ギルティーナイト‼
平和な国アルバースの王宮には、新たな噂が女官たちの間に広まっていた。それは、皇太子エインが部屋で「ギルティーナイト‼」と言って騒ぎまくっている、という噂だった。
「なぁ、ホントにこんなので効果あるのか?」そうぼやくのは噂の人物皇太子エインだった。
「ありますよ‼ギルティーナイトは人気漫画でしたから、噂を聞いて怪しい動きを見せた人が転生者の可能性があることになります。」侍女ケイコがそう答えた。
「………今んとこ動き無しだけどね。っていうかなんでエイン様の噂ってことにしたの?」ケイコの弟アルベルトが聞いた。
それは思った。まずこの姉弟と手を結んでから噂がひどくなっている気がする。
「そりゃ、きちがいって噂があるエイン様だったら怪しまれないでしょ❗」
やめてくれ。それとアルベルト君、納得しないで君はどっちの味方なの?
「……だけどこれで動きを見せたら新しく仲間が増えるし、まぁ僕はいいや。」
生け贄にしないでー‼
「さてと、次はエイン様を王様にするには体力作りが必要ね。」
やっとまともそうな案だ。
「で、体力はどう増やすんだ?」
「それはー、やっぱり素振りとか腕立て伏せじゃない?」
良かった~‼まともだ。
「ただし、掛け声は「ギルティーナイト」ね。」
「は?面とか胴じゃダメなのか?」
………おい、かんっぜんにきちがいじゃねーか。
~王宮小庭園~
「なぁ、まじでやるのか?やらないとダメか?」
庭園で、しかも上半身裸で、これはなんだ?
「……10年後死んでもいいならやめてもいいですが。」ケイコは悲しそうにそう言う。
くっ、殺されたくない。
「これを、刀で切ればいいのか?」
「さあ、ずばっといってください。」
私の全力見せてやる。かぼちゃ(弟)なんかに負けたりしない‼
「…私はお前なんかに負けたりしない‼ギルティーナイト!!!」
エインは恨み……もとい八つ当たりしながら切りかかる
ズボッ
間抜けた音がして、刀は標的の中心辺りで勢いを失った。
『ギルティーナイト!!!』という奇声が聞こえてきてなんだろうと思い、窓から外を見た貴族の男は自室で呆然と口を半開きにして固まったそうだ。
奇声をあげながら刀で切りかかり、刀が抜けなくて困っている皇太子の姿があったから当然だろうが、
「「これは………あっさり死んだ理由が分かった気がする」」
エインは姉弟にこういわれて落ち込んだ。
「取り敢えず、エイン様は刀の前に腕を鍛えた方がいい、というのは分かったからまぁOKOK!」
「イヤ、何がOKだ❗」
「かぼちゃもといかぼちゃの被り物をした弟王子に負けたいならそのままそれを続ければ。」
アルベルトにまでそういわれたエインはめちゃくちゃへこんでいたそうだ。
一方、その頃。皇太子が小庭園で奇声をあげながら鍛錬をしていた。という報告を女官から受けた王妃は「どこで育てかた間違ったの?」といって3日ほど寝込んだらしい。
後日、お見舞いにいったエインは、母が倒れたのは自分のせいだとは気づかなかったそうだ。




