バラバラに散らばぁ~る♪
あれ、おかしいな? メイドは完全無表情キャラのはずだったのに……?
……あっ、ありのまま今起きた事を話すゼ!
いま自分は、『スズちゃん達をボコってたメイドを五体解体してスッキリしたと思ったら、そのメイドが首だけで話しかけてきた……』
何を言っているのかわからないと思うけど、自分も何言ってるかわかんない……あっ、頭がどうにかなりそうだ……。
下着が黒だとか着痩せするタイプだとかそんなのは関係ねぇ。
もっと別のri……、
「さっきから何をぶつくさ言っているのですか?」
ふぁっ!?
「はっきり言って、不快です」
自分の足元ーー地面に転がるメイドの首が、表情を変えないままそう言ってきた。
口調には、わずかに不機嫌さが滲んでいる。
「そんな……まさか……」
「死んで、ないのか……?」
チエちゃんとスズちゃんも唖然とした様子でメイド(生首)を見ている。
そりゃそうよね。首切られた人間が喋ってるんだから……って、ん? いや、ちょっと待て? よく見たらこいつ、出血してないぞ?
あらためてメイド(生首)を見て気づいた。
よく見ればメイドの首の断面、床についた部分からは、血が一滴も流れていない。
辺りを見渡せばそれは転がった腕や足、胴体なんかも一緒で、切り落とした断面図からは血液おろか、体を動かすための筋肉や、それらを支えるための骨すらも見えない。
……体質、とか、そんなんじゃないよね? 血も骨もない体質なんて聞いた事ないし……。
あ~でも、異世界特有の病気とか……。
色々考えてみるが、どれも違う気がする。
一瞬、自分と同じアンデッドかとも考えたが、それだと内臓や骨がない理由にならない。
というか、ぶっちゃけこれ以上はよくわからない。
ので、
「ねぇ、ちょっといい?」
「はい? 何でしょう?」
「君ってさ、人じゃなかったりする?」
聞いてみる事にする。
「えぇ、私は主により創造られた人造生命、魔導人形です」
「魔導人形? ゴーレムみたいなものかな?」
「いえ、厳密に言えば……」
「なんだって!? 魔導人形っ!!?」
「のわっ!?」
「っ!?」
「がはっ!?」
突然、それまで眠っていたマリアが飛び起きて、メイドの胴体にかじりついた。
メイドが小さく声をあげ、横で寝ていたポコ君も飛び起きた拍子に潰され、小さくうめき声をあげた。
「まさか本物の魔導人形をこの目で拝む日が来るなんて!!」
「知ってるの、マリちゃん?」
「無論だ! かの失われし秘法・魔導人形!! 精霊を人工的に作り出すという神の御業に加え、それを魔力で動く機巧人形を持って実体化、顕現させるという、完成された魔巧技術による芸術! それが魔導人形だ!!」
目を少年のように輝かせ、力説するマリア。
まるで、欲しくて欲しくてたまらなかったものが、今ようやく手に入った収集家のよう。
……ようするにアレかな? ホムンクルスみたいな者かな? あっ、てことはメイドが言う「主」ってもしかして、某錬金術師マンガに出てくる「お父様」てきな?
「ぐへへへっ!! この肌触り、この触感、まるで夢のようだ……!!」
よだれを垂らしながら、メイドの胴体をまさぐるマリア。
周りに散らばった手足も相まって、さながら死●趣味の猟奇的殺人犯のよう。
お巡りさん、この人です。
「ふひひひ!!」
「ありゃりゃ、完全にトリップしちゃってるよ。……まぁ、いいや。それでさ、話しの続きなんだけ、ど……?」
とりあえずキモったマリアを無視して、話しを進めようとメイドの生首へと視線を移した。
そしたら、
「んッ……あっ、くっ……!」
何故か赤面して、悶えてたでござる。
えっ? 何故に?
「んッ……ふぅっ……!」
「えっ? なに? どしたの? なんかの病気?」
「ちっ……、違い、ます……んッ、ふぅっ……!」
声をかけると、メイドが声を押し殺しながら答えた。
唇を噛み締め、潤んだ瞳で見るその先には、服の隙間から手を入れ、メイドの胸を揉みしだくマリアの姿。
マリアの指が、メイドの胸にクニクニと沈みこむ度に、メイドが切なげに眉を引き締め、口から熱い吐息を漏らしている。
あれ? ひょっとして……?
「もしかして、感覚あるの?」
「はい……んッ、あります……うっ、動かす事は……んんッ……できません、が、……ひぅッ!?」
そこまで言ったところで、メイドが一際大きな声をあげた。
見れば、マリアがメイドの胸を揉みながら、スカートの中に顔を突っ込んでいる。
「~~ッ!!」
「おぉすごい! 見えないところもしっかり作り込まれている! それに人間と同じで、汗などの分泌物や匂いなんかも再現されている!! ふむ、味はどうだろうか? どれ、確かめてみるか……」
くぐもった声と共に、スカートの中からぴちゃぴちゃという水音が耳に響いてくる。
それと共に、メイドが小さく声を上げそうになるが、それが恥ずかしいのか、メイドは顔を耳まで紅くし、声が出ない様に涙目になりながら目を閉じ、必死に耐えていた。
……うん、とりあえず止めるか。
「お~い、マリちゃん。そろそろそのくらいに……」
「ふむ、しょっぱい! けどどことなく甘味があって後を引く味わい! 例えるなら、朝露に濡れた薔薇の雫っ!」
「あの、マリちゃ~ん? もしも~し……」
「それに不思議と香るこの芳しい匂い! なんだか頭がボ~っとして、胸が息苦しくなる!! 何故だ!? はっ!? まさか私の知らない未知の魅了系魔法っ!?」
「いや、それ多分、ただの酸欠……」
「むむっ!? しかも奥に行けばいくほど匂いが強くなっていく!! それに、味もだんだん濃く……くそっ! 下着が邪魔だな! まだこの奥に、私の知らない未知の領域があるかも知れないのに!! どれ、ちょっとずらしてーー」
「させるかバッキャロウっ!!」
「んあっーー!!?」
スカートに顔突っ込んだマリアの肩のツボを、指先で思い切り押し込んでいく。
胸が大きくてよく本を読むマリアにとって、肩や首周りのツボは弱点に等しいのだ!
「あっ、あっ、あっ……」
「いい加減しなさい!! 話しが進まないでしょ!?」
「……んぐぅっ! そっ、その声はサヨサヨ!! なぜだっ!? なぜ邪魔をする!? いま私の目の前に新たな魔法の可能性が……!!」
「やかましい! んなもんあってたまるか! てか、いつまで顔埋めてんの! 子ども達が見てるんだから、速くそこから出て――」
「だが断るっ!! もうすぐこの神秘のベールが開こうとしているんだ!! 現にいまこうしている間にも、薄布一枚隔てた先から神秘の蜜が溢れて……」
「生々しいからやめんかーーいっ!!」
ぐりっ!
「アッーーー!!?」
……その後、メイドの胴体からマリアを引き剥がすのに、三十分ほどかかりました。




