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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
2.行方不明
8/33

1.ストーカー

 聡美は事務所で新聞を読んでいた。

コンコン──と、ドアがノックされる。

 聡美は扉を開けた。

 そこには、小学生くらいの女の子が立っていた。

「どうしたの?」

「お母さんが帰ってこないの」

「どういうこと?」

「昨日、家を出たきり。連絡もないの」

「書き置きとかなかったの?」

「うん」

「そっか。それじゃ困るよね」

「お姉ちゃん、優秀な探偵さんなんでしょ? お願い、これでお母さんを捜して!」

 そう言って女の子は封筒を渡してきた。

 封筒の中には千円札が一枚入っていた。

(交通費が高くつくな)

「捜してくれるよね?」

「もちろんよ」

「本当?」

「本当よ。だから、君の名前、教えてくれるかな?」

荻島おぎしま エリだよ。六歳」

「お母さんの名前は?」

「みのり」

「みのりさんね。幾つかな?」

「二十五歳」

「そっか。お母さんは何時頃家を出たのかな?」

「八時頃だったと思う。買い物してくるって言って出て行ったの」

「そう。家、教えて」

 聡美はエリを86の助手席に乗せ、彼女の家まで車を駆る。

「家の中見せてもらっていい?」

「いいよ」

 エリが家の鍵を開けた。

 中に入る聡美。

「お父さんいないの?」

「いるよ。こっち」

 エリに和室に案内され、聡美はそこで仏壇を見た。

 仏壇にはエリの父親だという人物の写真が置かれている。

「お父さん、今、写真の中の世界にいるの。お仕事が終わるまで帰ってこれないんだって」

(亡くなってるってことはまだわからない年頃なのね)

「じゃ、失礼して少し見るね。お母さんの部屋は?」

「あの部屋」

 エリが指を差す。

 聡美はその扉を開けて中に入った。

 部屋を捜索する聡美。

 机を調べてみると、日記帳が出てきた。

(女性の日記を見るのはあれだけど、状況が状況だもんね)

 聡美は日記帳を開いた。

(ふむふむ、なるほど)

 日記帳を閉じる。

(日記帳は日々の出来事が書かれていたけど、失踪の手掛かりになるものはなかったなあ)

 他も探してみるが、しかし、手掛かりは見付からない。

「エリちゃん、お母さんに最近、何か変わったことはない?」

「そういえば、何度か警察署に行ってたよ」

「警察署?」

「うん。私もついてったことあるよ」

「部署はわかる?」

「生活なんとかだって」

(生活安全課……、みのりさんは怯えていたんじゃないかな)

「警察署行ってみようか」

 聡美はエリを連れて新宿署の生活安全課にやってきた。

「あら、坂上さんじゃない」

 生安の女性警官が声をかけてきた。

「これは三島さんじゃないですか」

 三島みしま 優子ゆうこ。生活安全課の刑事だ。年齢は三十半ばだ。

「あの、荻島 みのりさんのことで教えて欲しいことあがあるんですけど」

「荻島さん? そういえば何度か相談に来てたわ。ちょっと待ってて」

 三島刑事がデスクのパソコンを操作した。

 プリンターが起動する。

「はい」

 三島刑事はプリンターから出てきた用紙を聡美に渡した。

「これは……」

 用紙にはエリの母親がストーカー被害の相談をしていた記録が書かれていた。


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