ハガケン!?
授業編、今回で終わりと言ったね?
あれ、嘘だから(泣)
てな訳で、もう少しだけ続きます。
後今回、書き方を少しだけ変えました。
その後、酸欠でダウンしたマリアが復活したところでようやく授業を再開。
初日にして中断すること早二回。この流れも、かれこれ三回目である。
「それじゃあ、次! ポコ君!」
「はいっす!」
次に挑戦するのは、我らがツッコミ担当、ポコ君。先の二人に触発されたのか、気合い充分だ。
「それじゃ、いくっす!」
そう言って目を瞑り、魔力を放出し始めるポコ君。
前に出した手のひらを中心に、魔力を集中する。
やがて、それに答える様に、全身から黒い砂粒の様な物が溢れ出し、チエちゃんやマリア同様、手のひらの上に、黒い、砂を固めた様な球体が出来上がった。
「で……出来たっす……!」
「ふむ……手のひらの上に球状魔力……ポコ君も魔力性質もまた、私やチエちゃくん同様、" 柔 " 性質だね……」
手の上に浮遊する球体を眺め、嬉しそうに呟くポコ君に、マリアが答えた。
ふむふむと頷きながら、ジッと手のひらの球体を観察している。
「ふむ……構成密度、速さともに問題無し……。少し安定性に欠けるけど、初めてやるにしては、上出来だよ★」
「本当っすか!?」
「うん★ ただ、魔力総量においては少しだけ平均より下かな★ でも、それも練習次第でいくらでも増えるし…………ふむん!?」
「えっ!?」
突然、驚きの声を上げるマリア。
それと同時に、ポコ君もまた、驚きの声を上げる。
見れば、手のひらに集まった球体の色が、白く変色し始めていたのだ。
真っ黒な球体の一部から、少しずつ変色していく。
「えっ!? えっ!? なんすかコレ!? なんすかコレぇ!?」
「ふむ!? これは……!?」
「知っているのか!? マリちゃん!?」
「いや! さっぱりわからん!!」
「ちょっ!! 何なんすか!? もーー!?」
混乱するポコ君を他所に、球体の変色はどんどん進行していく。
墨を流した様に真っ黒だった色が、侵食した白と徐々に混ざりあい、薄い鈍色へと変化していく。
それと同時に、黒い砂粒の集まりのようだった表面が、つるつるとした滑らかな物へと変わっていき、遂には鏡のように光りを反射して、鈍く光だした。
「ひえぇぇっ!! なんか光だしたっす!? やばいっす!! まぶしいっす!!」
突然の出来事に、慌てふためくポコ君。
右手はそのままに、アワアワとパニック状態に陥っている。
そしてそのせいか、右手の上の球体が、右へ左へと揺れて……、
てっ! アレって確か、爆発するんじゃなかったっけ!?
「ちょっ、待っ、ポコ君! とりま落ち着けって!」
「これが落ち着いていられるっすか!? ホント何なんすかコレ!! ひょっとしてアレっすか? オイラ死ぬっすか? オイラ死ぬっすかぁ!?」
「死なないから!! 死なないから!!」
「いいから落ち着け!! この馬鹿!!」
「ポコ君……だめ……! そんな……揺らしちゃ…………あっ!!」
宥めにはいったチエちゃんが、驚きの声を上げた。
それもそのはず、パニックで集中が切れたのか、ポコ君の手のひらにあった球体が、右手からこぼれ落ちたのだ。
薄い、鈍色に光る球体が、床目掛けて落ちていくのが見えーー、
「伏せろ!!」
そう叫び、その場にいた全員を抱え込み、地面に伏せた。
いくら[死狂い]で強化されてても、ドアまでは遠い。苦肉の策だ。
えっ? 球体をなんとかしろ? ハハっ♪ 無茶言うな♪ あんないつ爆発するか分からんもん、どうしろと?
ごっ、
重く、鈍い音が聞こえた。
球体が、床にぶつかった音だろう。
力を入れ、衝撃に備える。
次の瞬間、果てしない大爆発が、周囲を襲いーー。
………………
…………
……?
襲い……?
……あり?
何ともないぞ?
「あれ?」
「何も……」
「起こらないっすね……?」
自分の下にいたスズちゃん達も、首をかしげる。
おそるおそる振り返ってみる。すると、さっきまで自分達がいた場所に鎮座する、鈍色の球体の姿があった。
あれ? ひょっとして、取り越し苦労?
「爆発……しませんね……」
「以外と大丈夫なのかも?」
「いや、まだわからないよ? 平気だと思って、いざ近付いてみた途端、ドカンッ★ って、来る可能性も……」
「ちょっ!? 怖い事言わないで下さいっすよ!! シャレになってないっすから!!」
「でも……どうします……?」
「このままじゃ埒が明きませんよ!」
「よし、ポコ君GO♪」
「なんでっすか!! 嫌すっよ!!」
「自分で出した物は、自分で片しなさいって、教わらなかった?」
「そうだね★ 出しちゃったんだから、きちんと責任をとらないとね!」
「ポコ……やっちゃった物はしょうがない……。潔く腹くくれ」
「ポコ君……がんばって……!」
「いやいやいやいや!! 無理ですって!! 絶体無理っす!!」
そう言っていやいやと首を振るポコ君。
やれやれ、困ったわんちゃんだなぁ……、なら!
「はぁ……、しょうがない。ならここは、年長者で男の自分が……」
「えっ?」
「いやいや、それなら曲がりなりにも先生役をしている私が……」
「えっ!?」
「いえ! ここはやっぱりスズが……!」
「えっ!? えっ!?」
「わ……私が……」
「えぇっ!?」
「いや、自分が!!」
「私が!!」
「スズが!!」
「私が……!!」
「……な……ならオイラが……」
「「「「どうぞ、どうぞ」」」」
「なんでっすか!!!!」
おおっ!? 決まった!! 久々にやると気持ちいいな!!
まさか決まるとは思ってなかった某トリオ芸人のネタに、ちょっと感動。
さて、お遊びもこれくらいにして、そろそろ自分が様子見に……、
「さて、そろそろ行きますか★」
「「「「えっ?」」」」
自分も含め、一斉にマリアの方を見る。
一方マリアは、そんな事は少しも気にせず、スタスタと部屋の中央、鈍く光る球体へと歩いて行く。
「ちょっ! マリちゃん!?」
「ん? 何?」
「危なくないの?」
「危ない? 何が?」
「いや、だって、あれ。 爆発するんじゃ……?」
球体を指差し、そう言った。するとマリアは、『あぁ、あれか!』と、笑いながら答えた。
「大丈夫! 爆発しないよ★」
「えっ? そうなの?」
「うん★ だってあれ、ただの鋼だし★」
「はぁ!?」
思わず変な声が出た。スズちゃん達も、驚きのあまり、ぽかーんとしている。
いや、だって、鋼って……ねぇ? えっ? て事は、なに? 実はポコ君、鋼の錬金○師だったの? 手足機械だったり、鎧が弟だったりするの?
「ポコ君、人体錬成に興味あったりする?」
「何でっすか!? ないっすよ!! そんなヤバそうなの!!」
よかった……お母さん錬成しようとして、手足持ってかれて、『ちくしょう……! 持っていかれたぁ……!』なんて叫ぶ、エドワードなエルリックさん的なポコ君は、ここにはいないんだね。
「普通、土属性の人がやると石や砂、もしくは泥だったりするんだけど、まさか鋼とはねぇ……。ふふっ、まったく、本当に面白いなぁ!! 君達は★」
「やっぱ珍しいの?」
「それなりにね★ 結構珍しい方だと思うよ★」
クスクスと笑いながら、マリアが答えた。手には、いつの間に拾って来たのか、例の球体があった。
重厚な鈍色をたたえた球体が、手のひらで光っている。
「土属性の場合、他の属性のそれとは違い、適正がさらに細分化されてるんだ。石を使うのが得意だったり、砂を操るのが得意だったりとかね。なかでも鉄や鋼といった、鉱物に対する適正を持ってる人は、わりと少ないんだ★」
「そうなんすか?」
「まぁ、少ないと言っても、あくまで人族とかの話だけどね★ 現にドワーフが治めるドワルゴン帝国のドワーフとかは、殆ど鉱物系の適正持ちらしいし★」
その他にも、南の広大な砂漠にあるアレクサンドラ皇国の住民などにも、比較的多くいるらしい。またその逆にアルバスの北、リバリー大森林を凌ぐ巨大な森林地帯にある、セレスフィア公国というエルフが治める国などには、鉱物系はおろか、土属性すら持っていない者が、殆どだという。
「まぁ、あいつらは森と水さえあれば生きていけるからね。他の何にも関心が無い、停滞した種族だから」
いや、君の種族の事でしょ?
そう思ったけど、言わないでおこう。
多分、色々とあったんだと思う。色々と。
「まぁ、そんな事はどうでもいいとして、とりあえずポコ君のコレね★ 魔力性質"柔"の鋼!! ドワーフに"柔"の魔力性質の人って、殆どいないらしいから、かなりのレア物だよ★」
「へぇ……、そうなんすか……ところで、ひとつ聞いても良いっすか?」
「ん? 何かな?」
「マリアさん……オイラのアレの正体、解ってたんすよね?」
「まぁね★」
「ならなんでさっき、その事教えてくれなかったんすか……?」
「そんなの、決まってるじゃないか★」
あっ、これは自分もわかるぞ。
「一人だけ無反応だと、さびしいからさ!!★」
「だよね♪」
「馬鹿っすか!? 馬鹿なんっすかーー!!」
(しかしポコ君が鋼か……なんかかっこいいな……主人公枠だもんな……)
「あれ? サヨリさん?」
(ポコ君がエ○だとすると……スズちゃんは大佐かな? やっぱりかっこいいな……)
「どうかしたっすか? サヨリさん?」
(あれ? と、なるとポコ君の父親のコポさんは……)
「もしも~し?」
(光のホーエンハイム!?)
「馬鹿な!? かっこよすぎる!?」
「いきなりどうしたっすか!? サヨリさん!?」




