移さないでよね(200文字小説)
200文字小説です。
「だからさ、風邪ひいてんだから近寄んなよ」
俺が急に休んだからだろうか。彼女が看病だと言ってわざわざ部屋に来た。
「風邪移さないでよね」
そう言うと柔らかい感触が唇に伝わる。
「ん、んんっ……」
熱っぽい俺の唇から彼女のぬらぬらと光る唇が離れた。
二人の体液が一筋の橋を作る。
「こんなんじゃ風邪移っちまうぞ」
「私に移して早く治ってよ」
「さっきと言ってる事が」
「あなたのものは風邪だって他人には渡さないってことよ」
私だったら好きな人のでも病気はいらないなー。