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四十七話 因縁の対峙

ミリアを救い出そうとするアレンとユイ。

しかし、地下牢の出口には、一人の貴族剣士が立ちふさがる。

ユイの過去に関わる男。

果たして、アレンはこの男をどうするのか――?

「……ユイ」


貴族剣士は、薄く笑いながらユイに視線を向けた。


ユイは小さく息を呑み、身を強張らせる。

その瞬間、アレンは確信した。


「お前か」


貴族剣士は涼しい顔でアレンを見た。


「お前は…なんだ?」


「……この子を苦しめてきたやつだな?」


ユイが震えている。

ミリアを助け出した今、次にアレンがやるべきことは決まっていた。


「どうして、まだ生きていたんだい、ユイ?」


貴族剣士は薄暗い灯りの下で、まるで懐かしむかのような表情を浮かべた。


「逃げられるとは思っていなかったが、やはり生き延びたか」


ユイはかすかに首を横に振り、唇を噛みしめる。


「……私を……見つけたら、また捕まえる気だったの……?」


「当然だろう」


貴族剣士は肩をすくめる。


「お前は私のものであったはずだ。逃げた以上、罰を受けるのは当然だ」


その言葉を聞いた瞬間、アレンの眉間に深い皺が刻まれた。

無意識に、拳を固める。


「随分と身勝手な言い分だな」


「身勝手? いや、これは正当な権利だ」


「権利?」


「ユイは私の家に仕えるべく拾われた。私がどのように扱おうと自由だ」


アレンの奥歯が軋んだ。

そして、ユイの肩にそっと手を置いた。


「もういい。ユイ、お前は下がっていろ」


ユイは怯えながらも、アレンの背中に隠れるように立ちすくむ。


「お前は……誰なんだ?」


貴族剣士はアレンを値踏みするように見つめた。


「ユイの騎士か?」


「騎士じゃない。ただの通りすがりだ」


アレンは静かに言い放つ。


「だが……お前をここで許すつもりはない」


貴族剣士はクスリと笑い、腰の剣を引き抜いた。


「なら、殺し合いだな」


その言葉が終わる前に――


ドゴッ!!!


重い衝撃音が響いた。


貴族剣士の身体が吹き飛んだ。

一瞬で間合いを詰めたアレンの拳が、彼の腹を捉えていた。


「ぐっ……」


貴族剣士は地面に転がり、呻き声を上げる。


アレンは淡々と歩み寄り、貴族剣士の腕を踏みつけた。


「ぐあっ……!?」


骨が軋む音が響く。

その表情には余裕のかけらもない。


「お前みたいなやつが、ユイを苦しめてきたんだな」


アレンは拳を振り上げた。


「……ああ……ああああ!!」


ガッ!!


音を立てて、貴族剣士の顔にアレンの拳がめり込んだ。

悲鳴すら出ないほどの衝撃が走る。


貴族剣士は鼻から血を噴き出し、地面に突っ伏した。


「……っ、ぐ……」


貴族剣士は動かない。


アレンはその場に蹲るユイを見つめ、そっと彼女の頭を撫でた。


「……もう大丈夫だ」


ユイは目を潤ませながら、小さく頷いた。


そして、アレンはミリアとユイを連れ、静かに地下牢を後にした。

ついに、ユイを苦しめてきた貴族剣士を撃破!

しかし、これで全てが終わったわけではない。

バストリアでの戦いは、まだ続く――。

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