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追放された無能貴族、実は全属性魔法と鑑定EX持ちでした 〜婚約破棄された翌日、王国が崩壊しましたが俺は関係ありません〜(連載版)  作者: 白昼夢


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第26話 「新しい国の、設計図」

第26話 「新しい国の、設計図」



 浮遊都市の中枢会議室。


 円卓を囲むのは、レオン、宰相アーヴェル、リリア、そして――

 椅子の背にだらしなくもたれかかる、小さな少女。


「……で?

 何これ。会議?」


 大魔術師は、足をぶらぶらさせながら不機嫌そうに言った。


「眠いんだけど」


「初回からそれか……」


 レオンは苦笑しつつも、視線をアーヴェルへ向ける。


「じゃあ、頼む」


 その一言で、

 老宰相の背筋が、すっと伸びた。




「――まず、前提を整理しましょう」


 アーヴェルの声は穏やかだが、揺るぎがない。


「我々はすでに

 軍事力、魔術力、インフラ、独立性

 そのすべてにおいて“国家水準”を超えています」


 卓上に展開される、魔術式の立体図。


 浮遊都市の構造、人口、資源循環、結界網。


「問題は一つ。

 “名乗らない理由がない”ということです」


 静かな、だが決定的な言葉だった。




「国名、決める?」


 リリアが、少し楽しそうに言う。


 アーヴェルは頷いた。


「はい。

 国とは、名を持たねば始まらない」


 レオンは少し考え――

 そして、即答した。


「アルヴァレス」


 一瞬、室内が静まる。


「都市名と同じでいい」


 レオンは肩をすくめる。


「俺が作った国だ。

 回りくどいのは要らない」


 大魔術師が、ふっと鼻で笑った。


「……単純。

 でも嫌いじゃない」


 アーヴェルは、深く頷く。


「では――

 浮遊国家アルヴァレス」


 その瞬間。


 都市全域の中枢結界が、わずかに輝いた。


 ――国として、認識された。




「次に、制度設計です」


 アーヴェルは淡々と続ける。


「王制は採りません」


 即断だった。


「王国は、王一人の歪みで崩壊した。

 同じ轍は踏まない」


 レオンも頷く。


「トップは?」


「議会制……と言いたいところですが」


 アーヴェルは、ちらりとレオンを見る。


「現実的ではない」


 全員が理解していた。


 この国の抑止力は、

 レオンと、少女と、ウサギだ。

「よって」


 アーヴェルは、はっきりと言った。


「レオン・アルヴァレスを

 建国者兼最高責任者とします」


「……王じゃないのか?」


 レオンが眉を上げる。


「ええ」


 即答。


「王ではありません。

 “拒否権付き最終決裁者”です」


 大魔術師が吹き出した。


「なにそれ。

 めんどくさそう」


「責任だけ王級で、

 儀式も権威もない」


 アーヴェルは淡々と畳みかける。


「あなたの性格に、最適です」


 レオンは、諦めたように息を吐いた。


「……好きにしてくれ」


 その瞬間、

 彼の立ち位置が、明確に定まった。




「では、私は?」


 リリアが首を傾げる。


「魔術・研究・教育部門の統括を」


「了解」


 即決だった。


 そして――

 全員の視線が、少女に向く。


「……え、なに」


 大魔術師は、露骨に嫌そうな顔をする。


「私、面倒なの嫌い」


「役職は不要です」


 アーヴェルは冷静に言った。


「ただ――

 国家存続に関わる案件への拒否権を」


 少女は、目を細めた。


「……つまり?」


「国が暴走しそうになったら、

 壊してください」


 一拍。


 そして――


「……はは」


 大魔術師は、楽しそうに笑った。


「いいよ、それ」


 ウサギを抱き上げ、宣言する。


「じゃ、私は

 “最終的な災厄担当”ね」


「雑すぎるだろ……」


 レオンが突っ込むと、


「嫌ならやめるけど?」


 にやり。


「……頼む」


 即答だった。




 こうして。


 浮遊都市は、

 浮遊国家アルヴァレスとして正式に始動した。


 王はいない。

 だが、崩れない。


 独裁でもなく、

 衆愚でもない。


 世界にとって――

 最も、扱いづらい国。


第三章、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。


浮遊都市アルヴァレスは、ついに「国家」として動き出しました。

レオンたちが積み上げてきたものが形になった章になったかなと思います。


次回は少しだけ、ほっこり特別編を挟みます。

そのあと――第四章はシリアス全開です。

国家としての覚悟と選択が、より重くのしかかってきます。


もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と感じていただけましたら、

評価や感想で応援していただけると、とても励みになります。


それでは、特別編でひと息ついてから、第四章でお会いしましょう。

今後ともよろしくお願いいたします。

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