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異世界ドクロは自由がお好き‼  作者: 寿限夢
アルバス授業編
39/60

私サヨちゃん♪ 今貴方の後ろにいるの♪

 チエちゃんの凄まじい才能にひとしきり唖然とした後、授業は再開された。

 とりあえず”柔“の魔法は終わりとし、次は“硬”の魔法。

 この場合、自分とスズちゃんである。


 「さて、まずはお手本……と、行きたいところなんだが、生憎と私の性質は“柔”で、“硬”の魔法を上手く扱う事が出来ない。……悪いが二人共、お手本無しでやってみてはくれないか?」


 なんとも申し訳なさそうに、こちらを見るマリア。

 軽く頭まで下げて、一見、本当に申し訳なさそうに見える。



 でも、騙されちゃいけない。



 申し訳なさそうなのは、言葉と態度だけ。

 目だけが爛々と光っている。

 サヨちゃん知ってるよ? あれは、獲物を見定める、捕食者の目だって。


 「さぁ! 遠慮なんかせず! 何事も挑戦だ!」


 大方、また自分が何かやらかさないか、期待してるんだろうなぁ……。


 「速く♪ 速く♪」

 「うわっ、なんか歌い出したっす」

 「少ししか……持たなかったね……体裁」

 「どうします? サヨリ様」


 待ちきれずとうとう歌い出したマリアに対し、至ってクールな対応をするスズちゃん達。

 マリアという存在に対し、もはや完全に慣れきっていた。 


 「ん~、まぁ別に、やるのは構わないんだけどさ、イメージとしては、どんなのがいいの? やっぱり、武器とかに火とか風とか纏ってるイメージ?」


 壱之秘剣・焔○とかエクスカ○バーみたいな。


 「その辺も、特に決まりはないんだ。武器に纏う人もいるし、防具に纏って防御力を底上げする人もいる。中には、拳や脚とかに纏って素手で闘うなんて人もいるんだ」

 「へ~」

 「でも、一番多いのはやっぱり、武器に纏うタイプかな? 普通の攻撃が効かない相手でも、効くようになる事があるし」


 ふむ……まぁそれなら、すぐ出来るな。


 「じゃあとりあえず、ソレでやってみるかな」

 「うむ! では、早速やって見せてくれ!」

 「スズちゃんはどうする? イメージ決まった?」  

 「はいっ! サヨリ様と同じのにしようと思います!」

 「りょーかい。それじゃあ早速……」

 「あぁ! スズちゃん! 火力は抑えめにしてくれ! でないと、また酸欠になってしまいそうだから。主に私が」

 「あっ、やっぱりきつかったんすね。アレ」

 「顔……笑ってたけどね……」


 マリアを見ながら、ポコ君とチエちゃんが静かに呟いた。 

 そんなやりとりを聞きつつ、自分は腰の短剣、スズちゃんは愛用の刀を手にとり、それぞれ意識を集中する。

 と、言っても、自分の場合、既にイメージは出来あがっているので、先ほどより簡単だ。

 イメージするのは、スキル【拷問武具】を使った時纏わりつく、あの呪われそうなオーラ。

 あれを少し凝縮し、武器により密着するようにイメージする。

 使う属性は闇。

 さっきは風だったので、順番こだ。


 右手に持った短剣に、魔力が集中していく。

 集中した魔力の色は、【拷問武具】のそれとは違い、濃い紫色をしている。

 やがて、集まった魔力が吸いつくように短剣の刃へと密着していき、遂には短剣の刃を、濃い紫色へと変化させた。


 「出来たよ~」

 「おぉっ、速いな! では早速……」

 

 変化した短剣をマリアに見せるべく、前にかざす。

 しかし、何故かマリアは短剣を見ながら、首を傾げた。


 「どしたの?」

 「えっと……サヨサヨ。短剣って、この辺りなのかな?」

 

 短剣の刃を指差しながら、上目遣いでマリアが聞いてきた。

 この辺りって……いきなり何言ってるんだろ?


 「この辺りも何も、今目の前にあるでしょ?」

 「いや……その……、全然見えないんだけど……?」


 んん? 見えない? どういう事?

 かざした短剣をもう一度見てみる。

 しかし、先ほど見た時と比べ、特に変わった所はない。

 あるとすれば、刃が魔力を纏って、濃紫色になったくらいだ。


 「皆も見えない?」

 「はいっす……」

 「よく……見えません……」


 念のため聞いてみたが、どうやら二人にも見えないらしい。

 なんでも、握っている柄は見えるのだが、そこから先の刃の部分だけ、まったく見えないのだそうだ。


 「どゆ事? 何で皆見えないの?」

 「多分だけど、闇属性の認識阻害が発動しているんだと思う。普通は認識しにくくなる程度らしいが、サヨサヨの場合、魔力濃度が桁違いだから……」


 自分の疑問に、マリアが答えてくれた。

 どうやら、自分の魔力濃度と闇属性への適正の高さが影響し、魔法の精度が恐ろしく高くなった結果、闇属性の認識阻害を超えた“認識不可”が、勝手に発動しているんだそうな。


 「それに、ただ見えなくなっただけじゃない。おそらく並行して、闇属性特有の状態異常の効果も、軒並み上がっているはずだ」

 「例えば?」 

 「毒、麻痺、睡眠、混乱……数えれ上げればきりがない。とりあえず分かっている事は、その刃に触れたが最後、それらの状態異常が最低でも複数、あるいは全部に体を蝕まれて、死ぬって事くらいだね……」

 「oh……」


 なんだか思っていた以上にやばい代物でした。

 こりゃアレだな。【激痛】や【腐食劣化】、【拷問武具】と一緒に、緊急時以外、あまり使わないようにしよう。

 でも、認識不可は凄いな!

 それって正に、最強の見えない攻撃に通じる……あっ。

 

 「マリちゃん、ちょっと試してみていい?」

 「ん? 何をだい? あぁっ、試し斬りだったら、そこのポコ君に頼むよ」

 「いや何ナチュラルに恐ろしい事言ってるっすか!? 絶対嫌っすからね!!」

 「いや、違うよ♪ もっと面白い事だから……」


 言いながらちゃっちゃと魔力を集中する。

 こちらも、既にイメージは出来ているので、すぐ発動した。

 濃紫色の魔力が体中からあふれ出し、全身を覆い隠すように、自分を包み込んだ。


 「なっ!?」

 「消えたっす!?」

 「サヨリ様……凄い……!!」


 ニヤリっ、

 思った通りだ。

 短剣に魔力を集中したように、自分の全身を魔力でコーティングする事により、一種の透明人間になる事に成功した。

 しかも、今度は最初から“認識不可”のみをイメージして行った事により、その精度は段違いのはずだ。


 「魔力を全身に纏ったんだね!? 凄いじゃないかサヨサヨ!! まったく見えないよ!!」

 「えっ、サヨリさん、どこっすか!? どこいるっすか!?」

 「……!」


 三人がキョロキョロとしながら辺りを探っている。

 正直、見てる側としてはかなり面白い。

 でも、この後の授業の事もあるし、そろそろを出すか。


 「サヨリ様……どこ……?」

 「呼んだ? チエちゃん♪」 

 「あっ……!」

 「うわっ!?」

 「おぉっ!?」


 全身を包み込むイメージから文字通り顔だけを露出させる。

 その際、被っていた仮面をとり髑髏の素顔をさらし出す。

 中空に浮かぶ喋る髑髏を見て、三人が三人共、いいリアクションを見せてくれた。

 

 「サヨリ様……いた♪」

 「どもども♪ 貴方の心に住まいを構える、喋る髑髏のサヨリだよ~♪」

 「おぉ~! もうそんな事まで……!!」

 「いや怖いっす!! 怖いっすよソレ!? 何で顔だけ!? ってか、住まいを構えるって!! 心に骸骨住んでるって、どんだけ病んでるっすか!?」


 可愛いらしく笑うチエちゃんに関心するマリア。そして、的確なツッコミを入れるポコ君。

 これよ、これ! こういうのが欲しかったのよ!!


 「まぁまぁ落ち着いて♪ それより、スズちゃんの方はどうかな?」

 「あぁっ、そう言えば……」


 思い出したように呟くマリアを後に、スズちゃんの方を見た。




 見れば、刀を構えたまま、一生懸命「んー!」と意識を集中する、天使スズちゃんの姿があった。





 「んーっ!」


 




 ……可愛い♪

 

 


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