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追放された無能貴族、実は全属性魔法と鑑定EX持ちでした 〜婚約破棄された翌日、王国が崩壊しましたが俺は関係ありません〜(連載版)  作者: 白昼夢


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第17.5話(番外編) 宰相、娘に誓う

第17.5話(番外編) 宰相、娘に誓う



 夜明け前の墓地は、静かだった。


 湿った土の匂いと、朝露に濡れた草の香りだけが漂う。


 アーヴェル・グランディスは、ゆっくりと歩みを進めた。


 足元の小さな墓標。


 そこに刻まれた文字を、彼は何度も指でなぞる。


 


 ――「エリナ・グランディス」


 かつて、この国の未来を共に夢見た一人娘。


 笑顔が、目に浮かぶ。


 大きな瞳。

 控えめだが、聡明な微笑み。

 誰にでも優しく、けれど決して自己主張しない。


 ――王女セシリアとは、正反対だった。


 


 アーヴェルは、深く息を吸った。


「……すまなかった、エリナ」


 声は震える。

 風にかき消されそうなほど小さく、かすかな呟きだった。


 


 娘の死の瞬間。

 守れなかった罪。

 それを覆い隠した“事故”の記録。


 胸の奥で、何度も何度も問いかけた。


(父として、何をしていた……?)


 


 墓前に膝をつく。


 手を、土に触れさせる。

 冷たい、湿った感触。


 だが、それでも温かさを探すように手を置いた。


 


 「お前が望む世界は……

 こんな国じゃなかっただろう」


 怒りでも、悲しみでもない。

 ただ、重い静寂。


 


 ふと思い出す。


 あの日、娘が小さな手を握りながら言った言葉。


『お父様が正しいことをしているなら、

 私は、どんな未来でも耐えられます』


 


 その言葉を信じ、守りきれなかった。


 心が裂ける。

 涙が頬を伝う。


 


 墓石に向かい、そっと手を置く。


「……だが、今度こそ」


 声が少しだけ強くなる。


「お前の未来を、奪わせはしない」


 地面に、拳を打つ。


「国を、

 人を、

 そして、自由を、守る」


 


 その時、風が強く吹いた。

 墓標の周囲の草を揺らす。


 まるで、娘の小さな手が揺れているかのように見えた。


 


 アーヴェルは立ち上がる。


 顔を上げ、遠く浮かぶ都市の方向を見据える。


「レオン……

 あの若者に賭けるか」


 答えは決まっていた。


 未来を、取り戻すために。


 


 小さな誓いを胸に。


 宰相は、再び歩き出す。


 過去に縛られた父親ではなく、

 未来を創る“指導者”として。


【主要登場人物】

アーヴェル・グランディス(国家顧問候補)

• 役割: 旧王国の元宰相。

• 背景: 王女セシリアの陰謀によって愛娘エリナを殺害され、自身も無実の罪で地下牢に幽閉されていた。絶望の底にいたが、レオンの勧誘と娘の死の真相を知ったことで覚醒。

• 能力: 長年の政務で培った圧倒的な知略、経験、そして旧臣たちへの人望を持つ。レオンの右腕として、都市のインフラ整備や人材の説得を担当する。

【故人・回想の重要人物】

• エリナ・グランディス

• 立場: アーヴェルの愛娘。王女セシリアと同い年。

• 最期: 聡明で心優しい少女だったが、父を失脚させようとする王女の策略により「階段からの転落事故」に見せかけて殺害された。

【敵対・旧王国勢力】

• セシリア・ルミナス(旧王女)

• 立場: 王国崩壊の元凶。

• 罪状: 鑑定により、かつてアーヴェルの失脚を狙ってエリナを殺害した事実や、魔族との闇の契約が裏付けられた。現在はその悪行がレオンによって暴かれつつある。

• 王国の残党

• 動向: 王都崩壊後も地下牢付近や都市の影に潜伏。武装・魔法を併用して浮遊都市の暗殺任務や妨害工作を企てるが、覚醒したアーヴェルの知略によって制圧されつつある。

【新勢力・協力者候補】

• 地下の学者(元宰相補佐)

• 立場: 王国の政争に敗れ、地下都市に隠れ住んでいた知識人。

• 動向: 最初は人間不信に陥り協力を拒むが、アーヴェルの真摯な説得とレオンの行動力に触れ、少しずつ心を開き始めている。

• 封印された大魔術師

• 立場: 第17話で存在が示唆された、王国の暗部を知る生き証人。

• 重要性: 王国に強力な封印を施されているが、救出できれば浮遊都市にとって最大の戦力かつ知識源になると期待されている。


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