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4人の王子と1人の皇太子  作者: アルゴンa
11/11

最後

ゴゴゴゴゴゴゴ


轟音がアルバース王国全体に響く。

人々は唖然と空を見上げた。そこには、大きな火龍が何体もいた。何処からかやって来てこちらに向かって火を吹いている。


アルバース王国は、かつてないほどの混乱状態にある。ある男は家族も何もかもを捨てて逃げ、ある貴族は使用人に見捨てられて茫然と死ぬのを待っていた。そして、逃げようとする男も貴族も皆炎に焼かれて死んでしまった。

混乱状態にあるのは、王宮も変わりなかった。逃げまどう貴族、女官、王族。


皇太子エインも必要なものを持ち、王妃マリーと共に逃げていた。


「くそっこれじゃ進めない」


「エイン……落ち着きなさい、おそらく妾もそなたもここで死ぬ」


「…無理です。ここで死ぬわけにはいきません」


「そうは言うても………」


「「エイン様!!!!」」


その時、エインを呼ぶ声がした。兵士見習いのアルベルトとメイドのケイコだ。


「あれ?」


二人の声はしたのに、姿がみえない。エインは声が上から聞こえたことに気づく。

二人は竜に乗っていた……


「なっ………!!なぜ竜に乗っている?」


「今はどうでもいい。早く乗って!」


エインと王妃そしてアルベルト達を乗せて、竜は飛び立つ。


❮そうはさせないよ。❯


「この声は、イミル………どうして、どうしてだよ‼」


❮だって、僕を殺したお前らを許さない僕は、決めたから。彼らと彼らの子孫を許さないよ❯


「彼ら……?誰だよ。」


❮アルベルト君もそこにいる皇太子も王妃もみーんな誰の子孫か分かる?悪魔エインだよ❯


「おい、それってウマルキヤの英雄エインのことか?」


❮ここではそう呼ばれてるらしいね。けど、彼は英雄じゃない悪魔だ❯


「……どうゆうことだ?ワケわからない」


❮かつて、アルバースとその隣国タールトグ…その二つの国はジールラハという帝国だった。平和な国だったよ、だけどウマルキヤはジールラハを自分たちのものにしたがっていたからエインという村人を利用してジールラハに革命を起こすように仕向けたんだ。そして、ジールラハの復興を補佐するという名目でジールラハを占領して、ジールラハの王族を殺したんだよ…僕以外の王族を❯


「……ひでぇ話だ。」


❮けど、ウマルキヤの王の誤算はエインが王位を乗っ取ってそしてウマルキヤ王族を殺したことと僕を殺したこと。僕は、ジールラハの直系王族、ウマルキヤ王はジールラハ王族に伝わる風の力を欲しがっていたからね。風の力は、風から知識を学び風の力で国を繁栄させることができる『かみのちから』だけど、継承されるのは200年に一度あるかの確率だから、僕の子供に期待したのかな。酷いよね❯


「「「「……」」」」


❮まぁ、君らの先祖エインは酷いことをしまくったんだよ。僕の力ではエインを倒せなかったよ、だけど彼は転生しても僕にした仕打ちを忘れてるだからさエルトン王子を使って殺そうとしたのに、王子は使い物にならなかったよ、だから殺しちゃったハハハハハハ❯


「エルトン王子………」


アルベルトはイミルと思われる姿がある竜の背中に刺さった血のこびりついた錆びた剣を見てハッと息を飲んだ。

自分の記憶が正しかったら、あれはエルトンの母第4妃がエルトンに与えた剣だったから。


❮さてさて、じゃあね君らは海の藻屑になってもらうよ‼えいっ❯


「エ…イン…様」


アルベルトはエインをかばってエインの前に立った、するとアルベルトが血を吐いて倒れている。


「アルベルト……!!目を開けてよ‼‼」


ケイコがそう呼び掛けても、アルベルトは2度と目を開くことはなかった。


「うっうわぁぁぁぁぁ………………」


ケイコは泣き叫んでいるところを後ろから竜の尾で振り落とされてそのまま海に落ちていった。そして、巨大な水竜の口の中で食べられていた。


「うぐっ」


突然のことでエインは目の前が暗くなり、事態を理解して吐きそうになった。


❮君らも、食べられろ❗❯


王妃とエインも海に落ちる。そして小さい水竜の口の中に入りかけていたその時、自分だけ海に沈んだことに気づいた。


「は、母上ー‼」


エインが叫ぶが返事はなかった。そして、エインの記憶はここで途切れた。



ウマルキヤ王国とアルバース王国、そしてタールトグ王国の3つの力を持った国が一日で姿を消した。そして、イミルによって有名になるはずだったアルバースの元王子フェレク……後の英雄エイン=フェレクは殺された。そしてウマルキヤ人、アルバース人、タールトグ人すべてが竜達によって殺されたらしい。


東の方のある国にひとりの青年が流れ着いた。青年はエインと名乗ってその地で豊かとはいえないが、幸せな生活をしたという。彼の傍らには、女傑になるはずだったアリシア=ルーランジーに似た女性がいた。だけど、その青年エインはそのアリシアに似た女性に殺されたみたい。

彼女はアリシアではないその正体は悪魔……メイドアリスの王宮恋物語で殺された悪役令嬢ソフィア……(王妃ソフィアといった方がいいだろう)の姪アデライード=マルグンズ。


❮アリス=エドリート、アデライード=マルグンズ、アリシア=ルーランジー…やっぱりアリスは恐ろしい…エイン皇太子……せいぜいアリスに殺されないように気をつけろよアリスは恐ろしいよ、人の人生を狂わせるから❯


❮僕の名前はイミル=ミア=ジールラハとある国の皇太子の息子だったんだ。よろしくね‼❯


イミルの声がエインに届くことはなかった。
















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