第九十二話 獣の咆哮と揺らぐ影
完全獣化し、アルデンへと突撃するアレン。
その一撃が、戦況を変えようとしていた——。
「グアアアアアア!!!」
咆哮が戦場を震わせた。
完全獣化したアレンが地を蹴り、爆発的な勢いでアルデンへと突撃する。
爪が空気を切り裂き、赤黒い拳が霧を貫いた。
「……!」
アルデンの赤い目がわずかに見開かれた。
次の瞬間——
ズバァッ!!
アルデンの霧状の体が裂け、赤黒い拳が深くめり込んだ。
「……なに?」
アルデンの冷静な表情が、わずかに歪む。
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アレンは止まらなかった。
拳を引くことなく、そのまま爪を振り下ろす。
「ガァアアア!!!」
霧が裂ける。
アルデンの体が後方へ弾き飛ばされた。
ヴァルガスは、その様子を見ながら歯を食いしばる。
「……攻撃が……当たってる……!?」
ゼノンは信じられないという表情でアレンを見つめる。
「な……!!」
アルデンは確かにダメージを受けていた。
ヴァルガスの脳裏に、アレンがアルデンの剣の破片を口にした時のことが蘇る。
「まさか……剣の破片を喰ったから……なのか……?」
自分たちの攻撃は霧を通り抜けるだけだった。
だが、今のアレンは違う。
「それしか考えられねぇ……!」
ヴァルガスは拳を握りしめた。
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アルデンが地に足をつけ、ゆっくりと顔を上げる。
霧が再生しながらも、確かにアレンの攻撃は"届いた"。
「……少し、興味深いな」
アルデンが静かに呟いた。
しかし、アレンはそれを待たなかった。
「ガァアアアアア!!!」
獣のような勢いで、アルデンへと連続攻撃を仕掛ける。
拳が、爪が、次々と霧を切り裂く。
「オオオオオッ!!」
衝撃が大地を震わせる。
アルデンの影が一瞬薄れた。
「押している……!」
ヴァルガスが驚愕の声を上げる。
「このままいける……!!」
ゼノンが剣を握りしめた。
しかし——
アルデンの赤い目が、再び冷えた光を放つ。
「お前の力……少し厄介だな」
アルデンが手をかざした瞬間、霧が一気に蠢いた。
アレンの爪が霧を裂こうとしたその時、影が逆流するように動いた。
「……ッ!!」
アレンの腕が捕らえられる。
次の瞬間——
ドンッ!!
黒い霧が爆発し、アレンの体が吹き飛ばされた。
「ぐぅっ……!!!」
瓦礫の山に叩きつけられる。
「アレン!!」
ヴァルガスが叫ぶ。
「まさか……」
ゼノンが息を呑む。
アレンの猛攻が通じていた。
しかし——
「……ふっ」
アルデンが悠然と佇んでいた。
「霧の本質を理解せぬまま、喰らうだけでは、俺には勝てない」
アレンが荒い息を吐きながら立ち上がる。
しかし、その体にはすでに無数の傷が刻まれていた。
ヴァルガスが唇を噛む。
「……破片だけじゃ……足りなかったのか……?」
次の瞬間、アルデンが手をかざした。
「終わりだ」
霧が波のように広がり、アレンを飲み込む。
「ガァアアアアア!!!」
咆哮が響くが——
次の瞬間、黒い霧が爆発した。
瓦礫の中に叩き込まれたアレンの姿が、ゆっくりと沈んでいく。
ヴァルガスが目を見開く。
「アレン!!!」
ゼノンもまた、焦燥の色を浮かべながらアレンへと駆け寄る。
しかし、動かない。
アルデンは静かにアレンを見下ろし、一拍の間を置いて冷たく呟いた。
「……結局、お前は"獣"にすぎなかった」
戦場に、冷たい静寂が訪れた——。
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完全獣化したアレンの攻撃が、ついにアルデンに届く。
しかし、アルデンの本当の力は、まだ底を見せていなかった。
アレンは霧の波に飲み込まれ、再び窮地に立たされる——!!




