第四話:狩りの準備
素手での狩りに失敗した俺。
次こそは獲物を確実に仕留めるため、武器を作らなければならない。
ウサギを素手で捕まえるのは無理だった。
ジャンプ力もスピードも段違いで、俺が飛びかかる頃にはすでに数メートル先へ逃げている。
「……やっぱり武器がないとダメか」
空腹はさらに増している。
このまま何も食えなければ、次第に動けなくなってしまうだろう。
狩りの成功率を上げるためにも、まずは武器を作るしかない。
「槍なら簡単に作れるか……?」
俺は周囲を見回し、武器になりそうなものを探し始めた。
条件は長さがあり、ある程度の硬さを持つ枝。
落ちている枝を拾い上げるが、どれも細すぎたり、腐って脆かったりする。
そこで目を付けたのが倒木だった。
倒れた木の一部は腐らずに残っていて、そこから適した部分を選べば使えるかもしれない。
「これならいけそうだな……」
適度な長さと太さの枝を見つけた俺は、それを持ち上げ、先端を削る方法を考える。
「火があれば焼いて硬くできるんだが……今は無理か」
となれば、石を使って削るしかない。
森の地面には無数の石が転がっている。
その中から比較的鋭利なものを選び、手製の削り道具として枝の先端を研ぎ始める。
ギリギリ……ガリッ……
作業は地道だったが、少しずつ形になっていく。
鋭くとがった先端は、それなりに刺さりそうな仕上がりになった。
「これなら……いや、まだ足りないな」
俺はさらに削る作業を続けた。
だが、削るだけでは木の強度が落ちてしまう。
何か補強する方法はないか……。
そこで思い付いたのが樹脂だった。
「そういえば、木の表面にベタついたものが付いていることがあったな」
針葉樹の樹皮を傷つけると、樹脂が染み出してくることがある。
これは粘着性が高く、乾燥すると硬くなるので、先端の補強に使えるかもしれない。
試しにいくつかの木を調べ、樹皮にナイフの代わりとなる鋭利な石で傷をつけると、じわりと樹液が染み出してきた。
「使えそうだな……」
俺はそれを削った槍の先端に塗り、乾かすことにした。
これが硬化すれば、単なる木の枝よりも強度が上がるはずだ。
「よし、これでひとまずは完成だな」
武器があるだけで安心感が違う。
次こそは、確実に獲物を仕留める!
簡易的な槍を手にした俺。
次回、再び狩りに挑む!