変人
「ん?その坊やがここに住むの?」
「あぁ、しばらくここに置いておく事になると思うが、よろしくたのむぜ」
なにやら俺の住む場所の事で話している。てか、『しばらく』とか勝手に言ってるし・・・。俺はまだ、仲間になると言った訳ではない。なら、明日に出て行くことになるかもしれないのだ。
だが、バドと宿の女性はなにやら勝手に色々決めてるっぽい。勘弁してくれ・・・と、俺は頭を抱える。と、その様子を見てなにやら小さい女の子が近づいてきた。
白いワンピースを着ているためか、なんとも儚げな印象を受けた。
「頭、痛いの?」
どうやら俺の体を心配してくれてるらしい。
「ん?大丈夫だよ。色々な意味で頭痛いけどね」
「?」
俺の説明の仕方では分からないらしい。
「とにかく、大丈夫だよ。心配ない」
俺は微笑んであげると、少女も微笑み、宿の中に入っていった。
すると、中からバドが出てきた。
「おし、お前は今日からここで住む事になった」
えぇ〜なんか本人の意思まるで関係なしで話が進んでるんですが・・・。
「あ、あのさ、俺、まだあんたらの仲間になるって決めたわけじゃ・・・・・」
「やぁ!『神々の瞳』を持った少年が来たそうじゃないか!」
俺が自分の意思をハッキリ示そうとした矢先に変な輩が飛び込んできた。
「まずはこの僕に挨拶するべきじゃないのかい!?いや、わかったよ。僕なんてどうでもいいんだね!?そうか・・・でもね!僕が居なきゃこのアジトはできなかったんだよ!?君達はもっと僕を敬うべきだね!」
・・・おいおい、なんだか頭の中身が愉快な人が現れたぞ。
「おいシェルファ。お前五月蝿い」
バドが片手を額に当てて、呆れたポーズ。そりゃあそうだよな。バド達の仲間なら、このアジトに一緒に居るわけだし。
「バド!!よりにもよって僕に対して五月蝿いと!?おいおい、それは少し酷いんじゃないかい?それになんだい?その呆れたポーズは!!まったく・・・あ!またヒゲを剃ってないね!早く不清潔なヒゲもどうにかしたらどうだい?それにね、僕の事を呼び捨てにするのは止めたまえ!そうだね、今度から僕に敬意を表してシェルファ様と呼ぶことに・・・ブ!」
息もしていないであろうスピードで喋っている途中に、バドにぶっ飛ばされてしまっている。
「何で俺がお前なんぞに様を付けなきゃならねぇんだよ」
「い、いいパンチを放つじゃないか・・・。だけどね!その程度じゃまだまだだよ!僕には全然ダメージなんてないのだから!」
「なら、その顔をもう何発か殴っていいか?」
そう言いながらバドは拳を振り上げる。
「ハハハ、何を言っているんだい!?僕の美しい顔を殴るだって?ハッ!もう痛いので勘弁してください」
・・・いきなり腰の位置が低くなったな・・・。てか、こいつ弱っ!
「わかればよろしい。で、何しに来た?」
「さっき言ったじゃないか!僕への挨拶がないから僕からわざわざ出向いてあげたのさ!」
「わかった。じゃあ帰れ」
バドは痛い男を軽くあしらうと、俺の背中を押してくる。
「ほら、お前の部屋に案内してやるよ。あんな五月蝿いのに付き合ってらんねぇ」
俺は自分の意見を言う暇もなく、部屋へ案内された。
「なかなかだろ?お前の部屋は」
なぜか勝手に俺の部屋にされてしまった場所は、血だらけだった。