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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
4.路線事故

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13/33

1.モンタージュ

 聡美は電車に乗っていた。

 ガタンガタン……。

 電車が通過するはずの駅で、急ブレーキをかけた。

「わわ!?」

 つり革に掴まって立っていた聡美がバランスを崩して倒れた。

「痛……!」

 痛そうな表情をしながら立ち上がる聡美。

 運転席の方を見やると、ちょうど電車から血相を変えて降りる乗務員の姿が見えた。

 聡美は車掌の元に行き、探偵手帳を見せて電車を降りると、運転席側へ回った。

「私立探偵です。運転手さん、何が?」

 運転手に探偵手帳を提示しながら訊ねた。

「人が飛び込んできたんですよ」

 線路を見ると、夥(おびただ)しい量の血だまりができていた。

「飛び込み自殺、ですか……」

 聡美はホームから線路内に降りた。

「現場検証しますので、上がってもらえますか」

「あ、は……はい!」

 運転手がホームに登る。

 聡美は現場を調べ始めた。

(遺体は粉々に引き裂かれてる……)

 電車の下を覗きながらそう思った聡美。

「運転手さん、駅員に改札の出入りを封鎖してもらって下さい」

「わかりました」

 駅員がハンドマイクで駅員室に事情を説明した。

 同時に、警察にも通報が行き、鉄道警察隊がやって来る。

「君、現場を荒らさないで」

 聡美は捜査員に探偵手帳を見せた。

「失礼しました!」

 聡美がホームに上がると、入れ替わりに鑑識員が線路内に入って調べ始める、と同時に捜査員が彼女に警察手帳を見せた。

「警視庁鉄道警察隊の宗方(むなかた)です」

「私立探偵の坂上です。遺体はバラバラで身元を特定するのは困難かと」

「それでは防犯カメラで確認して見ましょう」

 聡美含む捜査員たちは、駅員室へと足を運び、防犯カメラの映像をチェックする。

 防犯カメラの映像で、何者かが人を突き飛ばす瞬間が確認される。

「殺人事件……」

 呟く聡美。

「宗方さん、突き飛ばした人物を捜して下さい。まだ駅構内にいるはずです」

 捜査員の捜索で、容疑者が見付かり、駅員室へ連れてこられた。

「俺じゃねえよ!」

 騒ぎ立てる容疑者。

 聡美はその容疑者に見覚えがあった。

「矢島くん?」

「え?」

 容疑者が聡美を見る。

「あ!」

「どうしたんですか?」

 宗方が問う。

「彼は私と同業者ですよ」

「私立探偵の方、ですか?」

「矢島くん、こんなところで何を?」

 矢島(やじま) 光一(こういち)。私立探偵。

「俺は被害者を尾行してたんだ!」

「事件の調査?」

「ああ、そうだよ」

「どういう事件?」

「不倫の調査だよ」

「不倫?」

「ああ。旦那から相談されてね」

「亡くなったのは女性なのね。名前は?」

「相島(あいじま) 聡子(さとこ)、二十五歳」

「相島 聡子って、相島財閥の相島?」

「ああ」

「突き飛ばしたの、あなた?」

「やってねえよ! 犯人追おうと思ってたら鉄警に捕まったんだよ!」

「犯人を見たの!?」

「男だったな」

「どういう男?」

 聡美はどこからか画用紙と鉛筆を取り出した。

 矢島が犯人の特徴を聡美に伝えると、聡美がモンタージュを作成する。

「こんな感じ?」

「ああ、そいつだ」

「宗方さん、この人の捜索をお願いします」

 聡美は宗方にモンタージュを渡した。

「坂上さんは?」

「私は他に抱えてる案件があるので」

「そうですか。では、このヤマはこちらで預かります」

 捜査員たちはモンタージュの男性の捜索に向かった。


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