表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々の瞳  作者: 白苑
4/25

初めての顔合わせ

魔物・・・そんなもんが居るらしい。・・・いや、初めて聞いたときは(頭おかしいのか?)とか(何かの宗教か?)って思ってしまったほどだ。実際、魔物やモンスターなんて呼ばれる者を俺は実際に見たことが無い。大体そんなもの居るわけが無いと思っている。現在進行形だ。俺は幽霊否定派。・・・まあそれはいいとして。現実世界でなら、「やっべモンスターが攻めてくるぞ!逃げろ!)なんて言ったら、童話の狼少年と同じだ。誰も相手にしないだろう。・・・それはあくまで【現実世界】の話。現在、俺が居る場所は・・・【異世界】だ。現実世界の常識が通じるかは不明である。なんたってモンスターが出てくるらしい。ま、そんな無駄な文章が多い気もするが、あえて気にしない。長くなったけど、俺が言いたいのは、


「ここは何処?」


 現在、俺は凄く体つきのいいお兄さんと向かい合いながら、現実世界で昔に西洋で使われていたような剣を握り締めて立っている。

「おいおい、今頃そんな話?ここは村の修練所だろ?」

 筋肉モリモリのお兄さんは、重そうな剣を片手でブンブン振り回しながら、不機嫌そうな声を出す。どうやら、俺の質問は気に入らなかったらしい。

「いや、それは判ってるんですが・・・」

 俺は冷や汗を掻きながら、向かい側に居る筋肉モリモリのお兄さんより、見た目明らかに軽そうな剣を落とさないように持ちながら汗を拭く。俺は、ハンカチは常備してる方だ。

「だったらそんな事訊くなよ」

 更に不機嫌そうな声を出して俺を睨みつける。・・・第一印象は、怖い、だ。

「あ、す、すいません・・・」

 ギリギリ聴こえるか、聴こえないか微妙な声量で謝る。しかし、それが更に気に入らないらしい。

「ふんっ、たく。何で俺がこんなヒョロヒョロの教育係なんだ?」

 睨みつけながら愚痴を零してくる。・・・そんな事はアリサに訊いて下さい。僕はどちらかと言うと被害者です。・・・でもそんな事言える訳が無い。俺は異世界に迷い込んできた子羊。アリサの家で面倒見てもらわないと、生きていけないのだ。でも、ぶっちゃけ少し怪しいと思ってもいる。普通初めて会った男を家に、しかも一人暮らしなのにほいほい家に連れ込むのは、ぶっちゃけた話怪しい。まさか、(仮)オカルト好きなアリサにとって、いい餌だったりして・・・いや、そんな事考えてる顔じゃなかったな。大方、俺が記憶喪失なのを心配して置いてくれるのと、能力者として能力をつけて欲しいんだろうな。

「戦闘した経験は皆無と思われますので、お手柔らかに」

「あぁ、殺さない程度にしといてやるよ」

・・・ここに、悪魔一匹発見。人の面した悪魔です・・・。

「でもな、そんなヒョロヒョロな腕じゃ剣を振るう事もままならないだろ?まずは筋力向上だな」

 そういうと、お兄さんは剣をしまう。俺もつられてしまう。

「でも、何をすればいいんですか?」

 自慢じゃないが、家で筋トレなんてした事ない。

「まずは足腰を鍛える。まずこの村の周りを3周して来い」

「え、でも、村の周りとか、魔物がでるんじゃ・・・」

「ん?でるな。でたら走って逃げろ」

 無茶苦茶だ・・・魔物の残骸を見たら、なんか犬型っぽいのが居た。そんなのから逃げられる自信なんてありません!俺は「無理無理!」と首を振った。

「安心しろ、骨ぐらいは回収してやるよ。それともなんだ?俺にこの場で殺されたいのか?」

 そういうと、ムキムキのお兄さんは先ほど鞘にしまった剣を、また抜き始めた。

「ん?どうなんだ?」「全力で走らせていただきます」

 俺はそう即答すると、その場から逃げるように走り去った。後ろから「逃げられたか」なんて聴こえたが無視だ。俺は、3周走りきることを決心して、村の出入り口をスタートラインとして、走り始めた。


 実際、俺が走り始めて10分が経つが魔物に追いかけられるなんて由々しき事態は起こっていない。なんだかんだ言って、モリモリお兄さんも俺の後ろを俺と同じペースで走っている。いちお護衛なのだろう。・・・村を護衛する奴のスタートがこんなのでいいのだろうか?

「おい、どんどんスピードが落ちてるぞ」

 返事を返さずに俺は走り続ける。だって無駄に喋って体力を消費しても意味が無いだろ?俺は後ろにいる、モリモリお兄さんみたいに運動が、これといって得意なわけじゃない。喋りながら走るなんて無理だ。それこそすぐバテてしまう。


 残り数分を後ろで剣を振り回されながら追いかけてきたので、俺は全力で逃げた。これはトレーニングじゃなくて拷問、あるいはストレス発散なのだろう・・・うぅ、このごろ涙腺が弱いや。でも俺は挫けないぞ!なんてすぐに折れてしまいそうな決心を立てた。

「で、どうだ?ひょうたん小僧には堪えただろ?」

「い、いえ・・・これぐらい・・・屁でも・・・ない・・です・・・・・・よ」

 俺はこれでもかっ!とさわやかスマイルを演じてみる。もちろん、実際はさわやかの【さ】の字も感じられないスマイルだろうけど・・・。

「けっ言うじゃねえか。ならこれから俺と手合わせだな」「もう死にそうです」

 弱い。弱わ弱わである。たった一言に屈服する俺。あぁ、俺はなんて情けないのだろう・・・。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ