第二話:生きるために水を探せ
異世界に放り出された俺。
スキルもチートもない。
生きるために、まずは水を確保しなければならない。
目覚めてすぐにモンスターと遭遇し、なんとかやり過ごした俺。
だが、次に襲ってきたのは「喉の渇き」だった。
「……やばいな、これ」
森の中を慎重に歩きながら、自分の状況を整理する。
まず、俺は飲み水を持っていない。
さらに、食料もなし。
火もない。
武器もない。
「……生きる気あんのか、俺」
思わず自分にツッコミを入れる。
だが、落ち込んでいる暇はない。
人間は水がないと三日で死ぬと言われている。
つまり、今日明日で水を確保できなければ、俺の異世界生活はあっという間に終わるということだ。
「まずは水がありそうな場所を探すしかないな……」
手がかりは音だ。
森の中では水の流れる音が聞こえることがある。
それを頼りに進むしかない。
足元の落ち葉を踏まないように注意しながら、森の奥へと歩を進める。
慎重に進みながら耳を澄ますと、かすかに「サラサラ……」という音が聞こえた。
「……川か?」
期待を込めて音のする方向へ向かう。
だが、その途中で俺は異様な臭いを感じた。
「……何かが腐ったような臭い?」
警戒しながら進むと、目の前には小さな泉が広がっていた。
しかし、その水は濁っていて、周囲には動物の死骸が転がっている。
「うわ……これはダメだな」
腐敗した動物の死骸がある水場は、まず飲めない。
病原菌や寄生虫がいる可能性が高い。
「くそ、やり直しだ……」
俺は別の水源を探すために、さらに森を進むことにした。
どれくらい歩いただろうか。
のどの渇きはますますひどくなり、足元もふらつく。
「やべぇな……水、水……」
必死に探していると、ふと、岩場の隙間からポタポタと水が滴り落ちているのが見えた。
「……湧き水か?」
岩の間からしみ出している透明な水。
周囲には動物の死骸もなく、泥の気配もない。
「これは……飲める!」
俺は慎重に手をかざし、滴り落ちる水をすくって口に運ぶ。
「……うまい」
冷たく、澄んだ水が喉を潤す。
ここまで乾ききっていた体に、水分が染み渡っていくのが分かる。
「助かった……」
岩から染み出している湧き水は、自然にろ過されているため比較的安全なはずだ。
とはいえ、完全に安心とは言えないが、今の俺には選択肢がない。
数口飲んでから、もう一度周囲を確認する。
「よし、この場所は覚えておこう」
水源を確保できたのは大きい。
だが、次は食料を探さなければならない。
水の確保はできたが、まだ生き延びるには足りない。
次回、食料を探すために森の奥へと進む。