8話 テスト週間前
色々あったGWも終わり、普段の日常に戻る。ただ、変わったこと1つだけある。
それは、これから毎日香織と一緒に登校することになったことだ。
その事は昨日の帰りまで遡る。
駅からの帰り道。俺は、香織と手を繋ぎながら帰っていた。人の手の温もりを感じながら歩くのはこれで2回目だ。
「ねえ。明日も一緒に学校行かない?」
急に香織に言われる。
「えっ、い、いいけど」と急だったので言葉が少し詰まってしまった。
「ありがとう」と香織は言った。
「でも、手はいいかな…」「うん…」と二人とも顔が少し顔が赤くなった。
なんて事があったのだ。その事で少しうれしくなって笑みが漏れる。
好きな人と一緒に登校なんて、フィクションの作品でしか見たことが無かったし、夢にも見ていなかった。
そのため、今日はいつもの休み明けよりも気分が良い。
時計を見て、時間を確認し、リュックを背負う。1度深呼吸をしてから家から出る。
家を出てエレベーターに乗り、エントランスへと向かう。どうやら、先に着いたようだ。
エレベーターの機械の前の少し後ぐらいに立ち、自然な感じで香織を待つ。
そのすぐ後に、香織がエレベータから降りてきた。
「お待たせ。行きましょうか」「そうだな」
通学路を歩いていると、少し汗ばむくらいの気温になってきた。季節が段々と夏に近づくのを肌で感じる。たまに吹いてくる風が心地いい。
やがて学校に着く。
「じゃあ、また放課後な」「うん。じゃあね」と下足で別れ、教室に向かう。
教室に着き、席に向かうと、すでに田沼は教室に着いていた。荷物を自分の机に置き、田沼のところへ向かう。
「おはよう、田沼。今日は早いんだな」「おはよう更科。休み明けだから頭が回ってなくて家10分早く出ちゃった」
と田沼は笑っていった。
「GWってウィークってつくのに全然週じゃないよな」
と田沼が言った。
「確かに、言われてみればそうだな」「だろ?これじゃウィークではなくてデイズだよな」
あははっと声を出して笑う。田沼も笑っていた。
チャイムが鳴り、席に戻る。休み明け1発目の授業は数学だった。
いつもなら授業について行くのに精いっぱいの教科だが、今日はワークをすでに済ましていたからか、スムーズに頭に授業が入ってくる。
授業の最後の方に、先生がテストの時に提出するワークの範囲を発表した。自分のワークと範囲を照らし合わせる。
あと3ページほど足りなかったが、それ以外の範囲は合っていたので思わず笑みがこぼれる。
その後の教科もテスト前だからか、授業終わりの直前に提出物を発表する教科が増えてきた。
ただ、数学以外のワークは一切手を付けていなかったので焦る。
「家帰ったら少しだけでも進めておかないとな…」と心の中で呟きながらメモを取る。
やがて、昼休みになった。田沼が弁当箱を持ってこっちにやってくる。
「一緒に飯食おうぜ~!」「よし、食うか!」
1つの机に2つの弁当箱が並ぶ。
やはり食べ盛りだということもあってなのか、弁当箱が2つ並ぶとまあまあ机の面積を使ってしまう。
『いただきます』と息を揃えて言い、食べ始める。
おかずを口に入れ、そのあとにご飯を食べる。毎日の同じ味だが、飽きずに食べることが出来る。
やはり母ってすごいのだな。と思った。
『ごちそうさま』と言う。
「そういえば、課題ってどこまで進んだ?」と田沼が聞いた。
「数学はほぼ終わってる。他の教科はぜんぜんだけど」「やべえ俺全然やってねえよ」
「まあまだ時間あるし何とかなるでしょ」「そりゃそうか!」
と田沼は元気にそう言った。
昼休みが終わり、午後の授業が始まる。ただ、午後は授業が少ないので、直ぐに終わった。
終礼を済まし、下足に降りると、すでに香織が立っていた。
「ごめん遅くなって」「私もさっき来た所だから大丈夫」
「じゃあ行くか」「行きましょう」
と家に向かって歩き出す。
「そういえば、課題ってどこまで進んでる?」と香織が聞いた。
「数学以外はぜんぜんしてないな。香織は?」「私は、数学と英語以外は全然だわ」
「結構進んでるじゃん」「全然よ。そうだ、今日暇?」「暇だけどどうしたの?」
「今日、私の家で一緒に勉強しない?」
「え…ええ!?」「私の家の場所わかるでしょ。準備が出来たら連絡するから」
「お、おう…」
家に着き、さっきの事を思い出す。
まさか、家に呼ばれるなんて…いつぶりだろうか。
準備を開始する。着替えて、ワークと筆記用具を鞄に入れなおす。
そうしていると、スマホが震えた。
『準備できたわ。もう来て良いよ』
どうやら、集中できる気がしない。
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