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神々の瞳  作者: 白苑
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荷物持ち

さてさて、俺が使う長剣を作ってもらうために訪れた工場。

「ここがフレイヤさんの知り合いがやっている工場ですか?」

「ん、まぁそうだね」

 なんだか古臭いつくりだが、現在稼動中な所を見ると、今、武器製作中と言った所だろう。

「さ、さっさと仕事を頼みに行くぞ」

「はい」

 俺達は扉を開けて中に入っていった。


「お、久しぶりじゃねぇか」

 中に居たのは、ゴッツイおじさんと、俺みたいな感じでヒョロっとした体つきの男が居た。

「久しぶりだね、ワンツ。今日は仕事を頼みに来たんだ」

「察しはついてるぜ。お前さんがここに来るって事は、何か仕事を頼んで来る時だからな」

 そういうとワンツさんはタバコらしき物を吸いながらケラケラと笑った。

「ん〜まぁそうだね。今日の仕事はこいつに長剣を作ってやってほしいんだ」

 そういうとフレイヤさんは俺を指差して、俺の腕を持ち上げる。

「こんな細い腕だ。出来るだけ軽量化、で長くて、ある程度硬いのがいいな」

「う〜む、お前さんは難しい注文ばかりだな。ま、俺様なら出来ないこともないがな」

 ワンツさんはそういうなり、弟子らしき男性を呼んでいた。

「おい、ルイ。この素材を倉庫からだして来てくれ」

「はい、了解です」

 ルイさんはワンツさんから受け取った紙を手に、奥の扉に向かっていった。俺が予想していたより、ひ弱な人じゃないらしい。・・・声がシブイし・・・・・・・。

「金は物が出来てから払うよ」

「いつもどうりだな」

 フレイヤさんはそれだけ言うと「行くよ」とさっさと外に出てしまった。

「あ、待ってくださいよ、フレイヤさん」


「それで、何個かある用事の一つは終わったわけですが、他は何なんですか?」

 あまり良い予感はしない。フレイヤさんの事だから、「良い環境で修行」って事はないだろう。真面目な時は真面目な人だが、普段はグータラでめんどくさがりな人だ。それも酒好き。

「んー、ここ限定の酒を買うことだ」

 ・・・ビンゴである。完全に予感どうり。というか予想どうり。安易に予想できた俺が恨めしい。安易に予想できたと言うことは、それだけフレイヤさんを理解してきたということだ。

師弟関係を考えればそれはいい事かも知れない、が、酒好きグータラ師匠を理解できるということも、それはそれで微妙である。

「はぁ・・・じゃぁ俺はどうすればいいんですか?買うのに付き合えと?」

「まさか、お前が居たんじゃうるさいからな。一人で行くに決まってるだろ。お前は私が買い物してる間、この金渡しといてやるから、どっかで暇でも潰してな」

 そういうとフレイヤさんはなにやら金属の入った袋を投げ渡され、一人でさっさと先に行ってしまった。

「あ、フレイヤさん!集合場所!」

 ・・・って既に居ないフレイヤさん・・・。


「とりあえず、店でも見て回るか・・・」

 暇なら暇つぶしをすればいいのだ。俺は近くにある店をただ眺めながら歩く事に決定した。

中には入らない。「これ買いな!」なんて進められたら、断れる勇気がないからだ。


 そんなんで、適当に流しながら見ていると・・・

「あ、トキ」

 とエリサ発見。俺を見るなり嫌そうな眼と、嫌そうな声。・・・そんなに嫌なら、声掛けなければいいのに・・・。

「やあ、アリサは?」

「別に?他の場所に居るわよ」

「別行動?」

「別に」

 うぁ、なんと簡潔な答え。それほど俺とは会話したくないのかよ・・・。

「あ、そ。んじゃ」

 俺はこれ以上お互い不快な気分になる前に、その場を立ち去ることにする。のだが、

「待ちなさいよ、トキ」

 と、呼び止められてしまう。

「何?」

「暇なんでしょ?」

「暇つぶししてるから、暇じゃない」

「暇なのね」

「・・・はい」

 だめだ、やっぱり敵わない。もう少し粘れば勝てそうでもあるが、ここで無駄に体力を消費する必要はない。エリサが俺に何か用があるとすれば、労働だ。自分で動くのが面倒だからとかで、俺をパシリに使う可能性大だ。

「よし、なら私の買い物に付き合いなさい」

「え?デートの申し込み?」「そろそろ全身の血、抜いてみない?」

「・・・はい、荷物持ち、頑張らせていただきます」

「よろしい」

 というやり取りの結果、俺はエリサの荷物持ちに決定。・・・安息はないようだ・・・。

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