第1話:静かなる告発
申し訳ございません。
以前上げた内容は他のサイトで不快であるという意見や感想が入ったので、新しい話を考えて掲載しなおします。
その数日後。
生徒会宛てに、一通の封筒が届いた。
差出人不明。中には、ある“報告書”が入っていた。
「……これは、匿名の内部告発?」
紗月が呟いた。
内容は、ある委員会の内情——不透明な役職決定、不公平な仕事の分配、特定生徒による私的利用。
その直後、生徒会の掲示板には“抗議文”も届いた。
「改革に賛成する人もいれば、反感を持つ人もいる。動き出した証拠ね」
「相川玲奈って、文化委員のあの子……関係ありそうだな」
「確かめに行きましょう」
放課後。校舎裏手のベンチ。
そこに、相川玲奈は座っていた。制服の袖を握りしめ、うつむいたまま。
「相川さん。生徒会です。少し、話せますか?」
玲奈は、はっと顔を上げた。驚き、そしてすぐに目をそらす。
「……私、悪くないのに……ずっと、無視されて……ひとりで……」
ポツリポツリとこぼれる言葉は、まるで押し殺してきた心の声だった。
「ちゃんと……見てくれて、ありがとう……」
その涙は、抗えない真実を語っていた。
僕は、彼女のノートに目を落とす。びっしりと記録された日付、仕事内容、会話の記録——
これは、彼女なりの“叫び”だったのだ。
その夜。スマホに、1通のメールが届いた。
差出人不明。件名なし。
本文は、ただ一文だけ。
「生徒会気取りのクソガキ。調子に乗るなよ」
画面を見つめながら、僕はそっとスマホを伏せた。
言葉の刃は、もう始まっている。
でも、もう怯えない。
——これは、戦いだ。
そして次の日。
紗月は、生徒会室で僕に告げた。
「高森くん。相川玲奈さんの件、発信するつもりよ。実名ではなく、匿名の“モデルケース”として」
「俺が、原稿を書くよ」
「……いいの?」
「“声を上げる勇気”を、なかったことにはさせない」
紗月は、静かに頷いた。
プロジェクターの光がまた、資料を照らす。
けれど、そこにはもう、ただの数字ではなく——
たしかな“感情”と“意志”が、映りはじめていた。




