第二十六話 ボスゴリラの力
激闘の末、ボスゴリラを倒したアレン。
傷を癒し、さらなる力を得るため、
その肉に噛みつく——
口の中に広がる、
鉄のような血の味。
「……固いな」
噛みしめるたびに、
筋繊維が弾けるような食感がする。
だが、それでも俺は咀嚼し、
嚥下した。
「……ッ!」
次の瞬間、全身を駆け抜ける熱。
鼓動が速くなり、
筋肉が張り詰めるような感覚に襲われる。
「……これは、すごいな」
体中の筋肉が
一気に強化されていくのが分かる。
特に、握力——
「……試してみるか」
俺は足元にあった
拳ほどの大きさの石を掴んだ。
軽く握ってみる。
「……」
少し力を入れると、
石にひびが入った。
そして——
「おお……」
思い切り握りこむと、
石が粉々に砕け散った。
「……マジかよ」
これまでにも、
モンスターを喰らうことで力を得てきた。
だが、ここまでの変化を感じたのは、
初めてだった。
「ボスゴリラ……やっぱり規格外だったんだな」
握力が強くなったということは、
それに付随して腕の筋力も上がっているはず。
試しに、血抜き槍を片手で持ち上げてみる。
「……軽い」
前までは両手で扱うことが多かった槍が、
まるで枝のように軽く感じる。
これは、戦闘スタイルを
変える必要があるかもしれない。
「……他にも、どんな変化があるんだ?」
俺は立ち上がり、
軽く屈伸をしてみる。
「……下半身も、強化されてるか?」
地面を蹴ってみると、
思った以上に勢いよく跳躍した。
「すげぇな……」
ボスゴリラを喰らうことで、
俺の肉体はさらなる進化を遂げた。
だが、これはまだ始まりに過ぎない。
俺は拳を握り直し、
森の奥を見据えた。
「……次は、何を喰らうか」
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ボスゴリラを喰らい、さらなる力を手に入れたアレン。
握力、脚力——すべてが強化された彼の次なる獲物とは!?




