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05


 ウヨロ連山にひっそりと佇む、最後の魔王が住んでいた古城に《《それ》》は現れた。黒いローブで身を包み、頭からフードを被っているその姿。


 所々焼け焦げ、壁は破壊され、床には穴が開き、天井は半分以上崩落したその場所は、魔王にとっては安息の地であったはずだった。


 中央にはほぼ形を成していない玉座がぽつんとあり、そこに一つの死体がある。すらりとした体で、頭から角を二本生やした魔王の体の中心には、大きな穴が空いていて、暗黒色の血液が流れていた。


 あの勇者達の出現により、安息の地は戦場に変わり、魔王自身は失われ、廃墟だけが残る。


 《《それ》》は懐から赤いキューブを取り出し、


 キーン・・・


 弾いて音を発する。


 玉座に倒れ込むようにしていた魔王の死体は砂山が崩れるようにゆっくりと塵のように崩れて行き、雪のように玉座に薄く降り積もった。


 キーン・・・


 もう一度音を発する。すると、粉々になった砂が再び寄り集まってレンガを形成し、そのレンガがいくつも集まって崩落した天井に収まる。同じように崩れた壁にもレンガは積み重なって行き、強固な壁となった。


 地面に開いた穴は、穴の奥から岩が浮き出るように塞がり、焼け焦げた跡は風に吹かれたように消え去った。


 床に落ちていた変形した金属は、粘土をこねるように不規則に形を変えると、やがて燭台となって所定の位置である壁に収まる。


 木製の玉座はまるで木が傷を癒すように、その形を戻して行く。赤い装飾が施された、質素な玉座。

今ではもう座る者はいない。


 《《それ》》は玉座に降り積もった魔王の体の塵を払い落とし、懐から白濁したキューブを四つ取り出すと玉座に置いた。


『ルイよ』


 頭の中に響く声。


「はっ」


 ルイは短く応える。


『我の・・・魂を・・・』


 玉座に置いたファントムが会話するように明滅する。


『我の・・・魂を・・・取り戻すのだ・・・』


「御意」


 ルイはそう言うと、玉座に跪いた。



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