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第八話:未知の肉と解体作業

ついに手に入れた大型の獲物。

しかし、問題はここからだった。

この肉は食べられるのか?

そして、どうやって解体すればいいのか。

挿絵(By みてみん)


「……さて、これをどうするか」


目の前には、俺が仕留めた巨大な鳥が横たわっている。

羽毛が分厚く、下手に刃物を入れても弾かれそうだ。


ウサギのときとはわけが違う。

そもそも、こいつの肉は食べられるのか?


「試すしかないよな……」


とにかく、まずは解体することから始めよう。

俺は槍の先端を使って、鳥の腹部に慎重に切り込みを入れる。


ザクッ……


「……硬ぇな」


思った以上に皮が分厚い。

槍ではまともに切れそうにない。


「石器を使うか……」


俺は前に作った石のナイフを取り出し、さらに切れ味のいいものを作るため、少し加工する。

石を砕いて鋭利な刃を作り、慎重に研ぐ。


「よし、これでいけるか……」


再び鳥の腹部に刃を当てる。

今度は少しずつ切り進めることができた。


「……うわ、すげぇな」


皮をめくると、赤黒い筋肉がびっしりと詰まっていた。

まるで牛肉のような色だ。


「これ、絶対硬いな……」


しかし、腹の奥には大量の脂肪が詰まっている。

鳥なのに脂がこんなに多いのか?


「とりあえず、内臓を取り出すか」


俺は慎重に内臓を傷つけないように取り出し、使えそうな部分を選別する。

胃袋の中には、小動物の骨のようなものがあった。


「やっぱり肉食か……」


だとすると、寄生虫や毒の可能性もある。

生食は論外だな。

火を起こさなければならないが、前回は失敗した。


「……また火起こし、挑戦するか」


俺は乾燥した木の枝を集め、木と木を擦り合わせてみる。

手のひらに汗が滲むほど力を込めるが、なかなか火種ができない。


「くそっ……! 全然ダメじゃねぇか」


それでも何度も試す。

手が痛くなるほど擦り続けると、ほんのわずかだが煙が立ち始めた。


「……きた!」


だが、勢いが足りず、すぐに消えてしまう。

まだ火を起こすにはコツがいるようだ。


「仕方ない……今日も生でいくか」


ウサギを食べたときのことを思い出す。

あの時も、火が起こせず生肉を食べた。

そして、わずかに体に変化が起こった。


「こいつの肉を食ったら、どうなるんだ……?」


俺は慎重に肉を削ぎ、試しに一口食べてみる。


「……っ!」


口に入れた瞬間、ウサギとは比べものにならない強烈な味が広がった。

鉄分が濃く、獣臭さも強い。

脂が多く、口の中でねっとりと広がる感覚がある。


「……なんだ、これ」


噛めば噛むほど、強烈な旨味とともに、野生の味がする。

決して美味いとは言えないが、力が湧き上がってくるような感覚があった。


「……なんか、体が熱い……」


徐々に、血流が早くなり、全身に力がみなぎるのを感じる。

まるで、体の内側から燃えているようだ。


「……ウサギの時よりも、明らかに違う」


ウサギを食べたときも少し変化があった。

だが、今回の変化はそれ以上だ。

筋肉がわずかに膨張し、握る拳に力がこもるのが分かる。


「これは……やっぱり、何かあるな」


異世界の生物を食べることで、俺の体は何かしらの影響を受けている。

ただの栄養補給とは違う。

これは、食べたものの力を吸収しているのではないか?


「……つまり、強い生き物を食えば、俺も強くなれるってことか?」


これは、とんでもない可能性だ。


ならば、この世界で生き抜くためには――


「もっと強い獲物を狩らなきゃな」


俺は槍を握りしめ、森の奥へと視線を向ける。

さらなる食糧を求めて。

ついに異世界の肉が、アレンの体に明確な変化をもたらす。

この力は一体何なのか?

そして、さらなる強い獲物を求めるアレンの狩りは続く――!

次回もお楽しみに!

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