6話の6 透く意
『闇kou』という都市伝説がある。
はじまりは、インターネットの匿名掲示板に書き込まれていた実体験から。
投稿主は、「就活蝉♀」。
スペックは成人済みの女性、スリーサイズは「ナ・イ・ショ☆」、大卒後はとある中小企業の営業課に3年勤めていた。以上。
大まかな内容は以下の通り。
就活蝉♀は就活中に交通事故に遭い、生死を彷徨っていた際に幽体離脱を体験した。
そして、霊体のまま現世をフラフラしていた際に、たまたま会社の社員募集の公告を見つけた。それが「闇kou」である。
もう1度自分の体に戻るまでの闇kouで働かせてほしいと応募して売り込み、生き返るまでは短期職員、もし死んだら長期職員として転じられる前提で採用された。
その後、闇kouで行なった仕事や、上司や同期職員の身内話、体験した幽世での生活について書かれていた。
それがネットの民の間で語り継がれていき、実際に存在するようになったのが“闇kou”という都市伝説化した幽霊会社である。
闇kouは、幽世に存在する唯一のインターネット企業である。
幽霊回線、モバイル通信などのインターネットサービスや通信インフラ、コミュニケーションアプリやブログサービスなども纏めて管理している大手企業。
現世で死亡した生き物……つまり、霊があの世へと向かい、成仏するまでの49日間、このネットサービスを無料で使用することができるというシステムだ。
ただし、今では闇kouは進化を遂げており、霊の他に妖怪や怪異など、人ならざるものであれば、誰でも扱えるようになっていた。
勿論、空に憑く怨霊も対象であるため、副次的に空も闇kouのネット回線を使えていた。
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〈 ハーベスト☆カーニバル(4)
うつほ
:上手くひっこ抜けたようでよかったです。
うつほ
:で、感想は?
みれい
:地獄?
りの
:ざまぁないな、と
はらわたを必死にかき集める姿とか中々に
楽しめたと思う
りの
:【満足げに額の汗を拭うサルさんのスタン
プ】
みれい
:莉乃ちゃん莉乃ちゃん
悪霊に寄ってるから
サイコパスみたいになっちゃってるから
うつほ
:人を害してる時点で悪霊みたいなもんです
よ
みれい
:空さんシャラップ
うつほ
:Hi,ma'am.
みれい
:空さんって実はお茶目だったりする???
りの
:美怜さんだって引っこ抜いたやつ、お尻の
穴に突っ込んでたじゃないですか
りの
:まるで私ばかり楽しんでたみたいな言い方
しないでください
りの
:【ぷんすか怒るクマさんのスタンプ】
みれい
:そんなに穴に突っ込みたいなら自分の穴に
突っ込めばいいのになって思って
りの
:あなたが誰よりもサイコパスですよ
うつほ
:微笑みながら書き込んでるでしょ絶対。
りの
:【何か恐ろしいものを見つけたウサギさん
のスタンプ】
ちかこ
:ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!
みれい
:ん?
りの
:なんでもありません
うつほ
:なんでもありません。
りの
:あれ? 千佳子さん?
うつほ
:おや、帰ってきてますね。
ちかこ
:|д゜)チラッ
みれい
:あ、お帰り~!
りの
:【「おかえりなさい!」と笑うイヌさんの
スタンプ】
うつほ
:おかえりなさい。
ちかこ
:ただいま戻りました!(`ー´ゞ-☆
うつほ
:で、はじめて友人を呪った感想は?
みれい
:空さん
人の心って……なんですか?
うつほ
:とても大切なものだと思います。
ちかこ
:何言ってるんですか~空さん!
あんなクソイカレ裏切り女が私の友達な訳
ないじゃないですか~!(((*≧艸≦)ププッ
ちかこ
:現実逃避の言葉の数々に何度私が口を裂い
てズタズタにしようと思ったことか
ちかこ
:まあでもそんなことして出血多量で死なれ
ても困るので、とりあえず精神的に追い詰
めて追い詰めて追い詰めて、勝手に自殺す
るか精神病院に閉じ籠もるまで傍に居よう
かなと思います!(ゝω・´★)
ちかこ
:絶☆交(/^^)/⌒●~*
うつほ
:爆弾投げつけるくらい不快な人間って実在
するんですね。
みれい
:千佳子ちゃん
友情って……なんですか?
ちかこ
:とっても大切なものだと思います(^^)d
りの
:すごくいい笑顔をしているな
みれい
:サイコパス・オブ・ザ・イヤー授賞できる
よ
ちかこ
:改めまして、空さん
今回は私達の私事に付き合ってくださり、
ありがとうございます!
本当に感謝してもしきれません!
m(_ _)m
うつほ
:まあ、こっちも友人の危ないところを教え
てくださったので、その対価といいます
か……感謝の気持ちといいますか、気まぐ
れといいますか。
うつほ
:カラオケボックスでも言いましたけど、あ
まりお気になさらず。
うつほ
:私は、私が助けて気分が良くなる方を掬っ
ているに過ぎませんので。
りの
:だとしても、だ
りの
:空さんのおかげで私達の気持ちが救われた
のは事実だ
りの
:何度でも言わせてくれ
本当にありがとう
みれい
:うんうん
みれい
:それに、あいつらがいなくなれば、少なく
ともあいつらに襲われる女性もいなくなる
わけだし
みれい
:そういう意味でもすごく頼りになったし、
すごいなって思ったの
みれい
:だからね、空さんが感謝を受け取っても受
け取らなくても、例え忘れたとしても
私はあなたの気まぐれな優しさを忘れない
と思うんだ
みれい
:言うだけならタダなんだし、たくさん言わ
せてね
ありがとうって!
りの
:美怜さん
そこは私「達」でしょう?
ちかこ
:そうですよ~美怜さん!
私「達」ですよね!?(σ≧▽≦)σ
みれい
:あ、そうだね!
ごめんごめん
うつほ
:はいはい。
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「律儀だなぁ」
空は自室でスマホのトーク画面を見ながら呟いた。
――数日後。
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〈 ハーベスト☆カーニバル(4)
ちかこ
:クソイカレ女鬱った~ww
ちかこ
:キタ━(゜∀゜)━!
ちかこ
:ヤッタ━(゜∀゜)━!
みれい
:やったねー!
みれい
:精神病棟秒読みだ!
りの
:【「おめでとう!」と花束を持つヒツジさ
んのスタンプ】
りの
:【狂喜乱舞しているウサギさんの動画スタ
ンプ】
うつほ
:楽しそうで何よりです。
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次の投稿は8月24日、日曜日、0:00です。
よろしくお願いします。




