1.容疑者は聡美
聡美が殺人容疑で警視庁新宿署に連行された。
一通り取り調べが行われ、黙秘していたら拘留されてしまう。
非番だった木島警部が連絡を受けて聡美の元へやってくる。
「ミイラ取りがミイラになったか」
「開口一番にそれ?」
「冗談だよ。出してやろうか?」
「そんな権力ないでしょ」
「確かにな」
でも──と、続ける木島警部。「捜査して出すことは可能かもしれない」
「それは是非お願いしたいね」
事件は新宿公園で起こった。
ホームレスの荻田 鉄平が刺殺されたのだ。
現場には聡美の名刺と、聡美の指紋が付着したナイフが落ちていたことから、警察は聡美を容疑者としてしょっ引いたのである。
「お前はやってないんだよな?」
「当然よ」
「とりあえず、調べてみるよ」
木島警部はそう言って、聡美の元を後にした。
捜査一課に行き、事件の状況を確認する木島警部。
「吉田、お前が聡美を挙げたそうだな」
吉田と言う刑事が答える。
「はい。証拠もありましたので」
「……ちょっと出かける」
木島警部は新宿公園に向かった。
新宿公園の遺体が発見された現場周辺で防犯カメラを探す。
(あった)
防犯カメラを見つけた木島警部は、記録映像を取り寄せ、確認した。
……。
…………。
………………。
映像に聡美そっくりの女が映っており、荻田を刺す瞬間が捉えられていた。
「どう言うことだ……」
映像を見終えた木島警部は、その映像を持って聡美の元へ移動した。
「これに映ってたぞ」
映像を見せる木島警部。
「……!? こんなの知らない!」
「じゃ、なんでお前が映ってるんだ?」
「私じゃない!」
「だけど、これは誰がどう見たってお前だぞ?」
「指紋、もう一回調べなさいよ」
「指紋? 何で?」
「いいから調べなさい」
「はいはい」
木島警部は鑑識課へ行き、指紋の再照合を依頼した。
すると、微妙に違う指紋であることがわかった。
木島警部は証拠不十分で、聡美を釈放した。
「聡美、すまなかったな」
「いや、それは気にしてはいなんだけど。それより、あの似てる女……まさかね」
「まさかって?」
「私には、赤ん坊の時に、生き別れになった双子の妹がいるのよ。その子が私を見つけて、人探しを依頼してきたわ」
「名刺、渡したのか?」
「渡したわ」
「そうか。依頼の内容は?」
「元彼を探してってことだったわ」
「それが荻田なのか?」
「いや、荻田は元彼の友達よ。どこにいるか知らないか聞いただけなんだけど……」
「だけど?」
「義人くん、山口 晶って人、知らない?」
「知ってる。東十条の環七通りにある歩道橋から飛び降りて自殺したやつだ。警邏中のパトカーの前に落ちてきたそうだ」
「その山口が依頼人の元彼なのよ」
「何?」
「恐らく、山口は殺されたのよ」
「依頼人にか?」
「荻田に」
「え?」
「自殺扱いでも、鑑識作業はやるから、もしかすると証拠が出るかもね」




