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サイドストーリー:桐生美琴の視点 ―「静かな炎」

 私は、昔から“無難”だった。


 成績は上位、容姿はよかったし、友人関係はある程度は築いてきた。


 けれど、気づいてた。

 ——白川紗月は、すべてにおいて“特別”だった。


 誰もが彼女に憧れ、嫉妬し、敬遠した。

 私もその一人だった。でも、私は逃げなかった。


 「紗月、今日も一緒に帰ろ?」


 そう声をかけ続けることで、自分の中のコンプレックスと向き合っていたのかもしれない。


 でもあるときから、彼女の目に“影”が差しているのに気づいた。


 無理をしている。

 限界ギリギリで立っている。

 それでも誰にも頼れない——そんな彼女が、見ていられなかった。


 だから、元婚約者——誠が、彼女に手を差し伸べた時、


 私は、心のどこかでこう思っていた。


 ——よかった、間に合ったんだね。


 でも、それと同時に、もうひとつの気持ちも芽生えていた。


 

 ……羨ましい。


 私にはできなかったことを、誠はやったんだ。


 紗月を、ちゃんと「ひとりの女の子」として見て。


 私は、ただの“友達”でいるしかなかった。


 

 もし、私に今できることがあるなら。


 ——それは….

やっぱり言うのはやめて心のうちに秘めておこう。

そうしないと私が惨めになるだけだ。

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― 新着の感想 ―
タイトルにもありますが、「元婚約者」とは? 主人公は「元カレ」なのではなくて?
2025/07/18 05:57 通りすがり
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