表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/100

三十七話 初めての都市と初めてのギルド

アレンとヴァルガスはついに街へと足を踏み入れる。

しかし、アレンには大きな問題があった。

それは——

挿絵(By みてみん)


「うわぁ……」


アレンは街に入った瞬間、目を輝かせた。


道端には商人たちが露店を構え、焼きたてのパンや香ばしい肉の串焼きを売っている。

店の奥からは、スパイスの効いた香りが立ち込め、空腹を誘う。


「……メシ、食いてぇ……」


思わずヨダレを垂らしそうになったが、そこである重大なことに気付く。


「……金がない」


これまで、アレンは森で自給自足の生活をしてきた。

金なんて概念を意識することすらなかったが、街ではそうはいかない。


「ヴァルガスさん……」


「ん?」


「俺、何も買えません……」


ヴァルガスはため息をつきながら苦笑した。


「そうなるだろうな。なら、ギルドへ行くぞ」


「ギルド……!」


アレンは期待に胸を膨らませた。

冒険者ギルドといえば、異世界モノの定番。

登録すれば、クエストを受けて金を稼ぐことができるはずだ。


「ギルドに登録すれば、仕事がもらえる。金が欲しいなら、まずそこからだ」


ヴァルガスに導かれ、アレンは街の中心部へと向かった。




◆◆◆




ギルドは石造りの堂々とした建物だった。


中へ入ると、すでに多くの冒険者たちが集まっていた。

大柄な戦士、ローブを纏った魔術師、細身の盗賊風の男——。


「おお……」


アレンは無意識に口元が緩む。


ゲームや小説でよく見た光景そのままだった。


「おい、あんたたち!」


受付の女性が鋭い声を上げた。


「ギルドの仕事か?」


ヴァルガスは頷きながら、受付へと歩み寄った。


「俺はヴァルガス。昔、ここで登録されていたはずだが……」


女性は眉をひそめた。


「ヴァルガス……?ちょっと待って」


奥へと消え、数分後——。


「ギルドマスターが話がしたいそうよ」


「ギルドマスター?」


「さっき門で会ったろ」


ヴァルガスが軽く笑った。


「ああ、あの人か」


アレンが頷くと、案内され、ギルドマスターの部屋へと通された。




◆◆◆




「ほう、ギルドに戻る気になったか?」


ギルドマスターは腕を組んでヴァルガスを見た。


「まぁな。ただ、まずはこいつの登録を頼みたい」


ヴァルガスがアレンを指差す。


「ほう、お前も冒険者になるのか?」


ギルドマスターの視線がアレンに向けられた。


「はい。お金がないので、仕事をしたいです」


ギルドマスターはアレンをじっと見つめた後、ニヤリと笑った。


「よし、登録しよう。だが、初めての依頼は簡単なものにしろよ?」


「はい、わかりました」


アレンは素直に頷いた。


「それじゃあ、登録手続きをする。身分証はないだろうから、基本情報を聞くぞ」


ギルドマスターの言葉に頷き、アレンは答えていく。


「名前は?」


「アレンです」


「年齢は?」


「……二十六です」


「武器は?」


「槍ですね。あと、まあ……素手も」


「素手?」


ギルドマスターが興味深そうに眉を上げた。


「どんな戦い方をするんだ?」


「……ええと……力で、押し切る感じです」


「ほう……まあ、それは実際に見せてもらうことにしよう」


そう言いながら、ギルドマスターは手続きを進める。


そして——。


「よし、登録完了だ。これでお前もギルドの一員だ」


ギルドマスターが一枚のプレートを渡してきた。


「ギルドカードか……」


異世界モノではおなじみのアイテムだ。

アレンは思わず感動した。


「これで依頼を受けられる。ただし、初めての依頼はランクE以下のものだけだ」


「わかりました!」


アレンは意気揚々と受付へ向かう。


「おい、気負いすぎるなよ」


ヴァルガスが呆れたように後ろから声をかけた。


「とにかく、まずは仕事を見つけないとな」


アレンの新たな生活が始まる。


次回へ続く。


---

アレン、ついにギルド登録!

この世界で初めての仕事に挑む!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ