第8話 魔物の正体・古代魔族の使徒
第8話 魔物の正体・古代魔族の使徒
未知のSSS級魔物を討伐して数日後、俺はリリアと共に街道沿いの森に再び足を踏み入れた。
目指すは、魔物の残党の調査。
前回の戦いで、魔族の痕跡を解析していた結果、さらに危険な存在の兆候があったのだ。
「……レオン様、本当に大丈夫ですか? 前回の魔物より強い……かもしれません」
リリアが少し不安そうに呟く。
「心配無用だ。前回より強い相手でも、手加減無しで行く」
俺は微笑む。
この世界では、力こそが全て。
“無能貴族”だった過去は、もう影も形もない。
森の奥に進むと、空気が重く、魔力がねじ曲がっていることが感じられた。
魔法陣を展開し、魔族の痕跡を解析する。
【魔族残党】
・種族:古代魔族
・属性:闇・炎・雷複合
・目的:王国崩壊の余波で勢力拡大
・現状:使徒級の魔物を複数派遣済み
リリアが息を呑む。
「……古代魔族……王国崩壊と関係していたんですか……?」
「そうだな。あの魔物たちは偶発的に現れたわけじゃない」
森の奥、木々の間に巨大な影が揺らめく。
まるで森全体が生きているかのようだ。
解析を続けると、驚くべき情報が浮かび上がる。
【魔物の使徒】
・元王国領内に潜伏
・魔族と人間の戦争を引き起こすための尖兵
・討伐されても、同族が次々に出現
どうやら、俺たちが討伐したSSS級魔物は、氷山の一角に過ぎなかったらしい。
リリアが震える声で訊く。
「……つまり、まだたくさんいるってことですか……?」
「そうだ。だが、心配するな」
俺は指を鳴らす。
全属性魔法の魔法陣が展開され、森の奥に潜む使徒の気配を瞬時に把握する。
魔族の魔力は強力だが、解析EXで全てを掌握している。
魔力無限もあるため、俺にとって未知の力ではない。
森を進むうちに、ひとつの光景が目に入った。
半透明の影が浮かび、黒い鱗の生物たちが森の奥に集合している。
人間の形をした魔族――使徒級の魔物たちだ。
彼らは低く唸り、俺とリリアを睨みつける。
「……ふむ。これは面白くなってきたな」
俺は微笑む。
戦闘を避ける理由はない。
力を見せつけるには絶好の機会だ。
しかし、俺にはもう一つ気になることがあった。
解析結果に、王国崩壊の余波で動く魔族の本拠地の情報が混じっていたのだ。
――王国の中枢に潜む古代魔族の使徒。
そして、元王族やガイル、セシリアの残党たちも、魔族と何らかの接触をしている可能性。
世界規模の戦いは、すでに始まっていた。
リリアが小さく息を呑む。
「……レオン様、これ、本当に私たちだけで戦えるんですか……?」
「大丈夫だ。俺がいる」
指を鳴らすと、全属性魔法が森の中に静かに光を放つ。
解析EXで全ての敵の動きは掌握済み。
次に来る攻撃も、罠も、すべて読んである。
森の奥、使徒たちは低く唸り、俺たちに襲いかかろうとした。
だが、俺は静かに指を鳴らす。
瞬間、全属性魔法の一斉展開。
火、氷、雷、闇、光――すべての攻撃が同時に敵を包み込む。
使徒たちは叫び声を上げ、地面に叩きつけられる。
しかし、完全には倒せない。
――奴らは次々と現れるのだ。
リリアも時空魔法で補助しつつ、俺たちは解析と攻撃を繰り返す。
戦いの中で、俺は確信した。
――この世界、俺が本気を出せば、誰も敵ではない。
だが、それと同時に、魔族の脅威はまだ序章に過ぎないことも理解した。
森を制圧し、使徒の一部を撃退した後。
俺はリリアに笑いかける。
「さて……次は、もっと大きな舞台だ」
リリアも笑顔で頷く。
「はい! レオン様!」
世界規模の戦いの幕は、いま確かに上がったのだ。
――古代魔族との戦いは、まだ始まったばかり。




