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べからずさま  作者: 長月 ざらめ
1章 口紅編
20/38

6話の6 透く意

 『闇kou(あんこう)』という都市伝説がある。

 はじまりは、インターネットの匿名掲示板に書き込まれていた実体験から。

 投稿主は、「就活蝉♀」。

 スペックは成人済みの女性、スリーサイズは「ナ・イ・ショ☆」、大卒後はとある中小企業の営業課に3年勤めていた。以上。


 大まかな内容は以下の通り。

 就活蝉♀は就活中に交通事故に遭い、生死を彷徨っていた際に幽体離脱を体験した。

 そして、霊体のまま現世をフラフラしていた際に、たまたま会社の社員募集の公告を見つけた。それが「闇kou」である。

 もう1度自分の体に戻るまでの闇kouで働かせてほしいと応募して売り込み、生き返るまでは短期職員、もし死んだら長期職員として転じられる前提で採用された。

 その後、闇kouで行なった仕事や、上司や同期職員の身内話、体験した幽世での生活について書かれていた。


 それがネットの民の間で語り継がれていき、実際に存在するようになったのが“闇kou”という都市伝説化した幽霊会社である。


 闇kouは、幽世(かくりよ)に存在する唯一のインターネット企業である。

 幽霊回線、モバイル通信などのインターネットサービスや通信インフラ、コミュニケーションアプリやブログサービスなども纏めて管理している大手企業。

 現世で死亡した生き物……つまり、霊があの世へと向かい、成仏するまでの49日間、このネットサービスを無料で使用することができるというシステムだ。


 ただし、今では闇kouは進化を遂げており、霊の他に妖怪や怪異など、人ならざるものであれば、誰でも扱えるようになっていた。


 勿論、(うつほ)に憑く怨霊も対象であるため、副次的に空も闇kouのネット回線を使えていた。


────────────────────


〈 ハーベスト☆カーニバル(4)


うつほ

:上手くひっこ抜けたようでよかったです。


うつほ

:で、感想は?


みれい

:地獄?


りの

:ざまぁないな、と

 はらわたを必死にかき集める姿とか中々に

 楽しめたと思う


りの

:【満足げに額の汗を拭うサルさんのスタン

 プ】


みれい

:莉乃ちゃん莉乃ちゃん

 悪霊に寄ってるから

 サイコパスみたいになっちゃってるから


うつほ

:人を害してる時点で悪霊みたいなもんです

 よ


みれい

:空さんシャラップ


うつほ

:Hi,ma'am.


みれい

:空さんって実はお茶目だったりする???


りの

:美怜さんだって引っこ抜いたやつ、お尻の

 穴に突っ込んでたじゃないですか


りの

:まるで私ばかり楽しんでたみたいな言い方

 しないでください


りの

:【ぷんすか怒るクマさんのスタンプ】


みれい

:そんなに穴に突っ込みたいなら自分の穴に

 突っ込めばいいのになって思って


りの

:あなたが誰よりもサイコパスですよ


うつほ

:微笑みながら書き込んでるでしょ絶対。


りの

:【何か恐ろしいものを見つけたウサギさん

 のスタンプ】


ちかこ

:ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!


みれい

:ん?


りの

:なんでもありません


うつほ

:なんでもありません。


りの

:あれ? 千佳子さん?


うつほ

:おや、帰ってきてますね。


ちかこ

:|д゜)チラッ


みれい

:あ、お帰り~!


りの

:【「おかえりなさい!」と笑うイヌさんの

 スタンプ】


うつほ

:おかえりなさい。


ちかこ

:ただいま戻りました!(`ー´ゞ-☆


うつほ

:で、はじめて友人を呪った感想は?


みれい

:空さん

 人の心って……なんですか?


うつほ

:とても大切なものだと思います。


ちかこ

:何言ってるんですか~空さん!

 あんなクソイカレ裏切り女が私の友達な訳

 ないじゃないですか~!(((*≧艸≦)ププッ


ちかこ

:現実逃避の言葉の数々に何度私が口を裂い

 てズタズタにしようと思ったことか


ちかこ

:まあでもそんなことして出血多量で死なれ

 ても困るので、とりあえず精神的に追い詰

 めて追い詰めて追い詰めて、勝手に自殺す

 るか精神病院に閉じ籠もるまで傍に居よう

 かなと思います!(ゝω・´★)


ちかこ

:絶☆交(/^^)/⌒●~*


うつほ

:爆弾投げつけるくらい不快な人間って実在

 するんですね。


みれい

:千佳子ちゃん

 友情って……なんですか?


ちかこ

:とっても大切なものだと思います(^^)d


りの

:すごくいい笑顔をしているな


みれい

:サイコパス・オブ・ザ・イヤー授賞できる

 よ


ちかこ

:改めまして、空さん

 今回は私達の私事に付き合ってくださり、

 ありがとうございます!

 本当に感謝してもしきれません!

 m(_ _)m


うつほ

:まあ、こっちも友人の危ないところを教え

 てくださったので、その対価といいます

 か……感謝の気持ちといいますか、気まぐ

 れといいますか。


うつほ

:カラオケボックスでも言いましたけど、あ

 まりお気になさらず。


うつほ

:私は、私が助けて気分が良くなる方を掬っ

 ているに過ぎませんので。


りの

:だとしても、だ


りの

:空さんのおかげで私達の気持ちが救われた

 のは事実だ


りの

:何度でも言わせてくれ

 本当にありがとう


みれい

:うんうん


みれい

:それに、あいつらがいなくなれば、少なく

 ともあいつらに襲われる女性もいなくなる

 わけだし


みれい

:そういう意味でもすごく頼りになったし、

 すごいなって思ったの


みれい

:だからね、空さんが感謝を受け取っても受

 け取らなくても、例え忘れたとしても

 私はあなたの気まぐれな優しさを忘れない

 と思うんだ


みれい

:言うだけならタダなんだし、たくさん言わ

 せてね

 ありがとうって!


りの

:美怜さん

 そこは私「達」でしょう?


ちかこ

:そうですよ~美怜さん!

 私「達」ですよね!?(σ≧▽≦)σ


みれい

:あ、そうだね!

 ごめんごめん


うつほ

:はいはい。


────────────────────


「律儀だなぁ」


 空は自室でスマホのトーク画面を見ながら呟いた。











 ――数日後。


────────────────────


〈 ハーベスト☆カーニバル(4)


ちかこ

:クソイカレ女鬱った~ww


ちかこ

:キタ━(゜∀゜)━!


ちかこ

:ヤッタ━(゜∀゜)━!


みれい

:やったねー!


みれい

:精神病棟秒読みだ!


りの

:【「おめでとう!」と花束を持つヒツジさ

 んのスタンプ】


りの

:【狂喜乱舞しているウサギさんの動画スタ

 ンプ】


うつほ

:楽しそうで何よりです。


────────────────────

 次の投稿は8月24日、日曜日、0:00です。

 よろしくお願いします。

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