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中ノ下

俺は元の世界で酷いことをしてしまった酒見さんに罪滅ぼしをすべく助ける事を決意した。

まずは左上にある[マップ]を使ってみようと思う。

小さく表示されているマップを人差し指でタップする。

すると全画面表示になり映る範囲も広くなった。


しかし、


「辺り一面荒野なんですが……」


表示されている範囲は全てが荒野だった。

その中に動く赤い丸があったが、どうやら敵らしい。

なぜわかったかと言うと、[マップ]の右下にはこう書かれていたからだ。


● 赤丸:敵

● 黒丸:不明(死者含む)

●青丸:味方

●いずれもタップで詳細表示


次に俺はマップをスクロールして今まで表示されていなかった所まで表示させた。

すると、一つの国らしきところが見つかった。

そこにはこう書かれていた。


西の帝国:人口13600人(内 王族貴族3% 平民75% 奴隷21% 不明1%以下)


「ん?不明って……」


俺は[マップ]を二本の指で拡大して見回すと怪しいものを見つけた。


「これが不明の正体か」


30個ほどの黒丸が、王城らしきものの一角に固まっているのがあったのだ。


俺はある一つの予感を抱きつつ、その中の一つの黒丸を恐る恐るタップする。


シン=カイドウ(不明)


忘れもしない名前だった。

俺をいじめていたグループのリーダー、進だ。


「ってことは……」


黒丸を片っ端から調べていくと、全て見覚えのある名前だった。

その中には酒見さんの文字もあった。

俺と一緒にクラスメイトも異世界転生にあったという事をこれが示していた。


「やっぱあいつらも一緒だったのか……ひとまずは酒見さんが見つかって良かった」


思わずそんな声が漏れる。

しかし落ち着いてはいられない事に気がつく。


「まてよ、確か黒丸は死者も含むんじゃなかったか?さっきから全然動いてないし……急がなきゃ!」


その思考に至った時、勇者と神龍から略奪したスキルとステータスで西の帝国に向かって大ジャンプする。

酒見さんが生きているという可能性に賭けて。


●スキル:飛翔を使用しました


……凄い!飛んでいる……ものすごい勢いで空を駆けている!


しかし……


「うぁぁぁぁぁ!!!!」


俺はジェットコースター系が苦手だった。

今の状態を言えばセーフティ、イス、車体無しの超高速ジェットコースターに乗っているみたいだ。

風が耳元で轟音を立て、止まれと突き出した両手からはソニックブームが生まれ……


結局俺は制御を失いどっかに墜落してしまった。






口には土の味が残る中、俺は目を開けた。

ゆっくり起き上がり現状確認。


体に痛みなし。

異常なし。

しかし俺が落ちた地面に異常あり。


「クレーター……だと……」


思わずその声が出てしまうのも無理はない。

俺を中心として10メートル程の大きな深いくぼみが出来ていた。


それを作った原因が何だかはオレ自身が一番よくわかっている。

しかし、その当の本人である俺に全く痛みや異常は無い。


「やっぱ俺だいぶ強いんだな……」


その結論にたどり着いた数秒後、図太い声が聞こえた。


「俺様の領地に踏み入って来たのはどこのどいつだ?」


声の方向を見るといかにも魔王っぽい、左右で長さの違う角を生やした大男が立っていた。


「ん?ガキじゃねーかよ。さっきの勇者や神龍といい、コイツといい迷惑な奴だぜ全く」


その発言の中に突っかかる点があったので、それについて質問してみる。


「勇者と神龍を知っているのか?」


声が震えてるって?仕方がないじゃないか。


「ん?挨拶もなしかよ。まぁいい、冥土の土産に教えてやんよ、この名もなき魔王ジルガド=ナセツ様がなぁ!!」


名前あんじゃん。

ってかやっぱり魔王か。


「そもそもここは俺様の隠れ家なんだよ!まず普通の方法じゃ見つからねぇ。なのにあの勇者と神龍ときたら寝込みを襲って俺様を倒しに来たんだぜ!」


呆れた顔でやれやれと首を振る魔王。

そして口元をニヤリと歪ませつつこう言った。


「ムカついたからぁ、あいつら二人とも()()()()()()()()()()()()()()()()!!」


なんだと……俺にこれほどの力を授けた(俺が一方的に奪った)勇者と神龍のタッグを一人で破って見せたと言うのか……。


俺の背筋に冷や汗が流れる。

しかしこうしている暇はない、たしかに勇者と神龍の仇も取りたいが今何よりも優先すべきは酒見さんだ。


俺がもう一度飛翔スキルを使おうとすると、


「おっと。逃さねえ!」


そう言って辺り一面を闇のオーラで包み込んだ。


「これは漆黒の鳥籠(シェイドプロテイター)っつう言わば拘束魔法だ。ここからお前は出られねぇ。俺が任意で解くか俺が死ぬまでだがな!さぁて……一方的な暴力(コロシアイ)を始めるかぁ!!」


…………。


言わせておけば……良い気になりやがって。


そろそろ俺も我慢の限界だったんだ。


殴られ、金品を取られ、物を捨てられ、ライターで炙られ、窓から突き落とされそうになれ、水をかけられ、熱湯をかけられ、いじめられ、いじめられいじめられいじめられいじめられ……。


「もう、一方的な暴力は懲り懲りなんだ……」

「あぁん?なんだって??」


しかし今の俺には力がある。

ずっとやられ続けた過去の俺では無い!!


「その能力……略奪(うばわ)せろ!!!」


●スキル:勇者を使用しました。

●聖剣を召喚します


空中に現れた魔法陣に手を突っ込む。


するとそこに現れたのは緑色の光を発行する真っ白な剣だった。


「なに!?目ガァ!!」


聖なる光は闇の住人である魔王にとってこれほど無い効果を発揮した。


刹那、緑の残光が魔王の体を中央から二分割する。


●魔王を討伐しました

●死の略奪者の発動により、すべての能力を引き継ぎました

●死の略奪者の発動により、すべてのアイテムを引き継ぎました


漆黒に包まれていたこの空間に光が取り戻される。


「勝っ……た……?」


あまりにも簡単に倒せてしまったので、逆に驚かされてしまった。


後ろを振り返ると魔王の亡骸の中に黒く輝く野球のボールほどの球体が浮いていた。


それはこう記されている。


●魔王の黑核:魔王の心臓部、魔王を倒すことにより入手可能。これを祭壇に掲げると勇者として召喚された者は元の世界に戻れる。


……ッ!?


元の世界に戻れるだって……?


「これは、やったぞ……」


思わず笑みが零れる。


何故かって?

これであとは酒見さんを助けるだけだからだ。

生きていてくれれば、晴れて二人で元の世界に帰れる。


ピースは揃った。

あと、もう一踏ん張りだ。


そう思いながら大空に飛び立つのであった。


●スキル:飛翔を使用しました


カサハラ=ケンジ LV????? ♂ (17)

[人族][神龍族][魔王族]

○筋力:?????

○防御:?????

○魔力:?????

○魔防:?????

○体力:?????


[固有スキル]

輪廻転生 勇者 死の略奪者 闇の帝王(ダークエンペラー)(魔王の固有スキル。全ての影と陰を操る闇の力を手にする)

[一般スキル]

全属性耐性 全状態異常無効


これで[中]は終わりで次からクラスメイトへの復讐と酒見さんを助ける[下]が始まります!

一番最初に3〜5話と書きましたがあと2、3話続きそうです!

よかったらお楽しみに!


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