Your Voice Epilogue Ep.2 「君のいない世界」
「で、話があるんだろ?」
小森は核心を突かれたようにビクッと身体を震わせる。
図星らしい。
「……「君がいない」と、歌えなくなっちゃった。」
「ぼ、僕がいないと歌えない…?」
「うん……。」
「……高校生の時さ、君に出逢わなければ私は……こんな風にアイドルを目指すこともなかった。……本当に感謝してる。」
「な、なんだよ急に……」
急に思い出話をし始める小森に僕は嫌な予感がした。
……まるで、もう2度と「君に会えなくなる」かのような。
そんな風に僕は聴こえた。
そんな小森の話を遮り、引き留めるかの如く、僕はこう言い放つ。
「……君の為なら、僕も君の学校に行くよ…?」
小森は僕の言葉を聞いて「えっ」とした表情をしている。
でもこれは本当だ。君を支えるために、僕はプロデューサーを目指してきたのだから。
もし、僕がいなくて君が夢を諦めたくなっているのなら。僕は全力でサポートする。
でも、君の言った本当の想いは違った。
「……違うの。」
小森は申し訳なさそうな顔をしてそう言う。
「ち、違うって?」
「これ以上君に甘えちゃったら……、私、もう「成長」できない気がするんだ……。」
小森は今、僕の手助けなしで頑張ろうとしている。
僕はその小森の頑張りを見て見ぬふりするのはおかしいだろう、と即座に理解する。
「……小森がそう感じているなら、僕は君の前から消えるよ。それが「君のためになる」のなら。」
「……いいの?」
「ああ。僕は何があったとしても君の想いを尊重するさ。」
「……ごめんね。」
「なんで謝るんだよ……。小森は謝る必要ないのに……」
「私のせいで、君の人生を振り回しちゃうようなことになっちゃって……。」
「いいよ。その代わり——、」
「——絶対に、アイドルとして成功してくれよ。」
「うん、絶対成功してみせるよ。」
「……じゃあ、またいつか出逢う日まで。」
「……またな。」
その日、どうやって家に帰ったかなんて記憶はない。
もう、君と逢うことはない——、
そう考えていると涙が止まらなかったから。
次、君の姿を見るとしたら、テレビ越しなのだろう。
……そう、思っていた僕だが。
——2年後、意外な形で、運命が繋いでいるかのように、僕らは出逢う。




