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定年レッド、腰をいわしながら世界を救う 〜健康診断B判定からの逆襲〜

戦隊モノ、好きですか?


カラフルなスーツ、決めポーズ、敵との熱いバトル。

かつて憧れたヒーローたちは、時を経て今どこで何をしているのだろう。

本作はそんな疑問から生まれた「もし、あのヒーローたちが老後を迎えていたら?」という、ちょっぴりバカバカしくて、でもどこか胸にくる物語です。


中年・高齢者を“ギャグ”としてではなく、“主役”として真正面から描きたかった。

そして、“やらなくていいけど、やってみる”――そんな誰かの一歩が、どれだけ尊いものかを描けたらと願って書きました。


クスッと笑いながら、もし少しでも心が温かくなったら、作者としてこれ以上の幸せはありません。

午前6時。


 目覚ましの音とともに、嶋岡篤志(しまおか・あつし/59)は静かに呻いた。


「……今日も右ふくらはぎ、か」


 毎朝のようにつる足に顔をしかめながら、ゆっくりとベッドから起き上がる。

 布団を整え、洗面所で顔を洗い、白髪を撫でるように髪を整える。


「定年まで、あと26日」


 鏡に映る自分にそう呟き、淡々とネクタイを締める。

 そう、嶋岡は今、人生の終盤を迎えようとしている――“サラリーマンとして”の、だ。


 勤務先の中堅企業で中間管理職を務めて十数年。

 部下は言うことを聞かず、上司は責任を押し付け、胃薬の消費量だけが増えていく日々。

 唯一の楽しみは、昼休みに食堂で飲む薄いインスタントコーヒーだった。


 ――彼がかつて「レッド」だったことを知る者は、もういない。


その日の昼休み。社食の隅、嶋岡が味噌汁をすすっていると、

 隣のテーブルに座っていた若手社員の会話が耳に入ってきた。


「なあ、戦隊モノって今じゃダサくね?」


「てかさ、ヒーローやって何の意味あんの? 報酬ないんでしょ? ブラックすぎ」


「“やってらんねぇ”って言いながら変身する動画バズりそうだな。逆に」


 嶋岡は、すするのをやめた。


「……時代だな」


 そのときだった。


 社食の天井が、ズドォンッと音を立てて崩れた。


「!?」「うわ、なに!?」


 煙の中から現れたのは、スーツ姿の男。サングラスに書類カバン。明らかに普通じゃない。


「嶋岡篤志、レッド。再招集です」


「……昼メシくらい、静かに食わせろよ」


「現在、首都圏にて怪人の出現が確認されました。戦力が不足しています。あなたの契約、いまだ有効です」


 彼が差し出したのは、30年前のヒーロー契約書。黄色く変色し、端が焦げている。


「……なんだこれ。しかも“自動更新”って、クレカかよ」


「そうなります」


「俺、あと26日で定年なんだぞ」


「むしろ“定年目前”というブランド力が高く、メディア露出が期待されています」


「知名度で戦ってるわけじゃねぇよ……」

 その日夕方――


 Z世代の若者たちが呼び出された。会議室のホワイトボードには、太く書かれていた。


 「新戦隊プロジェクト始動」


 担当官がスーツ姿で口を開く。


「というわけで、皆さんには“令和の戦隊ヒーロー”としてご協力いただければと……」


「週休は?」


「報酬は?」


「転職に響いたりしないですか? ブラックじゃないですか?」


「てか、ウケるって言われたくないです。“ガチ”すぎて浮くんで」


 沈黙。


 誰一人、手を挙げなかった。


「ごめんなさい、ちょっと僕ら、ヒーロー向いてないんで」


 一方、嶋岡は一人、地下倉庫へと降りていた。

 そこに眠っていたのは、赤いヒーロースーツ。


「……まさか、これにまた袖を通す日が来るとはな」


 試しに着てみようとする――が、ファスナーが腹で止まる。


「……お前じゃない。太ったのは俺だ」


 肩が上がらず、ヘルメットが首に刺さる。膝が90度しか曲がらない。


「……これ、敵より先に倒れるんじゃないか?」


 それでも彼は、スーツを着た。

 動かない腕、うなる膝、ふらつく腰。

 だが、胸の奥には、確かに――火が残っていた。


 出動先は、駅前の広場。

 そこには、“やる気を奪う”怪人・グダグダーがいた。

 歩くだけで周囲の人々が座り込み、スマホを眺め始める。


「もういいや……」「帰って寝たい……」


 そこへ、嶋岡――レッドが現れた。


「おい。俺の昼休み、返してもらおうか」


「ん? 誰……って、うわ、おっさんじゃん」


「そうだよ。おっさんだ。でも昔はレッドだった」


「プッ……昭和かよ。懐かしっ!」


 怪人が吹いた瞬間、レッドは静かに構える。


 が、ポーズ途中で膝がカクン。


「ぬおっ……まだ、いける……いけ……る……」


 無理矢理こらえ、放った一撃――


「“定年カウントダウン・パンチ”!!」


 命名がダサい上に、威力も地味だ。


「うわ……痛ぇけど……こういう“中年の重み”ってあるよな……」


 その様子を遠巻きに見ていたZ世代の一人・ソラ(22)は、

 スマホ越しに呟いた。


「……ちょっと、かっこいいじゃん」

戦いを終えた嶋岡は、帰路についた。

 赤いスーツのまま電車に乗るわけにもいかず、背中に湿布を貼りながら、タクシーの中で静かに目を閉じた。


「戦えはした。けど……これが限界だな」


 翌日。嶋岡はスーツを脱ぎ、ロッカーにしまった。

 赤い色が、妙にまぶしく見えた。


「ヒーロー復帰? いや、やめときます」


 その日の午後、再び訪ねてきた政府の担当官に、嶋岡は静かにそう言った。


「昨日の戦いで実感しました。体がついてこない。あと、肩が五十肩で……上がらないんです」


「いえ、ですが……!」


「もう俺は、降りるよ」


 淡々と告げるその背中に、かつての熱はなかった。


 一方そのころ――政府は**「新戦隊結成」**に向けて、再びZ世代へのアプローチを開始していた。


 都内某所。シェアオフィスの一角。

 担当官が、若者たちを前にプレゼンを行う。


「……というわけで、世界の平和を守るために、新たな戦隊ヒーローが必要なのです!」


 拍手も感嘆もない。空気は重い。


「報酬は……?」


「SNSで炎上しませんか?」


「スーツって、エアコンついてます?」


 担当官が苦笑いする。


「いえ、その、あくまで正義感で――」


「その“正義感”ってやつが、俺たちには一番ないっすよ」


 静かに、突き放すようにソラが言った。


「“誰かがやるべき”っての、ずっと大人たちが言ってきたやつでしょ」


「でも、その“誰か”って、俺らじゃなくてよくない?」


 その場にいた誰もが、うなずいた。


「やりたくないっす。責任、でかすぎ。映えないし」


「人生、コスパ重視なんで」


 それを聞いた担当官は、会議後の控え室で頭を抱えていた。

 同僚がそっと言う。


「やっぱり……あの人しか、いないんじゃないですか? 嶋岡レッド」


「……でも、彼はもう――」


 その夜。


 嶋岡は、夜風の吹く公園のベンチに座っていた。

 片手には缶コーヒー。片膝には湿布。


 スマホには、SNSのタイムライン。

 そこには、昨日の戦闘を撮影した動画がバズっていた。


『なんか知らんけど、赤いおっさんが怪人倒してて草』

『顔がしんどそうだけど、地味にすごくね?』

『あの一発、俺の上司にも撃ってほしいわ』


 嶋岡は、苦笑いした。


「……そういう“草”でしか語れない時代か。まあ、それも現代ってことかね」


 そこへ、一本の着信が入る。


『嶋岡さん……怪人が、また……今度は、3体同時です』


「……そうか」


『出動していただけませんか』


「……悪いな。俺はもう、レッドじゃない」


 そう言って、通話を切る。


 だが、その夜。

 彼の手は、ロッカーの奥に眠るスーツへと、わずかに伸びかけていた。


 翌朝。街は静かだった。


 静かすぎた。


 電車は止まり、スマホは圏外、TVも砂嵐。

 そこに響くのは、怪人たちの演説だった。


「働くな! 学ぶな! 生きる意味はない!」


「我ら“無気力三兄弟”、この街にやる気を許さぬ!」


 やる気を吸い取る怪電波が、街を覆っていた。


 その波に、若者たちが倒れていく。

 Z世代のひとり、ソラもまた、ぼんやりとスマホを落とした。


「……なんで俺、立ってんだっけ……?」


 その瞬間だった。地鳴りのような音が広場に響いた。


 “ギシ、ギシ、ギシ……”


 ゆっくりと、だが確実に。


 赤いスーツを着た男が、杖をつきながら歩いてきた。


「……ったく、もうちょい若い頃に呼んでほしかったな」


 レッドが、帰ってきた。


嶋岡は、赤いスーツのジッパーを引き上げながら、携帯端末に目を落とした。


 通信は途切れていたが、ローカル回線だけは生きていた。

 そこに残されていたのは、旧戦隊時代のメンバー連絡網。もう誰も使っていない、誰にも使われていないはずの回線。


 嶋岡は一つ息を吐く。


「……頼むから、誰か、元気でいてくれよ」


【CASE 1:ピンク】

 連絡を入れたのは、ピンク=佐原ユリ(55)。

 元気が服を着て歩いていたような女傑で、戦隊解散後は子育てを経て、今は孫の送り迎えが日課だ。


《ピッ……ピッ……ガチャ》


『ちょっと今、離乳食中なんだけど!?』


「……相変わらずだな、ユリ」


『あれ、レッド!? あんた生きてたの!?』


「生きてるよ。で、またちょっと、やることになってさ」


『えっ。てか、なに? 敵? 怪人?』


「複数。戦意喪失系。しかも今回、現役世代が逃げ腰なんだ」


『あ~……今の子たち、“死ぬ気で頑張れ”って言ったら炎上するからね~』


「だから、こっちが死にそうなんだが」


『仕方ないわね……じゃ、シッター呼んで出るわ!』


【CASE 2:イエロー】

 次に連絡したのは、イエロー=黒田金吾(64)。

 元・肉体派。今・リハビリ通院中。電動車椅子が主な愛機だ。


《プルルル……ガチャ》


『……ん? おう、レッド? 久しいな』


「悪い、呼び出しだ。今すぐ動けるか?」


『動けるってか、転がれる。今、最高速は時速8キロだがな』


「……バッテリーは?」


『買い替え済み。あと、スピーカーつけた。爆音で流せるぜ。“俺たちのテーマ”ってやつをな』


「お前、準備良すぎだろ」


『ヒーローってのはな、老後にこそ輝くんだよォ』


【CASE 3:ブルー】

 最後に連絡したのは、ブルー=天野進(67)。

 かつての頭脳派。現在は老人ホーム暮らし、認知症を患っている。


 通話では会話にならなかったため、直接迎えに行った。


「進……天野……分かるか?」


 ホームのベンチに座る天野は、曇った目で空を見上げていた。


「……空が、青いねぇ……」


「お前の色だよ、ブルー」


「……ブルー……俺……だったっけ」


 嶋岡は、静かに天野の手を握った。


「一緒に行こう。お前のこと、信じてる」


 天野の指が、少しだけ震えた。


「……みんな、いるのか?」


「これから集まる。お前も、その一人だ」


「そっか……なら、行くか……久しぶりに……」


【集結の地】

 夕暮れの旧格納庫。

 錆びついた扉を開けると、そこには年齢を重ねたヒーローたちがいた。


 赤、ピンク、イエロー、そしてブルー。


「まさか、全員そろうとはな……」


「やだ、泣きそう。てか、肩が上がんない」


「車椅子だが火力は出せるぞ、安心しろ」


「……俺、何してたんだっけ……でも今は分かる。戦うんだな?」


 それぞれの身体は満身創痍。

 けれど――その目だけは、若いころのままだった。


 そして誰からともなく、懐かしの名乗りポーズを構え始めた。


「ギクッ!」


「ひざ痛ッ!」


「肩いわした……」


 無理矢理ポーズを決めながら、4人は叫んだ。


「「「「――最終戦隊・リターンズ!!」」」」


 その時、遠くから爆音が響いた。

 街に残された最後の砦、“中央管理タワー”にて、ダウナー三兄弟が動き出したのだ。


「……時間切れだな」


「もう、俺たちがやるしかない」


「だって、他に誰も……!」


 そう言いかけたその時――


「ちょ、待ったーッ!」


 どこか軽い声が響いた。


 振り返ると、息を切らせた若者たちが駆けてくる。

 ソラを先頭に、数人のZ世代が赤・青・黄色・ピンクの未使用スーツを背負っていた。


「……間に合いましたか?」


「さすがに、全部丸投げってのはダサすぎるんで……ちょっとだけ、背負いますよ」


 嶋岡が、少しだけ目を見開いた。


「……お前たち……」


 ソラは苦笑して言う。


「責任は取れないし、スーツも似合わない。でも、まあ……“ちょっとだけ、やってみてもいいかな”って」


 老兵たちの背後に、新たな世代が並んだ。

 並んだだけ。まだ変身はしていない。


 でも、たったそれだけで、十分だった。


「……このバトン、お前らに渡す準備はある。だが、最後の一戦は――俺たちが締める」


 タワー前広場。

 無気力怪人“三兄弟”――グダグダー、ナンモヤル気、メンドクサーンが揃い踏みしていた。


「さあて、この街にも“やる気ゼロ”の時代が来たぞ〜」


「はたらく? なにそれウケる〜」


「みんな寝ちゃえ〜。オフトゥン最高〜!」


 その声に呼応するように、街の人々が次々と倒れ込んでいく。

 学生、社会人、主婦――みんなスマホを手に持ったまま、まぶたを閉じていく。


 だが――。


 そこへ響いた、聞き覚えのあるギシギシという足音。


「……ぐぉ……この登場シーン、毎回ヒザにくるんだよ……」


 スーツの関節を軋ませながら、嶋岡が登場する。

 その後ろには、ピンク、イエロー、ブルーの3人。


 4人の老兵が、今再び、戦場に立った。


「来やがったな、ポンコツ戦隊! まだやる気かよ?」


「やる気ってのはなぁ……年齢じゃねぇんだよ!」


 ピンクが叫び、スプレー式シップを吹きかけながら構える。


「こちとら毎朝、腰に爆弾抱えてんのよ! あんたらの“やる気ゼロ”なんて慣れっこなの!」


「車椅子はなぁ、動かないやつより“ブッ壊れてでも前に進む”方がカッコいいんだよ!」


 イエローが電動車椅子で突っ込む。

 必殺・“ホイールクラッシュ・リターンズ”が炸裂し、怪人の脚を吹っ飛ばす。


「俺の名前は……ブルー……戦う理由は……ええと……そう、守りたい奴がいるからだ……ッ!」


 ブルーが短時間だけ記憶を取り戻し、懐かしの技“蒼牙乱舞”を展開。

 呪文のような技名に敵が「うわ、懐かしっ」と動揺した隙を突く。


 そして――レッドが前に出る。


「……俺は、定年まであと23日。退職金も、最終勤怠表も、まだ残ってる」


「でもな――」


 拳を構える。


「“今だけは”、それを全部忘れて戦わせてもらう!!」


「いっけえええええええ!! “定年カウントダウン・ラッシュ”!!!」


 レッドのパンチが、1発、また1発と繰り出される。

 スーツの可動域ギリギリの動き。技名も長い。息も切れる。

 でも、魂だけは、燃え上がっていた。


 戦いの最中、ソラたちZ世代は、遠くからその姿を見つめていた。


「……信じらんない。あんな動き、骨折れてるでしょ……」


「でも、なんか泣きそうになるわ……」


「……ヒーローって、ほんとにいたんだな……」


 怪人たちは徐々に押されていく。


「こ、こんな……化石みたいな奴らに……!」


「お前らがナメてたのは、“古さ”じゃねぇ。“積み重ね”だッ!!」


 レッドの渾身の一撃が、グダグダーの胸を貫く。


「この街にはまだ、立ち上がる奴がいるってことを――覚えておけぇぇえええ!!」


 ――轟音。


 3体の怪人は、同時に崩れ落ち、煙とともに消えた。


 戦いが終わる。


 広場に沈黙が戻る。


 そして――拍手が、ぽつり、ぽつりと聞こえてきた。

 Z世代が、立ち上がり、手を叩き始めたのだ。


「かっこよかった……」


「マジで……やば……」


「尊敬する。いやマジで」


 嶋岡たちは、すでに地面に座り込んでいた。

 全身にガタが来て、もう立てなかった。


「……救急車、呼んどけよ。いや、2台か、3台……」


「いや、霊柩車じゃねぇだけマシよ……」


「息が……胃まで……痛い……」


「……でも、ちゃんと……戦えたな……」


 その姿を見て、ソラはそっと、レッドのヘルメットに触れた。


「……これ、俺たちが受け取っても……いいですか?」


 嶋岡は、ゆっくりと笑う。


「……ああ。ちゃんと、洗ってからな」

 数日後。

 テレビのニュース番組では、例の戦闘を取り上げていた。


『……未確認の高齢ヒーロー集団によって、怪人の脅威は一時的に排除されました』


『ネット上では“昭和最終戦隊”として話題に』


『SNSでは「骨の音がリアルすぎて泣けた」「Z世代に足りないのは関節だった」などのコメントも』


 病室のベッドで寝ていた嶋岡は、天井を見つめながら静かに笑った。


「“足りないのは関節”はひどいな……」


 見舞いに来ていたピンク、イエロー、ブルーもそれぞれ包帯やコルセットを巻いた状態で並んでいた。


「私、肋骨いってたわ。4本」


「オレ、車椅子のフレームが骨より強かった」


「おれ……途中から記憶ないけど……なんか、楽しかった気がする……」


 部屋の外には、Z世代の若者たちが立っていた。

 新しいスーツに袖を通し、ヘルメットを抱えて、少し緊張した顔をしている。


「じゃあ……本当に、受け取りますよ。バトン」


 ソラが言った。

 その言葉に、嶋岡はゆっくりとうなずく。


「無理に戦う必要はない。やれる範囲でやればいい。最初の一歩は、それだけで充分だ」


「……はい。でも俺たち、ちょっとだけ、ヒーローに憧れてみたくなったんです」


 若者たちが去った後――


 病室の静けさの中、嶋岡は小さく呟いた。


「……もう一回くらい、変身してもよかったかな」


「やめとけ。今度こそ棺桶行きだ」


「……確かに」


 4人の笑い声が、病院の廊下に微かに響いた。









最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


本作は「昭和のヒーローと令和の若者がどう交わるか」をテーマに、ドタバタと感傷の狭間でできる限り楽しく、でも真剣に書いた物語です。


ヒーローというものは、「強さ」や「若さ」で測るものではないと思っています。

“もう無理だ”と思いながらも誰かのために立ち上がる――そんな姿が、きっと一番かっこいい。


そしてZ世代の若者たちも、きっと心のどこかに「誰かを守りたい」って気持ちを持ってる。

その小さな芽が、ほんの少しでも伝われば嬉しいです。


もし気に入っていただけたら、SNSで「うちの祖父も変身してたかも」とか書いていただけると喜びます。


それではまた、どこかのページでお会いできることを願って。

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