表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された無能貴族、実は全属性魔法と鑑定EX持ちでした 〜婚約破棄された翌日、王国が崩壊しましたが俺は関係ありません〜(連載版)  作者: 白昼夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/6

第1話 婚約破棄?――ああ、そういうイベントか

「レオン・アルヴァレス。貴様との婚約を、ここに破棄する!」


 その言葉は、祝福に満ちたはずの音楽を切り裂くように響いた。


 王立魔法学園の大広間。

 卒業式と舞踏会を兼ねたこの場には、貴族や王族、教師、在校生までが集っている。煌びやかなシャンデリアの下、色とりどりのドレスと礼装が踊る――はずだった。


 告げたのは、王女セシリア・ルミナス。

 金色の長い髪を揺らし、壇上から俺を見下ろすその瞳に、微塵の迷いもなかった。


「理由は明白ですわ。あなたは三年間、魔法適性なし。貴族として、そして王家の婚約者として……あまりにも無能です」


 ざわり、と空気が揺れる。


 無能。

 出来損ない。

  王家の恥。


 誰かが小さく笑い、誰かが目を逸らし、誰かが同情の視線を向ける。

 そのすべてが、俺の胸に突き刺さった。


 ――慣れている。


 この三年間、俺は「アルヴァレス家の無能」として生きてきた。

 魔法学園に通いながら、魔法が一切使えない貴族。どれだけ努力しても結果が出ず、評価は常に最底辺。王女の婚約者という立場だけが、かろうじて俺の存在価値だった。


 そして今、その最後の拠り所すら切り捨てられたわけだ。


「代わりに、わたくしは真に優秀な方を選びます」


 セシリアはそう言って、俺の隣に立つ青年へと視線を向けた。


「炎属性上級魔法を操り、剣術はAランク。王国の未来を担う英雄候補――ガイル・フォルテス様ですわ!」


 赤髪の青年が、一歩前へ出る。

 自信に満ちた笑み。誇らしげな姿勢。会場からは称賛の拍手が起こった。


 ……なるほど。


(そういうことか)


 その瞬間、胸の奥で何かが“噛み合った”。


 これまで感じていた違和感。

 なぜか努力しても魔法が発動しなかった理由。

 なぜ、世界がどこか「作り物」に見えていたのか。


(――これが、“イベント”か)


 次の瞬間、頭の奥が焼けるように熱くなる。


 日本での記憶が、雪崩のように流れ込んできた。

 社畜として働き、終電で帰り、ある雨の日にトラックに轢かれて死んだ男。

 そして気づけば、この世界で「レオン・アルヴァレス」として生まれていたこと。


(条件達成。隠蔽制限、解除)


 視界に、半透明のウィンドウが展開される。


【ステータス】

名前:レオン・アルヴァレス

職業:賢者(EX)

魔法適性:全属性(EX)

固有スキル:鑑定(EX)/魔力無限/スキル創造


 ……やれやれ。


 どうやら俺は、気づかないフリをしていただけらしい。

 力がなかったのではない。ただ、制限されていただけだ。


 世界は、歪んで見えた。


 壇上の王女も、英雄候補も、会場に集うすべての人間が――

 まるで「鑑定可能な対象」に変わったかのように。


「……何か言い残すことは?」


 勝ち誇ったように、セシリアが言う。


 俺は一歩、前に出た。

 不思議と、心は静かだった。


「婚約破棄、受け入れるよ」


 会場が、再びざわめく。


「ただし――その代わり」


 俺は、軽く指を鳴らした。


 その瞬間、大広間の床に巨大な魔法陣が浮かび上がる。


「なっ……!?」


 誰かが悲鳴を上げた。


「全属性同時展開。真・鑑定」


 光が走る。

 逃げ場はない。


 ――この世界は、もう俺の目をごまかせない。


 そうして俺は悟った。


 追放されるのは、俺ではない。

 本当に詰んでいるのは――この国の方だ。


本作は

『追放された無能貴族、実は全属性魔法と鑑定EX持ちでした 〜婚約破棄された翌日、王国が崩壊しましたが俺は関係ありません〜』

の連載番(続編)となります。


完結まで毎日19時更新予定ですので、ぜひお付き合いください。


ブックマーク・評価・感想をいただけると執筆の励みになります。

次回もよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ