第3話2

渡辺の背中から、桑畑に向きなおった。

木の間に、踏み固められた道が付いている。

そこに降りて行く。

しばらく行くと、学生服を着た僕がうずくまっていた。

「らしくないんじゃないか?」

顔が上がって、潤んだ目が僕を見つめた。

「20年後のお前だ。感想をどうぞ?」

「……なにしに来たんだよ」

「仕事だ。戦場カメラマンをやってて、過去に跳ばされた」

「小説家じゃないんだ?」

非難するように、顔を歪めた。

「小説は書いてるよ。それで生活はできてないがね」

理解できないと言う顔をする。

「夢はかなう?」

「小説を書いて、少ないけど読んでくれて、書いた物を大切にしてくれる人達がいる…」

そこで言葉に詰まった。

自分にウソをつけない。僕は静かに心の奥底のありのままを言葉にした。

絞り出すように…

「…夢は。かなった。でも、次の夢ができた。読んでくれる人が居る限り、書き続けるって夢がね。それは簡単じゃないんだ。あきらめる理由は、いっぱい有る。やらない事情はいっぱい有るからね」

「でも、やるんだろ?」

「やるさ。中学生の土岐敏也に向かって、あきらめたなんて言えるかよ」

彼の顔に笑顔が戻った。

「渡辺にゴメンって言ってくる!」

「それでこそ土岐敏也だ!」

立ち上がると駆け出して、木立に消えた。


フト。気配を感じて振り返った。

木々の間から赤い車が見える。

……赤い車?赤いセリカ?に気を付けて?


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