表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ドクロは自由がお好き‼  作者: 寿限夢
アルバス授業編
34/60

でっ、出たぁーー!!

 一言で言うなれば、やばい。


 ポコ君の検査が終わり、自分の番が来た時、そう思った。


 どうして、こんな事になってしまったのか。目の前に差し出した、自分の右手を見て考える。

 

 こんな事なら、気付かなければよかった。


 気付かず、普通にして、普通に終われば良かった。そうすれば自分も、何も傷付かず、穏便に事はすんだのだ。


 だが、もう遅い。


 自分は気付いた。いや、気付いてしまったのだ……!


 それは自分が……今、自分が……!








 「サヨリ様がんばって!」 

 「サヨリ様……がんばれ……!」

 「サヨリさん! がんばっす!」

 「さぁ、サヨサヨ! 最後に一発、ド派手にキメちゃってくれ!!★」




 めっちゃくちゃ期待されている事に……!!





 「ふふふふっ……さてさて、サヨサヨからは一体、どんな驚きが飛び出してくるのかなぁ……★ 性質は " 柔 " かな? " 硬 " かな? 出来るのはチエちゃんみたく、完璧な魔力球?

 それとも、スズちゃんみたく特化型の激しい奴?

 またまた、ポコ君みたいなレア系? 

 あぁ! 何が出てくるにしろ、きっと面白いんだろうなぁ! 楽しみだ!!★」


 溢れでる好奇心を隠そうともせず、期待の眼差しでこちらを見るマリア。

 何て言うかもう、プレゼント貰う前の、純真無垢な子供みたいな目をしている。



 マリアがこうなった理由は無論、先に検査した三人の結果が原因だ。

 チエちゃんやスズちゃんに続いて、ポコ君までも珍しい結果が出て来たせいで、ならば最後にやる自分も、きっと珍しい結果が出るに違い無い! という、半ば無茶ぶりにも等しい、異常な期待感が成せる業なのである。

 ……こんな無茶ぶり、どうやって捌けと?

 

 「実際、どんなのが出るっすかね?」

 「わからない……けど、きっと……すごいのだと……思う……」

 「きっとサヨリ様の事だから、スズ達の想像を遥かに超える、物凄い物が出て来るに違いない!!」

 「それもそっすね……何てったって、あのサヨリさんっすからね!」

 「そうだとも! サヨリ様だからな!」



 スズちゃん達も御覧の有り様。なまじ自分達が凄いのだったから、余計に自分にかかる期待値が大きい。

 スズちゃん……嬉しいけどやめちくり……。でないとおじちゃん、胃に穴が空いちゃうぞ?


 心の中で必死に訴えかけるが、当然届く訳もなく、空っぽの頭蓋骨の中、声にならない声がむなしく響き渡る。

 それと同時に、何とも言えない、深いため息が口から漏れ出ていた。



 なんだってこんな事になっちゃってるのか……? 何回目になるかわからない、自問自答が頭をよぎる。


 別にやってみて、ちゃんと出来るならそれに越した事は無い。無いですよ?

 やってみて何も起きなくて恥ずかしかったり、ましてや失敗して、大爆発なんて起こさなければ、それで充分ですよ?


 でももし、あまりにも普通過ぎて、場が白ける様な事にでもなったら……?


 自分にとって、あまりにも恐ろしい光景が脳裏によぎった。

 

 あかん! あかん! あかん! あかん! これはあきまへんで!! こないな事になったらウチ、死に絶えてしまいます! 今度こそ本気で、逝ってしまいますさかいに!!


 内心焦りまくって、おかしな方言が脳内を駆け巡っていく。

 何か手はないかと、必死に考えを巡らせる。

 だが、現実は非情かな。時間はそうそう、待ってはくれない。


 「ん? どうしたんだ、サヨサヨ? 速くやってみて見せてくれ!」


 構えたまま微動だにしない自分に待ちきれなくなったのか、マリアから催促が来た。そしてそれは、マリアだけじゃなかった。


 「サヨリ様……?」

 「どうしたんっすかね? 構えたまんまずっと、動かないっすけど……?」

 「いやきっと、物凄く集中していて、時間の感覚が無くなっていらっしゃるに違い無い……!」


 マリアに続き、チエちゃん達もざわめき始めた。

 ーーこうなっては仕方がない。ここは潔く、腹を括るか……。


 「それじゃあ……いくよ?」

 「あぁ! どんとこい★」


 差し出した右手に、改めて意識を集中する。

 そして、ヴィジャス盤に触った時感じた感覚を元に、魔力を放出し……。




 ん? 待てよ? 




 


 もし圧縮したらコレ、どうなるんだ?


 放出し始めた矢先、ある思い付きが頭の中に芽生えた。

 今やっているのは魔力の放出。放出した魔力が魔力性質によって球体になったり、体に纏わり付くように変化する。

 ではもし、この魔力を意図的に圧縮し、高密度に練り上げたらどうなるのだろうか?

 多分だけど、物凄く小さな魔力球、もしくは物凄く狭小的かつ、高密度の魔力を纏うに至るのではないのだろうか? 

 それなら一応、普通じゃない高密度魔力として場が白ける事も無く、穏便に事が済むのではないだろうか?


 よくよく考えてみなくとも穴だらけ、ふ菓子並みにスカスカな理論かも知れないが、せっかく思い付いたのだ。やってみてもいいんじゃないか? そして何より、その方が多分、面白くなりそうだしね!


 そう思い立ち、早速試してみる事にする。

 

 まず、手から放出した魔力を意識し、凝縮するイメージをもって圧縮してみる。

 すると、目に見えない、血液の様な物体が凝縮されていくのを感じた。

 


 ……これ、案外いけるんじゃない?



 予想よりも確かな手応えに、内心ほくそ笑む。

 そしてそのまま凝縮した魔力の上にさらに魔力を放出し、上から重ねる様して、魔力を圧縮していく。


 もっともっと! 圧縮! 圧縮! 圧縮!


 某白髪モヤシよろしく、放出した魔力をどんどん圧縮していく。やがて圧縮した魔力から、不思議な力の様な物が感じられ始めた。


 まだまだ! もっと! もっとだ! 


 それでも止めない。せっかく興がノってきたのだ。こんなところで止められるか!


 「ちょっ! ちょっ! ちょっ! サヨサヨ!?」


 なんだかマリアが慌てた声を上げてるけど、でもそんなの関係ねぇ!! 今はそれよりも魔力の圧縮だ!!  まだだ!! まだいけるだろ!!

 

 「サヨサヨ!! サヨサヨ!!」


 まだだ!! まだ諦めんなよ!! もっと頑張れよ!! もっと熱くなれよ!! 


 「サヨサヨ!! サヨサヨってば!!」


 諦めたらそこで試合終了だぞ!! まだいけんだろ!! もっとだ!! もっと熱くなれんだろ自分!! 負けんなよ自分!! 勝つまでやるんだよ自分!! もっと熱くなれよ自分!! イッツアバーニィーング!! 


 「サーヨサーヨ!! サーヨサーヨってばぁ!!」

 「んもぅ! さっきから何マリっちゃん!? 自分、今すんごい忙しいんだけど!?」

 

 魔力を放出しつつ、目線だけマリアの方を向く。すると、唖然とした様子でこちらを見るマリアと目があった。


 「サヨサヨ……ソレは一体何?」

 「はぁ? 何って、魔力放出してるんだけど……」

 「いやそうじゃなくって! その手のひらの上にいる物体は、一体何!?」


 物凄い狼狽した様子でマリアがこちらを指差した。その異様なまでの慌てっぷりに、思わず首をかしげる。 


 ……一体、何をそんなに狼狽えてるんだ? 手のひらの上ってそんなもん、圧縮した魔力があるに決まって……!?


 言われて手のひらに集中して、ようやく気付いた。


 魔力を放出した手の上に感じる、確かな重量感。それでいて手袋越しに感じる、柔らかくフサフサとした毛の感触。

 最初の重量感の時点でそうだが、毛の感触あるのといい、ほどよく温かいのといい、どう考えてもスズちゃんやチエちゃん達みたいな、魔力の塊ではない。別の何かだ。



 一体何が……?



 おそるおそる手のひらの上を見てみる。するとそこには、真っ黒い獣毛に覆われ、牡牛の様な角を生やしたライオン? みたいな生き物が、ジッとこちらを見ていた。


 「………………」

 『………………』

 「………………」

 『ギャウッ!』

 「…………なんか出たぁーー!!!?」





 

     ~NGシーン~



 「はぁぁっっ……!!」

 「サヨサヨ!! サヨサヨ!!」

 「何だい!? マリちゃん!? 今自分……!!」

 「それ! ソレは一体何!?」

 「へっ?」


 言われて初めて気付いた……自分の手のひらの上に乗る、その姿は……、


 『やぁ、こんにちは。僕ドラ……』

 「どっせぇぇぇいっ!!」


  ぼぐしゃあっ!


 『……えも、ぶっぎぃゃああーー!!!?』

 「あっぶな!? 今チョー危なっかったぁぁぁ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ