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三十六話 初めての都市と入国トラブル

アレンとヴァルガスは、森を抜け、ついに街を目指して歩き出す。

しかし、門で予期せぬトラブルが発生する——。

「……おお……」


アレンは思わず感嘆の声を漏らした。


長い間、森の中で孤独に生き抜いてきた彼にとって、目の前に広がる光景は圧巻だった。


巨大な城壁に囲まれた都市。

遠くからでも分かる賑わい。

都市バストリア——アレンがこの世界に来て初めて見る“人の住む街”だった。


「すごいな……あんなに大きな門、ゲームとかでしか見たことないぞ……」


「この街は交易都市として栄えているからな。俺が知っていた頃より、さらに大きくなっているようだ」


ヴァルガスが目を細める。


アレンはワクワクしながら歩を進めた。


「とにかく、中に入らないと……!飯も食えるし、情報も手に入る!」


「焦るな。まずは入国審査がある」


門へと続く列に並びながら、ヴァルガスはアレンに説明した。


「この街に入るには身分証の提示が必要だ。ギルド登録があれば、それで代用できる」


「なるほど、じゃあヴァルガスさんの登録で大丈夫ですね」


「……それが問題なんだ」


ヴァルガスは苦い顔をした。


「俺は昔、この街のギルドに登録していた。だが……封印されていた間に何が起こったのか、わからない」


「……確かに、それは不安ですね」


ヴァルガスが登録されている前提で進むのは危険だ。


そんなことを考えているうちに、2人は門の前にたどり着いた。


「入国希望者か。身分証を提示しろ」


ヴァルガスが前に出る。


「俺はヴァルガス。この街のギルドに登録していた者だ」


衛兵はヴァルガスの顔をしばらく見つめた後、眉をひそめた。


「ヴァルガス……?そんな名前、聞いたこともないな」


「やはりか……」


ヴァルガスは険しい表情をした。


「封印されていたせいで、俺の記録が消えたのかもしれん」


「勝手なことを言うな。身分証がないなら、入国は認められない」


アレンは小声でヴァルガスに囁いた。


「どうします?」


「……待て。俺を知っている者がいるかもしれん。ギルドの者を呼んでくれ」


「何を勝手なことを……」


衛兵が追い払おうとしたその時——。


「ヴァルガス!?今、ヴァルガスと言ったのか!?」


門の奥から、大きな声が響いた。


アレンがそちらを見ると、一人の老人が駆け寄ってくる。


武装した姿だが、他の衛兵たちとは雰囲気が違う。


「……誰だ?」


「ギルドマスターだ」


ヴァルガスは目を細めた。


ギルドマスターはヴァルガスをじっくりと見た後、驚いたように目を見開いた。


「まさか……ヴァルガスか!?嘘だろ……!」


「おう、俺だ」


「信じられん……。お前は……あの時、死んだのでは……?」


ヴァルガスはゆっくりと首を振った。


「いや……封印されていたんだ」


「封印……?」


ギルドマスターは驚愕しながらヴァルガスをまじまじと見つめた。


「何十年も経っているのに……お前……まるで歳を取っていない……」


「そういうことらしい」


ギルドマスターは困惑したような表情を見せたが、すぐに決断した。


「衛兵たちよ、こいつを通せ」


「ギルドマスター……?」


「ヴァルガスは、かつてこの街を守った戦士だ。そして、どうやら神のいたずらで長い間眠っていたようだ。だが、この男を疑う理由はない」


衛兵たちは戸惑いながらも、ギルドマスターの言葉に従い、2人の入国を認めた。


「助かりました」


アレンはギルドマスターに頭を下げた。


「いや、まさかヴァルガスが帰ってくるとは思わなかった。今後、ギルドにも顔を出してくれ」


ヴァルガスは頷いた。


「さて、アレン」


「はい?」


「ようやく、街の中に入れるぞ」


アレンは一歩足を踏み入れ、初めての都市に胸を高鳴らせた。


---

ついにバストリアへ!

ここから街での新たな展開が始まります。

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