第9話 追放者たちの絆
第9話 追放者たちの絆
古代魔族の使徒を撃退してから数日。
俺とリリアは、次なる任務に備え、街道沿いのギルド支部に戻っていた。
その途中、情報屋から聞き込みをしたところ、魔族の影は王国全土に散らばっていることが判明した。
しかも、彼らと接触している元王族やガイル、セシリアの残党も存在するらしい。
「……こりゃ、俺一人では無理そうだな」
俺は肩をすくめる。
解析EXで魔族の動きを完全把握していても、数で圧されれば戦力差は埋められない。
そこで思いついた。
――仲間を増やそう。
ギルド支部に到着すると、冒険者たちがざわめいていた。
新人Sランクである俺とリリアの噂はすでに広まっており、注目の的だ。
「……あの、新人Sランクの方ですか?」
声をかけてきたのは、一人の青年冒険者。
黒いマントと銀の剣を携え、落ち着いた表情でこちらを見つめる。
「俺の名はカイル・ヴァレンティ。火属性魔法と剣術を扱う冒険者だ」
俺は軽く会釈する。
「なるほど。戦力になるな」
カイルは以前から魔族の調査をしていたらしく、情報も持っているという。
「……あと、もう一人紹介する」
彼の後ろから現れたのは、銀髪の女性。
片手に魔法杖を持ち、凛とした雰囲気を漂わせる。
「アリサ・フェルナンデス。氷属性魔法EX保持」
リリアと同じくEXクラスの魔法使いだ。
俺は内心で笑う。
「……仲間が揃うのも早いものだな」
その晩、俺たちは作戦会議を開いた。
「魔族の使徒は森に潜伏しているが、単独ではない」
「次は、王国の中枢に潜む残党が動き出す可能性が高い」
「俺たちの任務は、彼らの動きを封じつつ、魔族の侵攻を食い止めることだ」
カイルとアリサも真剣に頷く。
リリアは少し緊張した面持ちだが、俺の横に立つと少し安心した表情を見せた。
こうして、俺たち“追放者たち”のチームが結成された。
翌日、街の情報屋から報告が入る。
「近くの村で、SS級魔物が目撃されました」
俺は指を鳴らす。
全属性魔法陣が瞬時に展開され、魔物の位置を解析。
「……なるほど、奴らの狙いは民間人か」
カイルが剣を握り、歯を食いしばる。
「……俺も力を貸す」
アリサも杖を握り、集中する。
リリアも頷き、時空魔法の準備を整える。
――戦いの準備は整った。
森へ向かう途中、俺はふと考えた。
追放され、無能貴族と罵られた過去。
婚約破棄され、世界から見捨てられた俺。
しかし今、仲間と共に、世界を動かす力を手に入れている。
「……悪くないな」
リリアが笑いながら肩を叩く。
「レオン様、さっきからニヤニヤしてますね!」
「いや、これからが本番だからな」
俺たちは互いに目配せし、森の奥へと進む。
そこには、まだ見ぬ強敵――古代魔族の使徒たちが潜んでいる。
森の入口に立ち、俺は仲間に向かって言った。
「覚えておけ。俺たちは追放者だ。だが、力を合わせれば誰にも負けない」
カイルが剣を握りしめ、アリサが杖を構える。
リリアは微笑みながら、時空魔法を展開する。
――追放者たちの絆が、ここに生まれた。
そして、次の戦い――古代魔族使徒討伐戦の幕が上がる。




