ー第4話2
「発進ヘタクソだね」
後ろから渡辺が言った。
「しがみついてたのが吹っ飛んだ。ナイスアシストだ」
ナビ席の僕が後ろを見ながら言う。
「バイクで来たよ!」
見るとFTR をパクった男が迫ってくる。
「キーを差したままだった。どうするか?だな……」
「倒しちゃえ!」
「ダメだ」
「なんで?」
「あれ、卓司のバイクだから」
「卓司すごいやん。僕は僕はあぁゆうのに乗ってるの?」
「乗ってるよ。楽しみにしとけ!」
男はヘルメットを被っていない。
なら…。
男は横に付けて来た。
左手を背広の中に入れて、拳銃を持った手が出て来た。
「片手運転すんな!卓司のバイクだぞ!」
あんっ?と言う顔をして隙が生じた。
ナビ席の僕が手を伸ばして、呆気なく拳銃をもぎ取った。
そして、北警察署の前に差し掛かった。
パトカーが跳びだして来て、スピーカーが怒鳴った。
ーノーヘルバイク~停まりなさい。並走をやめなさいー
男はバイクを停めて、捕まると思いきや、田んぼの中を人とは思えないスピードで逃げ始めた。
ー逃げるな~止まりなさいー
パトカーは追跡の為に走り去った。
そして、セリカの車内もナビ席の僕も、後ろの渡辺も。
白く点々に抜け始めた。
僕はセリカを停車させた。
「帰る時間が来たみたいだ」
渡辺が笑顔で、前に乗り出して言った。
「20年後に会おう!」
僕は両手で二人を抱き寄せた。
二人とも暖かかった。
そして白い闇が全てを閉ざした。




