表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された無能貴族、実は全属性魔法と鑑定EX持ちでした 〜婚約破棄された翌日、王国が崩壊しましたが俺は関係ありません〜(連載版)  作者: 白昼夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/55

第17話 宰相、再び立つ

第17話 宰相、再び立つ



 浮遊都市《アルヴァレス自治領》の朝は、静かに始まった。


 宰相アーヴェル・グランディスは、塔の最上階に立ち、遠くを見渡す。


 地下牢襲撃で残党を排除した後の、短い平穏。

 だが、心は休まらない。


 まだ、この世界には見えぬ脅威が潜んでいる。

 王国の闇は、完全には消えていないのだ。


 


 レオン・アルヴァレスが隣に現れた。


「宰相、そろそろ本格始動ですか?」


 軽く微笑むレオンに、アーヴェルは頷く。


「……ああ。

 これからは、知略をもって未来を作る」


 その言葉には、かつての悲しみや後悔が色濃く滲むが、決意の色も混じっていた。




 宰相は、塔の書斎に戻ると、地図と魔法陣が描かれた資料を広げた。


 狙うは、王国側に封印された大魔術師。

 その存在は、王国の過去の暗部を知る唯一の生き証人であり、浮遊都市の未来を左右する鍵となる。


 


 しかし、すぐには動けない。


 魔術師は強力な封印に守られており、無闇に動けば命を失う。

 そして、仲間の信頼を得ながら慎重に準備する必要があった。


 


 「……まずは、仲間を増やす」


 アーヴェルは地図に目を落とし、地下都市の情報を精査する。


 そこには、王国に仕えていた旧臣や知識者が潜んでいる。

 濡れ衣や政局に敗れ、地下に幽閉された者たちだ。


 長年の経験を活かし、彼らを説得し、信頼を得る――

 その計画を頭の中で組み立てる。




 数日後。


 幽閉されていた元王国宰相補佐、老齢の学者を訪ねる。

 目の前の老人は、最初こそ拒絶した。


「……私はもう、国も人も信じない」

「自分の家族すら、失った身に、何を望む?」


 アーヴェルは、静かに座る。

 優しく、しかし決して妥協せずに話す。


「私も、娘を失いました。

 しかし、それで立ち止まるわけにはいかない」


 かつての自分と同じ痛みを知る者に、まずは理解を示す。


 数日間の説得にも、老人は首を振り続けた。

 だが、地下牢襲撃で見せたアーヴェルの冷静さと判断力、

 そしてレオンの行動力を見て、少しずつ心を開き始める。




 その間も、浮遊都市では防衛設備や魔法陣の整備が進む。


 アーヴェルの指示で、旧王国の技術者や研究者たちが集められ、

 都市のインフラや防御魔法の整備を進める。


 「この都市は、ただの避難所ではない。

 未来を創る核となる」


 アーヴェルの声に、仲間たちは頷く。

 誰一人として迷いは見せない。




 ある夜。


 アーヴェルは書斎でひとり、娘の写真を手に取った。


 「エリナ……父は、今度こそお前が愛した国を守る」


 心の中で誓う。

 失われた過去を取り戻すことはできない。

 だが、これからの未来は、私が守る――。


 その決意は、魔術師救出作戦に向けた指針となる。




 翌日。


 アーヴェルはレオンに報告する。


「準備は整った。

 次は封印されている魔術師を救い出す」


 レオンは笑みを浮かべ、頷く。


「面白くなってきたな。宰相」


 アーヴェルも、微かに笑った。


「……面白いだけでは、終わらせない」


 浮遊都市の光が、夜空に煌めく。

 その光は、まだ小さくとも、確かな未来の象徴だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ