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いつか夢はかないますか?  作者: 武上渓
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ー第2話国際交流センター

ー第2話国際交流センター


岐阜駅で待っててくれた友達のホンダのFTRで、岐阜駅前から金華橋に向かう。

金華橋を渡り、メモリアルセンターを過ぎ、自由書房を左側に見ると雨屋交差点。左折して行くと右手に上土居中学が現れ、さらに行くと鷺山小学校。その先に国際交流センターが有る。

くすんだ3階建ての鉄筋コンクリートビル。

手前にコンビニができていた。

サンドイッチでも買おうと駐車場に入った。



たまごサンドをつかんで、レジに向くと店員と見つめ合ってしまった。

「土岐君?」

「渡辺?」

中学校からの知り合いである、渡辺あゆみだった。確か会社経営者と結婚したはずだ。

何故?コンビニで働いてる?

「戦場カメラマンになったって聞いたけど…」

渡辺はカメラケースを見た。

「依頼が有って、取材に来た」

少し沈黙が有って、渡辺は言った。

「私離婚した。高校生の男の子がいる」

渡辺は中学一年から卒業まで彼女だった。

「それは、大変だな」

渡辺はたまごサンドをもぎとって、バーコードをスキャンした。

「帰りにまた寄って」

トイカを見せて支払いを済ませた。

「赤いセリカに気をつけて」

何の事か判らずにとまどった。

「セリカなんて古い車…もう走ってないよ」

渡辺は黙って首を小さく振った。

「じゃあ。帰りに寄るよ」

とりあえずコンビニを出た。


両開きのドアに大きな持ち手が付いている。

その前にFTRを停めた。

カメラを出してシャッターを切り、何枚か押さえる。

上には金属で出来た文字で、国際交流センターと掲げて有る。

金メッキが所々残っている。

調べてみると、この土地と建物は日本に返還されていない。つまり、日本の司法権が無い。

持ち手を引くと、

ガクンと

緩い蝶番のせいで傾いて開いた。

すぐにカウンターが有り、事務所がフロアに拡がっている。

受付と書かれた白い板がカウンターに見える。

制服を着た女性が口を開きかけた瞬間

ジジジジ…ジジジジ

壊れかけたベルの音が鳴り始めた。

女性は右を見た。

僕も右を見た。

そこに有る白いドアが

ガンッ!

と開いて、目と歯茎を剥き出した白衣の男達が走り出してきた。

「アラーム!アラーム!オールバア~ック」

と言いながら両開きのドアを突き飛ばすようにして外に走り去る。

ドアが外れて倒れ、その上を何十人も踏みつけて行く。

カウンターの女性も、カウンターを乗り越えて脇を走り去る。その後ろからも事務員達が駈け抜けた。

僕は1人誰も居なくなった事務所に立っていた。

振り返ると事務員と白衣の男女が遠くで手招きしながら叫んでいる。

…逃げて、こっちにい~

と。

その姿が白く滲んで行く。滲んでいるのは俺の方だと感じた。

タイムアフタータイムが暴走した?じゃぁ過去に?

全てがホワイトアウトした。

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