第七十六話 砕かれた剣
アレンはバストリア王国最強の騎士ゼノンとの試合に挑み、圧倒的な実力差を見せつけて勝利した。
騎士たちは驚愕し、王もまたアレンの強さを認めることとなった。
試合が終わり、武闘場の空気はまだ騎士たちの驚きと動揺で満ちていた。
ゼノンを完封したアレンの強さは、もはや誰も否定できなかった。
「まさか、ゼノン様が……」
「まったく手も足も出なかったなんて……」
騎士たちの間には、アレンの実力に対する驚きと疑念が交錯していた。
そんな中、王は静かに立ち上がり、玉座へ戻ると、側近に命じた。
「貴殿に見せたいものがある。ついてきてくれ」
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王に案内され、アレンたちは城の奥深くへと足を踏み入れた。
やがて辿り着いたのは、厳重に封印された宝物庫。
王の命により扉が開かれると、そこには数々の宝物に並び、一つの奇妙な物体が鎮座していた。
「これは……?」
アレンが目を細める。
王はゆっくりと頷きながら語る。
「アルデンが消えた後、唯一残ったもの……彼の剣の破片だ」
それは、鋭い輝きを失った金属片だった。
しかし、その刃の一部には黒ずんだ斑点が浮かび、不気味な気配を放っていた。
「アルデンが消滅したのに、なぜかこの破片だけが消えなかった。我々も研究を試みたが、その理由は分かっていない」
アレンは破片をじっと見つめた。
「そういえば……」
ヴァルガスが腕を組みながら呟く。
「お前がアルデンと戦ったとき、剣を砕いた場面があったよな」
アレンはその言葉に、一瞬だけ目を見開いた。
「……確かに」
あのとき、アルデンの剣を攻撃した瞬間、刃の一部が砕け散った。
しかし、戦闘中にそれを気にする余裕はなく、そのまま戦い続けた。
「つまり、これは"お前が砕いた部分"ってことかもしれねぇな」
ヴァルガスの言葉に、王も少し驚いたように目を細める。
「なるほど……そういうことか」
ミリアは不安そうに破片を見つめる。
「でも、アルデンが消えたのに、剣の破片だけが残るなんて……普通じゃないですよね?」
ユイは金属片をじっと見つめながら、わずかに震えた。
「……なんか、気持ち悪い」
アレンは金属片に手を伸ばすと、その表面を指で撫でた。
冷たい感触——しかし、不気味なほど重みを感じた。
(これは……)
アレンは無言のまま、それを握りしめた。
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王は静かに口を開く。
「貴殿に、これを預けよう」
「私に、ですか?」
王は頷く。
「我々はこの破片の正体を解明できなかった。しかし、貴殿ならば……何かを感じ取ることができるかもしれない」
アレンは一瞬だけ考えた後、静かに頷いた。
「では、お預かりいたします」
王が満足げに頷くと、ヴァルガスは少しだけ口元を歪めた。
「……ま、持ってるだけなら害はねぇだろうが、気味の悪いもんだな」
ユイとミリアも不安そうにしていたが、アレンは金属片を慎重に収納する。
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その夜、アレンは城の中庭に出て、一人、空を見上げていた。
手の中には、あの剣の破片がある。
(これは、一体……)
ヴァルガスの推測が正しければ、これは自分が砕いた剣の一部。
しかし、普通の武器であれば、アルデンとともに消えていてもおかしくない。
なぜ、この破片だけが残ったのか。
(何かが……まだ続いている)
アレンは剣の破片をじっと見つめた。
ヴォイド・リーヴァーの影は、まだ終わっていない——。
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アレンは王からアルデンの遺した"剣の破片"を受け取る。
この破片は何を示しているのか——
まだすべては明らかになっていない。




