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追放された無能貴族、実は全属性魔法と鑑定EX持ちでした 〜婚約破棄された翌日、王国が崩壊しましたが俺は関係ありません〜(連載版)  作者: 白昼夢


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第45話:次期CEOの選定、あるいは究極のOJT



第45話:次期CEOの選定、あるいは究極のOJT





 旧王国の残党を「ホワイトな条件」で解体したレオンは、アルヴァレスの管理局に、一人の青年を呼び出していた。



 かつてレオンを追放した王国の下級貴族でありながら、唯一、民衆への略奪に反対し、レオンが魔王として君臨した際も「恐怖」ではなく「対話」で村を守ろうとしていた男――セドリックである。



「レ、レオン様……私のような若輩者が、なぜこのような場所に……」



 ガチガチに緊張して震えるセドリックに対し、レオンは威圧感を消した、穏やかな「人事担当者」のような顔で向き合った。



「セドリック。鑑定EXによれば、君の『傾聴力』と『調整能力』は、この世界でトップクラスだ。……君は、強い力でねじ伏せるよりも、異なる意見の妥協点を見つけることを優先する。……それが今のアルヴァレス、そして世界に最も必要な資質なんだ」



「ですが、私はあなたのような圧倒的な魔力も、鑑定の力もありません!」



「それでいい。むしろ、力がある者は、いつか私のように独裁の誘惑に駆られる。……力なき者が、人々の声を聞き、理性的かつ冷静に判断を下す。……それを支えるのが、私が構築した新しいシステム『アルヴァレス2.0』だ」



 レオンは、数万のログが流れる空中に、一枚の簡素なインターフェースを投影した。



「このシステムは、もう一方的に命令は下さない。……人々の『困りごと』を吸い上げ、君というフィルターを通して、最適な解決策を提案する支援装置だ。……セドリック、君にこの世界の『最高責任者(後継CEO)』になってほしい」





 ***



「……本当に、彼でいいのですか?」



 セドリックが呆然としたまま、フェニカに連れられて「現場研修(OJT)」へ向かった後。リリアが心配そうにレオンに問いかけた。



「ああ。彼は、自分の無力さを知っている。だからこそ、人の意見を満遍なく聞ける。……私は今まで、自分の『鑑定結果』が正しいと思い込み、他人の意見をノイズとして切り捨ててきた。……その結果が、あの魔王としての暴走だ」



 レオンは、窓から見える地上の灯りを見つめた。



「後継者に必要なのは、最強の力じゃない。……誰よりも『迷える』こと、そして『誠実であること』だ。……それがあれば、私が残したシステムを正しく使いこなせるだろう」



「……レオン様は、本当に行ってしまうのですね」



 リリアの声が、微かに震えた。

 レオンは、これまでずっと自分を支えてくれた彼女の視線から、わざと目を逸らすように言葉を続けた。



「……私の役目は、もう終わったんだ。……魔王として世界を傷つけた男が、いつまでも玉座に居座るべきじゃない。……すべてが整ったら、私は一人の冒険者として、この空の下を歩いてみたい。……鑑定の結果ではなく、自分の足で、自分の目で、世界を見たいんだ」



 それは、レオンが決めた「自分自身への退職勧告」だった。




 ***

 それからの数日間、レオンによるセドリックへの猛烈な教育(OJT)が始まった。

 


「セドリック、この村の争い、鑑定の提案は『強制排除』だが、君ならどうする?」



「ええと……まずは双方の言い分を聞いて、土地の境界線を再定義し、余った資材を共同で使う契約を結ばせます」



「……正解だ。効率は悪いが、その方が遺恨は残らない」



 レオンは、自分とは真逆の答えを出すセドリックを、どこか眩しそうに見守っていた。

 

「……リリア、フェニカ。見ていてくれ。……これで、私のホワイト企業(世界)は、私が死んでも潰れない『健全な組織』に生まれ変わる」



 レオンはそう言って、初めて満足げに微笑んだ。

 だが、その微笑みには、どこか遠くを見据えるような孤独な色があった。



 彼は、誰にも告げずに「一人で旅立つ」準備を着々と進めていた。

 自分のしでかした罪を背負い、静かに、誰にも迷惑をかけずに消えることが、彼なりの「最後のケジメ」だと思い込んでいたのだ。



 しかし。

 その隣に立つリリアが、どれほど鋭く、その「お別れの気配」を察知しているか。

 レオンは、自分の心(鑑定)に関しては、相変わらず無能なままだった。

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