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思いついた話を投稿させて頂きます!
おそらく3話から5話で完結するとおもいますので、あらかじめご了承ください。
その日の俺、笠原健二はいつも通りいじめられていた。
授業中だと言うのに、俺をいじめている奴らは消しゴムのカスを投げてくる。
高校生としての自覚はあるのだろうか?
いじめている数人のグループ以外の奴らは俺のことを見て笑っている。
今教壇の前で授業している先生さえも明らかに笑っている。
この空間で味方はいない。
全員が俺のいじめ役、俺は惨めないじめられっ子と言うわけだ。
授業が終わった。
昼休みに入る。
しかしここからが更なる地獄だ。
「おい!俺らの昼飯ダッシュで買って来い!」
いかにもヤンキーそうなイジメグループのリーダー、進がそう言ってくる。
「わたしメロンパン」
「じゃあ私もそれで」
イジメグループの女子2人、彩花と来夢だ。
「なぁーに突っ立ってんだよ!俺ら腹減ってんだよ」
「こいつ、とうとう日本語も分かんなくなっちまったのかよ」
次にそう罵声を浴びせてきたのは、イジメグループの残りの男子2人、將と秀だ。
ちなみにこの二人はそれぞれ、彩花と来夢と付き合っているらしい。
その時、俺は右頰に激しい痛みを感じた。
進に殴られた。
その進が続ける。
「早くしろってんだよ!本当に日本語わかんなくなっちまったのかよ」
後ろの4人は爆笑し、クラスの周りの奴らも控えめに笑う。
俺は半ば逃げ出すようにあいつらの昼飯を買いに行く。
これが俺のいつもの生活。
周りは俺をみて嘲笑い、イジメグループは俺でストレスを発散する。
そんないじめの付きまとう日常。
なぜこんなことになってしまったのか。
理由は約3カ月前に遡る。
「健二くんのことがずっと、ずっと誰よりも好きでした!付き合って下さい!!」
これが全ての始まりだった。
今俺に『告白』してきたのは、万人中万人が異口同音に「美少女」と言うであろう、この学校のマドンナ。
酒見月夜さんだ。
大きな黒目にストレートロングの黒髪、スタイルも申し分ない完璧美少女だ。
そんな彼女が、中肉中背で特徴が無い事が特徴な俺に『告白』してきたのだ。
その時俺は気づく。
(あぁ、これ、『嘘コク』だ)
と。
『嘘コク』とは名の通り、嘘の告白をして反応を楽しむ一種の罰ゲームだ。
巷では、この『嘘コク』でOKを貰った回数を競い合っているんだとか。
俺はこの高校に入ってから3回も『嘘コク』の被害に遭われた。
それに全ての答えでOKを出したのだ。
何故って?
嬉しかったんだよ。
ただ純粋に俺に愛情を降り注いでくれる、そんな彼女が欲しかったんだよ!
しかし現実はそう甘くはない。
だからこそこの答えが出てしまった。
「酒見さん、これ『嘘コク』だよね、いやぁ、参っちゃうよ。俺が今までずっとOKしてきたのを知ってこんな事してきたんだよね?」
「……」
酒見さんが無言で俯く。
(やっぱりか……正直ちょっとだけ期待してたのにな。まぁありえない話か。)
そう考、素っ気ないそぶりで後ろを振り向きつつ続ける。
「そういえば、ギャラリーの女子が見当たらないけど、どこに隠れてるのかな?酒見さんにこんな事させる奴らは女子であろうと許さない……なんて」
そう言いつつ前を向くと……
無言で涙を流す酒見さんがいた。
「えッ……?」
気がついた。
しかしもう遅かった。
『嘘コク』ではない。
『告白』だった。
その後は走り去る酒見さんをただ唖然と見ているしかなかった。
その次の日からだった。
俺は学園一の美少女の一世一代の告白を酷いやり方で断ったとして、その名を轟かせていた。
そして今の俺が完成する。
昼休みの終わり、食後の運動と称してイジメグループに一通り殴られたあと午後の授業が始まる。
何も食べていないことに加え口の中に血の味が広がり、とてもじゃ無いがまともに授業なんか受けられない。
そんな時授業なのに喋っているクラスメイト(少なくともそう呼べる関係では無いが)の会話がふと聞こえた。
「そういや、今日の爆弾の爆破時刻ってもうすぐ時間だよな!」
「いやいや、あんなの誰かのイタズラだって。真に受けんなって」
「流石にわかってるって」
その会話を聞いて俺も思い出した。
今日の朝、学校メールで届いた一通のメールを。
俺はスクールバッグから愛機を取り出しそのメールを再度確認する。
やっぱりそうだ。
メールには、学校に爆弾が設置されたと思わしき内容が書かれていた。
たしかに爆破予告の時間まであと少しだ。
その時……
ピッビッピッ……
どこからか規則正しい電子音が響いてきた。
すると
「あぁー!健二くんいけないんだぁー授業中にスマホいじるなんて!」
(しまった!マズイ!)
「こら!何やってんだ、笠原!こっそり使うならまだしも、音を出すとは!これは募集する!」
明らかに、俺の愛機から出ていた音では無いのに、募集されてしまった。
さっき俺の事を犯人にでっち上げた女子は、他の女子と「ナイス!」や「まあね」等会話を再開していた。
他のクラスの奴らはクスクス笑っている。
やはりこの空間には、俺の味方は誰一人としていないんだ。
それは先生とて例外ではない。
今だってあの機械音は鳴り続けているのに、俺に濡れ衣を着せて笑いの種にしやがった、あの教師。
……?
今も鳴り続ける機械音……。
それって……!
ピッピッピーーーーーーー……
突如、眩い閃光と熱、体全身の激しい痛みが俺の体を襲った。
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